Top Page

■作品解説■

■「ゴルゴ13」はこれで読める! 「ゴルゴ13」掲載の雑誌・コミックスを紹介
ビッグコミック / 別冊ビッグコミック ゴルゴ13シリーズ / ビッグコミック増刊 ゴルゴ13 / SPコミック / 小学館文庫 / 小学館叢書 / My First BIG
■「ゴルゴ13」全作品パーフェクトリスト■

■「ゴルゴ13」コミックス収録パーフェクトリスト■
別冊ビッグコミック ゴルゴ13シリーズ / SPコミック / 小学館文庫 / 小学館叢書 / My First BIG
■消えた「ゴルゴ13」ストーリー 噂の発表自粛ストーリーとは?
第237話「幻(ダミー)の栽培」 / 第245話「スワップ 捕虜交換」 / 第266話「バチカン・セット」 / 番外話「告発の鉄十字」
■実現しなかった「ゴルゴ13」ストーリー 幻のストーリーはまだあった!
第260話「国王の対立」 / 第282話「ケンブリッジ・ハウスの人々」 / 第582話「コペルニクス火口(クレーター)の果て」
■ゴルゴ13・外伝■
松下電器トランザムシリーズ / Gと呼ばれる男 / 明解現代講座 AERA13(亜江良十三の大報道) / 大塚製薬ファイブミニシリーズ
■映画の中の「ゴルゴ13」■
映画「ゴルゴ13」(高倉健主演) / 映画「ゴルゴ13 九竜の首」(千葉真一主演) / 映画「ゴルゴ13」(アニメ) / OVA「ゴルゴ13 QUEEN BEE」
■ゲームの中の「ゴルゴ13」■
「シークレットキラー」(ポピー) / 「ゴルゴ13 第一章 神々の黄昏」(ビッグ東海) / 「ゴルゴ13 第ニ章 イカロスの謎」(ビッグ東海) / 「ゴルゴ13」(ナムコ)攻略法特集] / 「ゴルゴ13 奇跡の弾道」(ナムコ)[攻略法特集
■メディアあるところゴルゴあり! 「ゴルゴ13」のメディア展開の紹介

■ゴルゴ・ブック 「ゴルゴ13」関連書籍の紹介
「ゴルゴ13の秘密」 / 「ゴルゴ13真面目研究」 / 「ゴルゴと呼ばれた男」
■お笑いゴルゴ 「ゴルゴ13」のパロディなど






作品解説

超A級狙撃者のスーパー・アクション!

さいとう・たかを(および、さいとうプロ)の代表作にして、現代日本の劇画界を代表する作品。
正体不明のプロ・スナイパーゴルゴ13が各国機関の依頼を受けて要人暗殺を行う。いかなる政財界の大物もゴルゴ13の名を聞けば震え上がり、われわれ読者は「そうか、あの事件の裏にゴルゴ13が絡んでいたのか」と驚愕する。
その魅力をすべて語ればきりがないが、2つだけ挙げる。


1968年に雑誌『ビッグコミック』に連載開始していらい30余年、一度たりとも中断、休載を挟むことなく連載されつづけている。まさに質、量ともに劇画の最高峰にある。
いまや「ゴルゴ13」の名は殺し屋の代名詞となった。「スナイパー」という職業を社会的に認知させたこの作品の功績は大きい。

[Menu]

『ゴルゴ13』の雑誌、コミックス


ビッグコミック

(雑誌/小学館/中綴A4)

『ゴルゴ13』は、1968年10月(1969年1月号)より雑誌『ビッグコミック』(以降「本誌」と表記する)に連載されている。連載開始当初は月刊であったが、1969年4月より月2回発行となった。現在、毎月10日、25日発行。
1号あたりの『ゴルゴ13』の掲載は40ページ前後であり、1話分のエピソードは概ね1〜3号に跨る。掲載順に「第○話」というように通し話数が付く。また最後のページには脚本、構成、構図、作画などのスタッフ一覧が明記されている。

さらに、2,3ヶ月毎に「本誌」の読み切り増刊号(以降「本誌増刊」)が発行されている。毎号とは限らないが『ゴルゴ13』の読み切り作品が掲載されることがある。なお「本誌増刊」掲載分は通し話数のナンバリングの対象外。

[Menu]

別冊ビッグコミック ゴルゴ13シリーズ

(雑誌/小学館/B6)

以降「別冊ゴルゴ13」と表記。
1969年頃よりほぼ3ヶ月に一回のペースで発行される。初期は本誌掲載後1年以内の作品を収録していたが、現在では本誌掲載後2〜3年経過してから収録している。また、あの『Sさん一家』をはじめ、『ゴルゴ13』以外の他作家の漫画、SFエロ読み物なども併録されていてとってもお買い得。

収録リストはこちら
[Menu]

ビッグコミック増刊 ゴルゴ13

(雑誌/小学館/中綴A4)

以降「増刊ゴルゴ13」と表記。
1972年頃よりほぼ3ヶ月に一回のペースで発行される。「過去のゴルゴ13の作品を読みたい」という読者の要望に応えて刊行された。(「別冊ゴルゴ」は雑誌扱いであるためバックナンバーの取り寄せができない。)
「別冊ゴルゴ」との差別化を図るためか「本誌」と同サイズである。
なお「別冊ゴルゴ13」と異なり並録作品はないが、これはさみしい限り。「過去の『Sさん一家』を読みたい」という読者はどうすればよいというのだ。

[Menu]

SPコミック『ゴルゴ13』

(コミックス/リイド社/B6)

書店で第1話から全部揃えるとしたらこれ。ただし、本誌掲載からSPコミックス収録までのインターバルは3年以上とものすごく長い。
『ゴルゴ13』の各作品は概ね(1)本誌・本誌増刊に掲載、(2)「別冊ゴルゴ」に収録、(3)「増刊ゴルゴ」に収録、(4)SPコミック化という順序が守られている。

収録リストはこちら
[Menu]

小学館文庫『ゴルゴ13』全40巻

(小学館/文庫)

1970年後半の漫画文庫の出版ラッシュで『ゴルゴ13』も文庫化された。1巻にさいとう・たかを先生のあとがきを収録。

収録リストはこちら
[Menu]

小学館叢書『ゴルゴ13』全6巻

(小学館/四六)

1988年発行のハードカバー装丁の選集。1巻に村上龍の解説を収録。

収録リストはこちら
[Menu]

My First BIG

(雑誌/小学館/B6)

1999年発行開始のコンビニ向けのタイトル別漫画再録シリーズ。毎週金曜日発売。
毎号、収録作品に関連したコラムが併録されているのは読みどころ。

収録リストはこちら
[Menu]

消えた「ゴルゴ13」ストーリー

「ゴルゴ13」の各作品は、ビッグコミック掲載からSPコミック収録までほぼ3〜5年かかるが、なぜか5年以上経っても一向にSPコミック収録される気配のない作品が存在する。
まあこれまでにも、ビッグコミック連載からSPコミック収録まで17年かかった例(第186話「アメリカン・ドリーム」SP114巻収録)をはじめ、8〜9年かかった例(第26話「死に絶えた盛装」SP33巻収録、番外話「蝶を射つ!!」SP40巻収録)もあるので、今後SPコミックに収録される可能性なきにしもあらずだが、どうしても読みたい方は国立国会図書館でビッグコミックのバックナンバーを閲覧されることをお勧めする。


第237話「幻(ダミー)の栽培」

(ビッグコミック1986/4/10号、4/25号掲載)

泥沼化するイラン・イラク戦争。疲弊するイランの惨状を憂えたパスダラン(革命防衛軍)は、ホメイニを急襲し、戦争終結を直訴する。だが実はホメイニは、昏睡状態の本物に代わって、秘密警察により作られた影武者であった・・・というストーリー。

人前に出ているホメイニは影武者、本物は老衰による衰弱で昏睡状態、という大胆なストーリーだが、イラン秘密警察の幹部数人だけで本物のホメイニと影武者を囲い込んで秘密を維持するというのは、人口6千万人の大国の政府とは思えない大雑把さだ。
ちなみに本作初出後、1987年にホメイニが小説「悪魔の詩」の著者を「死刑宣告」したり、同書の邦訳をした大学教授が殺されたりと、イスラム関係の表現をめぐる物騒な状況がしばらく続いたが、これが本作を埋もれさせた原因かは定かではない。

現在、別冊ゴルゴ、増刊ゴルゴ、SPコミックともに未収録。

[Menu]

第245話「スワップ 捕虜交換」

(ビッグコミック1986/12/10号、12/25号掲載)

モサドの女性スパイを捕らえたPLOは、イスラエルの独房にいる女性テロリストと捕虜交換をすることになった。一方でPLO情報部は、西ドイツ情報局との接触を経てシリアに入国したゴルゴを逮捕する。果たしてゴルゴの標的は誰か・・・というストーリー。

捕虜交換をどんでん返しの舞台とするストーリーだが、途中で結末が予想できてしまうのが残念。
ちなみに「ゴルゴのお気に入りのワインの銘柄はシャルツホフベルガア」という事実が確認できる。

現在、別冊ゴルゴ、増刊ゴルゴ、SPコミックともに未収録。

[Menu]

第266話「バチカン・セット」

(ビッグコミック1988/8/25号、9/10号掲載)

バチカン司教がスイス銀行のネットワークにハッキングして大金をせしめるのだが、実は被害に遭ったのはゴルゴの秘密口座で、この事件を巡って、バチカンとスイス銀行のそれぞれの内部権力闘争が絡み合う・・・といったストーリー。

登場するバチカン司教がとにかく強烈。
「お前は、アベ・マリアを歌っていれば、教会の運営が出来ると、思っているのか?」「さあ金を効果的に生む知恵をしぼり出すのだ!!いい知恵を出したものには私の地位だってくれてやる!!」と神をも怖れぬセリフを並べるわ。少年をベッドに連れ込んでのジャニー喜多川チックな醜聞をネタに恐喝されるわ。カトリック教徒だったら小学館に抗議したくなるほどの欲ボケぶりがすごい。

現在、別冊ゴルゴ、増刊ゴルゴ、SPコミックともに未収録。

[Menu]

番外話「告発の鉄十字」

(ビッグコミック増刊1993/2/22号掲載)

ナチス将校時代の悪夢に悩まされる老医師。悪夢の真相を突き止めた末にゴルゴになされた依頼とは・・・というストーリーのサイコサスペンスもの。
ゴルゴがナチ将校のコスプレをするシーンあり。
ドイツといえば決まってナチス、というのが「ゴルゴ13」の定番である。

別冊ゴルゴNo.108(1996/1/1号)に収録。増刊ゴルゴ、SPコミックには未収録。

[Menu]

実現しなかった「ゴルゴ13」ストーリー

なんと、ビッグコミックに「次号予告」されながらも、ついに掲載されることのなかった幻の作品も存在する。


第260話「国王の対立」

ビッグコミック1988/2/10号の次号予告より引用。

サウジアラビアの国家警察隊のアブデュール隊長は、アジス前国王と接触し、クーデターを企む。彼らは、高名な予言者のピエール・ノアを利用し民衆の世論操作を行おうとする。窮地に立たされた現国王側の切り札はいったい・・・!?

サウジ王家が登場するストーリーには第171話「KING OF BIRDS」、第194話「110度の狙点」があるが、本作ではこの王宮内部の権力争いが描かれる予定だったのだろう。 それで現国王側の切り札としてストーリー終盤に登場するゴルゴがM16の銃弾でクーデターを未然に防ぐという、サウジアラビア版「ケ小平のXデー」ともいうべき、陰謀阻止モノなストーリーだったと推測する。

なお、次号2/25号には第260話「ラスト・ゴーギャン」が掲載された。

[Menu]

第282話「ケンブリッジ・ハウスの人々」

ビッグコミック1990/1/25号の次号予告より引用。

スペイン戦争当時、共和国軍が埋蔵した『コルドバ・ゴールド』をめぐって、3人の男が動き出す。そしてその裏にはゴルゴのルーツがからんでいた。

なんと、驚くべきことに、9作目のルーツ編が予定されていたのだ。

スペイン戦争とは、1936〜39年の共和国政府と反乱軍の内戦のこと。この戦争で反乱軍が勝利してフランコ独裁体制が敷かれることになる。コルドバ・ゴールドというのはよく分からないが、山下財宝みたいなものだろう。
このスペイン版山下財宝を探索する過程で、スペイン戦争当時、共和国側に身を投じた日本人がいたことが判明。彼はスペイン女性との間に息子を設けて後、反乱軍に処刑される。息子は国外脱出・・・。
「それで、ゴル・・・いや、その息子はどうなったのですか?」
「分からん。フランスに亡命してレジスタンス活動に加わったことまでは分かっているが、その後行方不明になってしまった」
かくして、ゴルゴ=日西混血説がぶち上げられるのだった・・・というストーリーをいい加減な知識で想像してみたがどんなもんか。

なお、次号2/10号には第282話「プログラム・トレーダー」が掲載された。

[Menu]

第582話「コペルニクス火口(クレーター)の果て」

これは次号予告ではなくて、ビッグコミック1978/4/10号のウソ企画グラビア「ビッグコミック創刊50周年記念企画」(本当は10周年)におけるウソ記事にて「ゴルゴ13」の第582話が紹介されている。

パーマネント・キャラクター"ゴルゴ13"は病床にあった一年数ヶ月を除き、今なお本誌に連載中である。
今号で数えて582話、タイトルは『コペルニクス火口(クレーター)の果て』。宇宙に活躍するゴルゴの勇姿をあますところなく描いている。

「病床にあった一年数ヶ月」云々はもちろんウソ。しかし582話というのはマジで達成しそうだ。そして、なによりすごいのは、これよりわずか四ヶ月後の第137話「軌道上狙撃」で、本当にゴルゴが宇宙で活躍してしまうことだ。

[Menu]

ゴルゴ13・外伝

SPコミックだけを読んでいてはゴルゴの全てを知ることはできない。本編では決して窺うことのできないゴルゴの活躍ぶりを紹介しよう。


松下電器トランザムシリーズ

ビッグコミックに掲載された、松下電器の2ページ広告マンガ。
春一番がどんなときでも猪木のモノマネを欠かさぬように、たとえ2ページ広告マンガでもM16をズキューンとぶっぱなすのを忘れない、そんなゴルゴのプロフェッショナルぶりが印象的だ。

「水着の女」(ビッグコミック1979/6/10号掲載)

船の上で水着の美女と二人きりのゴルゴ。ナショナルの新製品トランザムジュニアでテレビを見たり、ラジオを聴いたりしているとサメが迫ってきた。
慌てずM16でサメを撃ち抜くゴルゴ。
女が「いまの銃声、トランザムジュニアでカセットテープに録っておいたわ」とトランザムジュニアを差し出すと「さっそく聞かせてもらおう」とゴルゴ。
カッコいいぜ、ゴルゴ!

「競馬狂の男」(ビッグコミック1979/6/25号掲載)

キャンピングカーを遠くから窺うゴルゴ。
女が、ナショナルの新製品の小型テレビカラートランザムを鳴らして踊っていると、キャンピングカーの中に隠れていた標的の男が出てきて、「今日のレースだけは見逃せない」とカラートランザムのチャンネルを競馬中継に合わせる。
他愛なくゴルゴが標的を狙撃すると、女の解説が始まる。
「これで分かった。ホテルで会った"あの男"が私にこのカラートランザムをプレゼントしてくれたわけが・・・。競馬がはじまればきっとテレビを見にこの男が車から出て来るだろうというのが"あの男"の計算だったようね・・・」
そしてゴルゴは「奴は競馬の大ファン・・・か」と言い残して去る。
イカスぜ、ゴルゴ!

「グラスの殺意」(ビッグコミック1979/7/10号掲載)

ビーチでリラックスして、グラス片手にナショナルの新製品カラートランザムを見ているゴルゴ。
背後から拳銃を手にした男たちが現れると「見ろ、奴はのんびりカラートランザムでお楽しみだぜ!」「よし絶好のチャンスだ!一気にかかるぞ!」と言いながらゴルゴに忍び寄る。
突然ゴルゴが背後を振り向いて、タオルの下に隠していたM16を取り出して、背後の襲撃者を一掃する。
「ど、どうしてテレビを見ながら・・・俺たちの近づくのがわかったんだ!?」「わ、わかったぜっ テレビは囮、誘いだったんだな!!おまえの見ていたものはグラスに映る俺たちのっ・・・」
と、解説してから事切れる襲撃者。
スゲエぜ、ゴルゴ!

[Menu]

Gと呼ばれる男

「帰ってきたヤッちゃん」(ニッポン放送出版 1986年)に収録のさいとう・たかを先生自らによる『ゴルゴ13』のセルフパロディ。

暴力団の親分がホテルの一室に呼び出されていくと、そこにはサングラスに黒いスーツ姿の、誰もが知るあの男が・・・。
「え!?それじゃああんたが、あのゴル・・・」と驚く親分を片手で制して、「"G"と呼んでくれればいい・・・」と自己紹介する男。
「しかし、"G"が実在の人物だったとは・・・」「世界のそのスジじゃあ・・・公然の秘密になっているが、ね・・・」などと会話がはずんだあげく、"G"はホテルの屋上に出て狙撃の腕前を披露する。彼の目的は一体・・・。

とりあえず、オチがついて終わるのだが、すごいのはラストページのスタッフ欄。
「構成 さいとう・たかを」「作画 石川文康」のクレジットに混じって、「脚本 デューク東郷」の名が!!
そう。ゴルゴは劇画脚本家としてひっそりとデビューしていたのだ。
ゴルゴが宇宙空間狙撃をしたり、人工衛星の軌道を計算したり、エボラウィルスを克服したりしても、大概のことには驚かないボクだがこれには驚いた。もう何が何だかわからない。

[Menu]

明解現代講座 AERA13

雑誌アエラに1988年から1990年まで連載された海外レポート。海外特派員亜江良十三(あえらじゅうぞう)による世界各国情勢のレポートに、さいとう・たかを先生がカットを添える、というすごい内容。
さいとう・たかを先生の仕事ぶりは、写真をそのまま載せればいいような図案も片っ端からカット描きし、亜江良特派員の会話もふきだしで再現してしまうというくらいに、熱がこもっている。
さて問題は、亜江良特派員が失踪して、この連載レポート最終回を告げる編集長の文章である。
亜江良特派員が帰国して編集部に姿を現したところどうも様子がおかしい、というもの。以下引用する。

男は自分を取り囲んだ人々を邪険に押しのけ、編集長席の方へずんずん歩いてきた。
「やあ、ジューゾー、元気そう・・・」
ジューゾーにしては、少し愛嬌が足りない。もみあげも長すぎる。ぬーっ、と私の前に立った男は、確かにジューゾーに似ていた。しかし、明らかにジューゾーではない。
「キ、キミは、ゴ、ゴル・・・」
亜江良十三記者には、一卵性双生児の兄がおり、国際的な暗殺者として活躍している、という記述が、「編集長のみ閲覧可」の人事部ファイルにあったことを思い出し、私は目を閉じた。

どうだろうか。
足掛け3年にわたる連載は、実は壮大な『ゴルゴ13』ルーツ編のひとつであったのだ。

ちなみに「明解現代講座 AERA13」は、「亜江良十三の大報道」(朝日新聞社 1991年)として単行本化されている。

[Menu]

大塚製薬ファイブミニシリーズ

ビッグコミックに掲載された、大塚製薬「ファイブミニ」の2ページ広告マンガ。
CMアイドルよろしく、毎回商品(ファイブミニ)をラッパ飲みするゴルゴに超一流のプロフェッショナル魂を見いだせ。

「現代人のプレッシャー」(ビッグコミック1995/6/10号掲載)

「現代人の健康に欠かせないベータカロチン。しかし煙草や酒、仕事のプレッシャーで体内のベータカロチンは不足がちである。この状況ははたして克服できるか!」という冒頭のナレーションで、思いっきりベータカロチン不足の不健康と決めつけられてしまうゴルゴ。
そしてそのベータカロチン不足の克服法とは、ひと仕事(狙撃)の後にファイブミニをラッパ飲みするというもの。しかもファイブミニは自動販売機で買っている。
そうか。超人的な身体能力を維持できるのもファイブミニのお陰なんだね、ゴルゴ!
ボクも明日から毎日ファイブミニを飲むぞ!

「紫煙の影」(ビッグコミック1995/7/10号掲載)

「現代人の健康に欠かせないベータカロチン・・・」というおなじみのナレーションに始まり、依頼を引受け狙撃姿勢に入ったゴルゴ。
そのスコープの視野にはなんとファイブミニの自動販売機が。
買い求めたファイブミニをラッパ飲みすると再び狙撃姿勢に戻るゴルゴ。
そうか。成功率99.8%の狙撃の秘訣はファイブミニにあったんだね、ゴルゴ!
ボクも明日から毎日ファイブミニを飲むぞ!

「テキーラの夜」(ビッグコミック1995/8/10号掲載)

「現代人の健康に欠かせないベータカロチン・・・」というおなじみのナレーションに始まり、バーで静かにグラスをあおるゴルゴ。
いきなり商売女が「だいぶ飲んでいるようだけど・・・お酒よりもっといい飲み物教えてあげましょうか?・・・ん」と擦り寄ってくる。何だろうお酒よりいい飲み物って、という我々の疑問をよそに、ゴルゴは女を無視してバーを後にする。
道すがら自動販売機でファイブミニを買い求めラッパ飲みするゴルゴであった。
そうか。近頃Hシーンが少ないと思ったらファイブミニを飲んで健康維持に努めていたんだね、ゴルゴ!
ボクも明日から毎日ファイブミニを飲むぞ!

[Menu]

映画の中の『ゴルゴ13』


『ゴルゴ13』

(劇場映画/東映/1973年/監督 佐藤純彌/主演 高倉健)

さいとう・たかを先生の映画化許諾の条件により、「ゴルゴ13は高倉健が演じること」および「オール海外ロケで撮影すること」が実現した奇跡のような初の劇場映画化作品。

ゴルゴのイメージモデルである高倉健が、「誰であろうと握手はしない」「背後に近づいた人間を反射的に攻撃する」など、毎度おなじみのゴルゴ・エピソードはもちろんのこと、さらには申し訳程度のベッド・シーンや上半身裸で宙吊りにされての鞭打ち拷問シーンなどの全方位的なサービスシーンもきっちりこなす。
健さんマニア(ちなみにボクは違います)は垂涎の映画だ。
やたらキョロキョロフラフラしていまいちゴルゴらしくないのは、この際だから目をつぶろう。

舞台は革命前のイラン。なんと、高倉健以外の登場人物はすべてイラン人が演じている。 しかもみな流暢な日本語を話す。恐るべしイラン人俳優陣。
ただ一説によると、これは日本人声優による吹替えらしい。どおりで刑事の声などルパン三世にそっくりなわけだ。

脚本は、さいとう・たかを、K・元美津の原作ゴールデン・コンビ。その割には「ゴルゴ13は丸腰の人間は撃たねえって聞いてるぜ」などと原作知識皆無のセリフも出てくるのがちょっと不思議。

さて、なんといってもすごいのは、ペルセポリス遺跡での銃撃シーン。
敵組織が、誘拐した女性たちを人質にして横一列に並べて叫ぶ。
「出てこーい!ゴルゴ!出てこなければ、女たちを一人ずつ殺していくぞ!」
「ゴルゴきちゃダメよ!アタシに構わないで!」

日本から遠く離れたイランの地でも東映テイストは炸裂する。
さらにはこの組織、駆けつけた刑事にまで「うるせえ!サツの犬に用はねえ!」と発砲している。
かくも物騒な国イラン。後年、ホメイニが革命を起こすのも当然だったのだ。

というわけで、高倉健主演、オール海外ロケ、原作者による脚本、から分かる通り、本作のねらいはただひとつ。
原作劇画の忠実な実写化に他ならない。
そう。
マンガを、その作品内容に忠実に、どこまでリアルに実写化できるか。ハリウッドで「スーパーマン」が製作される5年も前に東映が試みた、エポックメイキングな作品こそが、高倉健主演の「ゴルゴ13」なのだ。
えー、ぜんぜん忠実じゃないじゃん、などというツッコミは入れてはいけない。
これは企画に内包された、崇高にしてある種無謀な志に敬意をはらいつつ鑑賞すべき作品なのである。

[Menu]

『ゴルゴ13 九竜の首』

(劇場映画/東映/1977年/監督 野田幸男/主演 千葉真一)

千葉真一演じる国際カラテアクションムービーとして帰ってきた、当時の空手ブームが窺える劇場版第2作。
今回は、返還前の香港を舞台にゴルゴが麻薬組織のボスを追い詰めるストーリーである。

海外ロケ+吹替えという前作のスタイルはそのままに、鶴田浩二や志穂美悦子を脇役に配したり、途中で舞台を日本にしたりと、随所で面白さパワーアップ。ついでにHシーンもパワーアップ。

本作でいちばんの見所は、やはり千葉真一演じるゴルゴだ。
高倉健ならば絶対着ないであろう、ある種の職業をイメージさせるド派手なストライプのスーツを着こなし、強面の表情を終始崩さずに暴れまわる千葉真一。
パンチパーマに、原作完全再現の揉み上げのそのツラはこの世の何よりも凶悪だ。
そしてひとたび動けば、ゴルゴの「機械(マシーン)」の異名そのままの感情の起伏一切無しの演技ッぷり。ターミネーターやロボコップも、おそらくこの千葉ゴルゴにインスパイアされたに違いあるまい。

そのパンチパーマ頭ゆえに原作ファンの評価は死ぬほど低いが、アクション映画として突出してしまった本作は、言わせてもらうなら前作の10倍は傑作である。
全編に渡ってカラテアクションが必要以上にフィーチャーされていて、思わずいま自分が見ているのが『ゴルゴ13』であることを忘れさせてしまうほどに熱くなる。
しかし他の千葉作品に比べれば、これでもアクション濃度は低めに抑えているはずだ。ゴルゴがアーマライトで標的を撲殺する行動に出なかっただけでもよしとしなければなるまい。

ちなみにボクの一押しは、ゴルゴ初登場シーンだ。

洋上のヨットでゴルゴを待つ依頼人。
「来ねえな、野郎」と痺れを切らしたところで、海中からアクアラングを背負ってゴルゴ登場。
ヨットに上がったゴルゴはいきなりM16を取りだし狙撃姿勢をとる。
銃口の1キロ先には、望遠鏡でこちらを覗う男が。
「おい、待ってくれ、あれは俺の手下だ・・・」
依頼人の静止を無視して望遠鏡の男を狙撃するゴルゴ。そして、おもむろに一言。
「人目を避けろと、言ったはずだ」

・・・カッコいい。
高倉ゴルゴが、依頼人の待つホテルの部屋に忍び込んで意表をついたり握手を拒んだりなど、原作通りのいささか回りくどいエピソードの積み重ねであるのに対して、この千葉ゴルゴはひたすらストレートで心に響く。
やっぱり映画はこうでなくてはいけない。

[Menu]

『ゴルゴ13』

(劇場アニメ映画/東宝/東京ムービー新社、フィルムリンク/1983年/監督 出崎統/声の出演 瑳川哲朗 他)

アップテンポ調のガールズ・ポップスな主題歌と、骸骨が拳銃を構えて自分の頭蓋骨を撃ち抜くという意味不明のオープニングタイトルが、思いっきり駄作の雰囲気を漂わせつつも、見てみれば意外に面白かったというアニメ映画作品。

原作第108話「帝王の罠」をベースにいろんなエピソードを詰め込んだこの作品。
ストーリー前半だけで、4件もの依頼を遂行するというゴルゴの過密労働ぶりが印象的。(ちなみに高倉ゴルゴ、千葉ゴルゴとも、1時間半かけてひとつの依頼を遂行しているにすぎない)

この作品の見どころはなんといっても、息子を殺された恨みに燃えて、持てる権力財力を総動員してゴルゴ抹殺を謀るレオナルド・ドーソン会長の妄執ぶりだ。
「帝王の罠」にも登場していたドーソン会長だが、この映画では比較にならないくらいキャラ的にパワーアップしている。
息子の嫁を殺し屋に差し出したり、孫娘に射撃を仕込んだり、FBI本部長を懐柔するために殴りつけて言う事を聞かせたりと、やり場のない憤りに任せて、その行動をひたすらエスカレートさせていくドーソン会長。
クセのあるアニメ演出と相俟って、とにかく全編これドーソン会長の愛憎ドラマなのだ。

こんなドーソン会長の前では、ゴルゴなどどうでもよくなってしまうのか、この作品でのゴルゴは何だか得体の知れない奴って感じだ。主人公なのに。
とにかくやたらと敵の罠にはまるゴルゴ。しかも吸っているのは葉巻なんかではなくパーラメントだったりするし。ゴルゴ、いいとこなしだ。

さらに、前半はハードなHシーンがバンバン出てきて「うわあ、大人向けかよ」と思わせつつ、後半になると「シルバー&ゴールド」なる、金銀の全身タイツに仮面&美青年の殺し屋コンビという、出てくるマンガを間違えたとしか思えないド派手な敵キャラが登場して「大人向け」という認識をいやでも改めさせてくれる。
こんなアンバランス加減も本作の魅力に加えてよかろう。

とにもかくにも、監督の出崎統のファンおよび原作「帝王の罠」のドーソン会長のファンは必見のこの作品。
ついでに、劇場公開時の「世界初のコンピュータ・アニメ」という触れこみ通り、取って付けたようにCGシーンが挿入されているので、こいつも必見だ。

[Menu]

『ゴルゴ13 QUEEN BEE』

(OVA/BMGジャパン/1998年/監督 出崎統/声の出演 玄田哲章 他)

15年前の劇場アニメ版ゴルゴの監督が再び登板のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)版ゴルゴ。

製作技術の飛躍的な向上でアニメ作品としてはハイクオリティな仕上がりであるものの、ゴルゴの扱いもまた飛躍的にぞんざいさを増しているという、なんとも困ったシロモノ。
なんたって、渋めのハードボイルド・タッチでいい雰囲気ながらも、実は主人公はゴルゴなんかで決してなく"QUEEN BEE"なる女ゲリラだったりするのだから。

まず、いきなりすごいことに、ゴルゴが標的のアジト船に潜入するも仕留めそこない、さらには標的の反撃に被弾して退散するという大失態をいきなりやらかしてしまうのだ。
どうなってるんだ、ゴルゴ。

さらにこのゴルゴ、ボーガンやサバイバルナイフでの格闘のみで、まったく銃を撃たない。
最後の最後になってようやく拳銃を撃って、ストーリーは終幕を迎える。
と思いきやエンディングテーマの流れる中、帳尻合わせの狙撃シーンが挿入されて、そこで本当にジ・エンド。

「ゴルゴ=スナイパー」という原作の大前提を覆す、ゴルゴファンにケンカを売っているのかと思わせる内容だが、こんな作品に出会えてボクは感無量だ。求むシリーズ化。

[Menu]

ゲームの中の『ゴルゴ13』


「シークレットキラー」

(LCDゲーム/ポピー/1983年)

「ゴルゴ13 第一章 神々の黄昏」

(ファミコンソフト/ビッグ東海/1988年)

ショボいゲームの寄せ集めのつくりと、理不尽に高難易な設定とにより、クソゲーとして揺るがぬ評価を得てしまったファミコンゲームソフト。

アドベンチャー風会話シーンをおりまぜた横スクロールアクションゲームでありながら、いきなり360度画面のガンシューティングに切り替わったり、戦闘ヘリシューティングに切り替わったり、3D迷路ゲームに切り替わったりと、ゲーム内容はむやみに多彩。
ひとつひとつはかなりショボいが、「うちは品数で勝負や」という意気込みに溢れ、いろんなゲームをひたすらぶち込んでいる。

このソフトが何よりも素晴らしいのは、ドラマ風な演出が徹底している点である。
プロローグにやたら長いナレーションが流れたり、ステージ毎に「ACT1 THE IRON CURTAIN」「ACT2 THE MOVING TARGET」とタイトルカットが表示されるのは序の口で、ゲームオーバーになったときのコンティニュー画面は「つづく」「次回 THE MOVING TARGET ご期待ください」という次回予告仕立て。
さらに、プレイ中に停止ボタンを押すと、ゲームオリジナルのゴルゴ13・テーマソングが流れるのだ。しかも歌詞付き。転載はしないがこの歌詞が実にカッコよすぎる。

しかも、ゴルゴが拳銃で戦闘機やミサイルを撃墜するは、敵キャラがやられるとショッカー怪人のごとく爆死するは、ラスボスがちょっとアレだったりと、原作をはるかに凌駕した大味な戦闘アクション演出なのもいちいち素晴らしい。

さらには、アクションだけではあきたらず、お色気として、美女とホテルで一夜をともにするシーンまで出てくるのだ。
グラフィック的には大したものではないが、
「こんやは あなたと ふたりで おもいでの よる を すごして みたいわ。。。」
「ふたりだけの セレモニー。。。 おとなは そのまま よ こどもは Bボタンを おしてね」
「私たちの しごとは いんがな ものね。。。 こんな ひとときにしか いきる よろこびが あじわえないんですもの。。。」
「いのちを はって いきている から からだには じしんが あるのよ」

などなど、ちびっ子ゲーマーには難しすぎてよく分からないセリフがこれでもかと出てきて、雰囲気を盛り上げまくる。

かくして、バイオレンス・アンド・エロスの濃厚なゴルゴ13ワールドをファミコン上に構築しえたこのソフト。
ゲーム性そのものを顧みずどうでもいい箇所にばかりこだわりまくっていて、確かにクソゲーではあるが、キャラゲー(版権キャラクターのゲーム)のあり方としては全くもって正しい、これぞキャラゲーの王道と呼ぶにふさわしいゲームソフトなのだ。

[Menu]

「ゴルゴ13 第ニ章 イカロスの謎」

(ファミコンソフト/ビッグ東海/1990年)

「ゴルゴ13」

(アーケードゲーム/ナムコ/2000年)

ついにアーケードで登場の、ナムコのスナイプシューティングゲーム。
筐体に備え付けのM16で画面表示の標的を狙い撃ちするという、「狙撃」に特化したこのゲームが素晴らしいのは、ずばり「ゴルゴになりきってプレイできる」という点だ。

各ステージでは、原作アレンジのデジタルコミックでゴルゴが狙撃に至る経緯が説明されて、プレイモードに突入。
類似の的撃ちゲームと異なり、ほとんどのステージにおいて使用弾数が1発と決められている。1発外すといきなりステージ終了になってしまうのだ。
まさしく「1発ですべてがきまる。2発目を撃つことはありえないのだ」状態。

ゲームのライフゲージは「信頼度(パーセント)」で表現され、1ステージ当りの失敗で60〜80%減少する。2ステージ続けて失敗すると、信頼度ゼロ%になってゲームオーバーになってしまうというシビアさだ。

つまりだ。恐るべきことに、ゲーム初心者だとたった2発(試射モード除く)でゲームオーバーになってしまうという、凶悪極まりないゲームシステムなのである。
1プレイ200円ならば、1発=100円というすさまじいコストパフォーマンス。
すげえ。
こんなゲーム、ゴルゴになりきらなければ、とてもやってられない。

とにかくこのゲームをやれば、ゴルゴの超人的狙撃テクに対して尊敬の念が一段と増すこと間違いなし。
ゴルゴファンならば、ぜひいちどはプレイされることをお勧めする。

攻略ページはこちら
[Menu]

『ゴルゴ13』のメディア展開

■テレビ放送

1971年にTBSで深夜15枠の連続ドラマ化。
「ダイビジョン方式」という、劇画カットの静止画に登場人物の声を吹き込んだ内容。
声の出演は新田昌玄(ゴルゴ)、大原麗子、辺見マリ、ちあきなおみなど。

■ラジオ放送

1977年にNHK-FMでラジオ番組化。詳細は不明。

■LPレコード

1979年にフィリップスレコードよりステレオ劇画「ゴルゴ13」発売。
「動作・24分の4」「魔笛のシュツカ」「マニトバ」「ANGRY WAVES」の4タイトル収録。
ちなみに、このステレオ劇画第2弾は「サバイバル」とのこと。

■ビデオソフト

1990年にリイド社よりビデオ劇画「ゴルゴ13」全10巻発売。「ストップモーション・バージョン」という、その名の通り劇画カットの静止画に登場人物の声を吹き込んだ内容。

第1弾 ROOM・No.909/第2弾 ナイトメア/第3弾 アラスカ工作員/第4弾 鎮魂歌に牙を/第5弾 ラ・カルナバル/第6弾 AT PIN-HOLE!/第7弾 キャサワリー/第8弾 九竜の餓狼/第9弾 聖者からの依頼/第10弾 動作・24分の4

■CDソフト

1996年にメディアレモラスより発売のドラマCD。
「ビッグ・セイフ作戦」「ラ・カルナバル」「狙撃のGT」「河豚の季節」の4タイトル収録。

■プレイステーション、CD-ROMソフト

1998年に発売のデジタルコミックソフト。「カーライルの野望」(「ロックフォードの野望」の改題)と「見えない軍隊」の2タイトルあり。

[Menu]

『ゴルゴ13』研究本

かの有名な『磯野家の秘密』がはしりとなって、1990年あたりからいわゆる「マンガ研究本」が数多く出版されている。その中から『ゴルゴ13』の研究本について以下に紹介する。

『ゴルゴ13の秘密』

(世界ゴルゴ調査会東京本部著/データハウス/1993年)

初の『ゴルゴ13』研究本にして、ゴルゴファン的にはやや不快な一冊。
取り扱うトピックは「ゴルゴの年齢」「私生活」「資産」「銃」「表情」「能力」「性」などなど多岐にわたっておりマンガ研究本としての水準は悪くない。特に銃に関する考察が傑出していてよい。
しかし、ゴルゴの持病について「なんと女性を強姦したり、性的に異常な行為をすると治ってしまうのである」「ゴルゴ自身の口から、自分について『日露混血だ』といっている」など、考察がいちいちフライング気味。
さらに問題とすべきことに、ウケ狙いなのだろうがゴルゴを小馬鹿にするような記述が、本書全体にわたって散見され、特に「愛銃の秘密」の章は考察が過ぎて粗探しになっている。
作品の矛盾点を突っつくこと自体は悪いことではないものの、ファン的に笑うよりもムッときてしまうのは、やっぱり著者の作品知識以前の部分に問題があると断定させていただく。

[Menu]

『ゴルゴ13真面目研究』

(ゴルゴを愛する13人委員会 代表森川直樹著/サンドケー出版/1993年)

データ分析の充実度においては、類書の中でいちばん。
テーマ毎に、ゴルゴ全作品を検索して該当描写を羅列しているのだが、その検索が徹底している。さらに巻末には本当に『ゴルゴ13』分析データ集を掲載していて、決してヤッツケ仕事でないことが分かる。
本書の数箇所で、前述紹介の『ゴルゴ13の秘密』に関して「不完全なデータと浅い観察・分析」、「ゴルゴに対する『愛』が感じられない」と批判しており、カバーの帯には「『秘密』らしくない『秘密』に満足できなかった本物のゴルゴ・ファンに捧ぐ!」と当てつけがましいコピーがあるが、さすがに言うだけのことはある。
ただしその反動でやたらと「ゴルゴを愛する我々としては」などとやたらと「愛」を強調していて、これはこれで引いてしまう。

ちなみに本書の書名「真面目研究」と、私の名前「まぢめ」の微妙な一致は、まったくの偶然であることをお断りしておきます。

[Menu]

『ゴルゴと呼ばれた男』

(プロジェクト=デューク著、政策時報社、1993年)

ですます調な文体とQ&Aの構成がゴルゴファンを脱力させる、研究本としては内容の薄い一冊。
トピックはそれなりに幅広いが、前項の2冊を越える内容はほとんどない。最後発でこれではいかんだろう。
但し、「ゴルゴ13の吸っている煙草は何ですか?」「ゴルゴ13はどんな車に乗っているのですか?」の章だけは注目。特に煙草の章では、ゴルゴの必須アイテム「トルコ巻きのトレンド」について、著者が実際に調査しているのである。
「この『トレンド』というものがどんなものか知りたくて、手に入れてみようとタバコ・センターのような所に行ってみたのですが、『トルコ葉』は日本に輸入されていないらしく入手することはできませんでした。アメリカにも問い合わせたのですがやはりトルコ葉はないようです」
そうですか。トルコ葉はなかったですか。
それにしてもこの行動力はすごい。この内容自体たいへん為になるし、ゴルゴ研究者たるものこうありたいものだ。
なお、本書はひかり出版から再刊されているらしい。

[Menu]

『ゴルゴ13』のパロディなど

知名度、内容のハードさが幸い(災い)してか、『ゴルゴ13』ほどパロディ化しやすいマンガはないだろう。
というわけで『ゴルゴ13』のパロディを集めてみました。ほかにもあったら皆さんの情報求めます。


『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治)

10数年に渡る連載期間の長さから、『ゴルゴ13』と比較して語られることの多い「週刊少年ジャンプ」連載のギャグ漫画。作者がさいとうたかを氏に憧れて漫画家を志したというだけあって、ゴルゴ・ネタは数多い。
タイトル内容
「ニューフェースの任務の巻」
(ジャンプコミックス 24巻)
ゴルゴキャラ後流悟十三(ごるごじゅうぞう)が登場。最後のコマでは両津巡査はさりげなく『ゴルフ13』なる漫画を読んでいます。
「根暗世代の巻」
(ジャンプコミックス 28巻)
根暗学生の鮮やかな(だけどシャレにならない、ちょっとヤバめな)復讐ぶりに、両津のコメント「ゴルゴ13みたいなやつだ」
「原始家族の巻」
(ジャンプコミックス 31巻)
さりげなくゴルゴネタ入ってます。
「漫画家残酷物語の巻」
(ジャンプコミックス 33巻)
作中冒頭で作者が『ゴルゴ31』なる劇画に感心しています。
「改造人間コンテストの巻」
(ジャンプコミックス 40巻)
『ゴルゴ31』シリーズの「ラオスのけし」のバーのバーテンのフィギュアという、ゴルゴ・マニア的には欲しくて欲しくてたまらない逸品が登場します。
「迷(?)刀鍛冶両津見参の巻」
(ジャンプコミックス 52巻)
ゴルゴじゃないですが、想像シーンで「両津不用の介」が登場していたので、つい加えてしまいました。
「武装刑事登場の巻」
(ジャンプコミックス 54巻)
ゴルゴキャラ第二段ボルボ・西郷登場。ボルボは他も56巻「ボルボとハチ蜜の巻」、70巻「ボルボ式射撃特訓の巻」、81巻「ボルボの初デート!?の巻」など登場多数。この後、準レギュラーと化していきます。
「ただ今スコープ調整中!の巻」
(ジャンプコミックス 81巻)
ゴルゴキャラ後流悟十三ボルボ・西郷の共演モノ。ゴルゴ・ファンの注目を集めた作品。


『江口寿の爆発ディナーショー』(江口寿)

4ページギャグ連作集。「デュークの日々」という一編で、ゴルゴのあの髪型維持の秘密が明かされている。双葉文庫にて入手可能。


『殺意の丼飯』(しりあがり寿)

4ページ作品。『少年マーケッター五郎』(竹書房)に収録。


『コージ苑(第3版)』(相原コージ)

「を」の項参照。狙撃完了後のゴルゴの一瞬の表情の変化を捉えています。

[Menu]

Top Page

(c)1999-2000 まぢめ e-mail:aja@tky2.3web.ne.jp