「バイオハザード」ゾンビにまつわるエトセトラ
バイオハザードのゾンビ君についてです。
・・・と言っときながら・・・ 「バイオハザード ディレクターズカット版」についてくる「バイオハザード2」の体験版のゾンビ君、リアクション増えましたねぇ。結構イイ感じです。
ファミ通97年10/10号の開発者インタビューにも書いてありましたね、「『ロメロ系ゾンビ』に近付けようとした」と。ではその「ロメロ系ゾンビ」とはなんぞや? ゾンビの起源は諸説あると思いますが、わたしの知る限りでは、「ゾンビ」とはブードゥー教の儀式のひとつで、さとうきびの運搬などの肉体労働を行うために呪術によって死者を蘇らせていた、という言い伝えからきています。 #もちろん儀式の名称が「ゾンビ」ではございません(儀式の名称は知りません)。 この場合のゾンビ君は「リビングデッド(生ける屍)」といったほうがいいでしょう。
当然労働力として死者を蘇らせているワケですから、人を襲うことはありません。
ですからもともとゾンビ君は人間と共存共栄していたワケです。
もう「とりあえずビール!」みたいな感覚で「とりあえずゾンビ!」(^^; それは映画監督「ジョージ・A・ロメロ(George A Romero)」です。
もともとロメロはコマーシャルフィルムなどを専門に撮っていました。その彼が映画を作ることとなり、上に書いたブードゥー教の伝説に目をつけたのです。
このときに「ゾンビは人肉を喰らう」「ゾンビに襲われた人間もゾンビになる」といったおなじみの設定が生まれました。ですが当時はあまりにショッキングな内容(というかカニバリズム(人肉喰い)というタブーを扱った内容)であったため、上映禁止(アメリカじゃよくあるハナシ)にする劇場が続出。いうなれば幻の作品となってしまったのです。ハリウッド的ではない、まったく救われないラストシーンもそれを助長させるものであったでしょう。 で、時は過ぎ、ロメロは再びリビングデッドシリーズを製作することとなります。それが「DAWN OF THE DEAD『生ける屍の夜明け』('78)」です。
#これ、ファミ通では「ダウン・オブ・ザ・デッド」になってるけど 「あれ?『ゾンビ』じゃないの?」と思うひともいるかと思いますが、「ゾンビ」とはヨーロッパで公開される際に配給会社(というよりダリオ アルジェントが、といってもいいかな?)つけたイタリア版のタイトル。つまりアルジェント版のほうを「ZOMBIE 〜DAWN OF THE DEAD〜」というわけです。ですからアメリカ版の予告編は「DAWN OF THE DEAD」の連呼。イタリア版の予告編は「ZOMBIE」の文字の繰り返し。本編の構成も大分違います。これは何故か?
もともと「DAWN OF THE DEAD」はロメロのもとでアメリカ映画として製作されるハズでした。ところが脚本の段階で、このまま撮影をするには予算が足りなくなる
ことが判明。急遽スポンサーを探すこととなったのです。
ですが、このときの契約内容がちょっと変わっていて、アメリカにおける興行権はロメロが、ヨーロッパにおける興行権はアルジェントが持つことになったのです。 ロメロ版ゾンビはどちらかというと、ドキュメンタリータッチの作品に仕上げられていて、「静」の部分が強調されています。対してアルジェント版は自らプロデュースしているバンド「ゴブリン」の曲をふんだんに使い、ストーリーよりもテンポ重視といってもいい、「動」の部分が強調されているといっていいでしょう。
で、日本公開版はどっち?というと、当時日本では無名に近かったロメロより、「サスペリア」などでネームバリューのあったアルジェントのイタリア版を買い付て
公開されました。邦題も、そのものズバリ『ゾンビ』。「ゾンビ」という言葉がこのときはじめて日本に上陸したのです。 ちなみに本編中では「ゾンビ」という台詞は1度しかでてきません。ですが、「ゾンビ」という言葉のインパクトや、短いフレーズで多くを語れることから「ゾンビ」は全世界共通語になってしまいました(笑) 当然日本でもドリフのネタになるほど(笑)大ヒットしたワケです。
「ゾンビ」は新種のモンスター映画みたいな扱いをされていました。
・・・と言ってるうちに85年に日本でもビデオが発売されました(^^
「劇場で観たのと違う!」 アクションホラー的なつくりをしていたイタリア版とのあまりのギャップに人々は「どっちがホントの『ゾンビ』なの?」と混乱することとなります。 結局イタリア版のビデオは発売されず(これについては後述)、アメリカ版が「本当の『ゾンビ』」として普及していくこととなったわけです。私見ですが、これは正しい判断であったといえたでしょう。原案も含めて「リビングデッドシリーズ」は元々ロメロのものなのですから。これは別にアルジェント版がよくなかったとか、そういうことではありません。これは2人の監督による恐怖に対してのアプローチの違い、といってよいでしょう。
この作品の大ヒットによりゾンビ映画、スプラッタ映画がブームとなるわけです。
#どっちかっていうと「13金」は「ハロウィン」の影響のほうが強いか(^^;;
このブームのなかロメロもリビングデッドシリーズ第3弾を製作します。
ちなみに同時期アルジェントもゾンビものを製作します。「デモンズ('85)」です。 時をおいて1994年、「ゾンビ ディレクターズカット完全版」が日本で公開され、それにあわせて「ゾンビ ダリオアルジェント監修版」も公開されることとなったのです。これにより国内ではじめてイタリア版がビデオで発売されることとなりました。 あえてそれぞれのストーリーの内容などは書きませんでした。話を知らないひとはビデオを借りましょう。いまなら「ゾンビ ディレクターズカット完全版」などは確実にレンタルできるかと思います。トム サビーニが「Say Goodbye」と言ってネタを降りおろすシーンがカッコいいです(^^)/
ちなみに「一体日本には『ゾンビ』は幾つバージョンがあるの?」といいますと・・・ とまあ、様々なバージョンが存在いたします。
いまさらながらバイオの話に戻りますが、バイオのゾンビ君が支持(?)される理由のひとつに、「ロメロの描くゾンビのステレオタイプ」を見る事ができるからではないで
しょうか?これは外見上のものというより雰囲気的なものですが・・・ でもよくかんがえると「バイオ」のゾンビって死者じゃなくてウィルス感染者だったんだっけ・・・(^^;;;
最後に、ロメロはこんなことも言っています。 ではでは、こんなダラダラとした文章につき合っていただいてありがとうございます m(_ _)m
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