雑文

「EVE burst error」

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 ちょっと長くなるのでオフラインで読まれるのがよろしいかと・・・
 さてと、1月23日に購入したサターン版「EVE burst error」を終わらせました。ちなみにわたしはパソコン版はやっていないので純粋にサターン版に対しての感想になります。つまり予備知識はまったくないということです。お話しの内容についての感想(あらすじをただならべただけのような)はできるかぎり控えさせていただきます。


 まず感じたのが、「長っげぇ〜」です(^_^)。23日(木)に買って金、土、日と睡眠、食事以外はほとんど費やして(途中、ダイナマイト刑事に2、3時間程割いたけど)、実質20時間ちょっと、というところでしょうか。当然なにかの本、または記事などはほとんど目にしていないし、音声などはよほどこっぱずかしいセリフ以外はとばしませんでした(*^_^*)。分岐があるわけでもないし、謎説きもほとんどないので皆さん同じ様なものかと思います。
 しかし後半(というよりエピローグ)かなりヘビーな話になりますねぇ。さすがに涙は流さなかったけど、なんかこう、胸をしめつけられる感じがしました。ツボを押されたって感じでしょうか。でも「μ101」の正体知ったときは「はぁ?」と思ってしまいましたが・・・(この脱力感は「ア・ホーマンス」のそれに近かった)。でも終わってからしばらくなんにもできないでなんかボーっとしてしまいました。こんなの久しぶりです。主人公二人の後日談を描かなかったのも正解と言えるでしょう。


 これだけ長い話をしかも二人分(小次郎とまりな)つじつまが合うようにまとめるのはまったくたいしたものです。少しギクシャクした部分もありますが・・・
 例えば小次郎編。孔(ニセ)の依頼を果たした後、次の行動へ移るまでにまりな側との時間軸を合わせるために多少間延びするような感があり、御堂にかかわる過程がいまいちあやふやになっています。私はどちらかというと「まりな側では、こう話が進んでいるから小次郎はこうなるべし」といった印象をうけます(逆もまたしかり)。移動にかなりの自由度があるため余計にそう感じるのかもしれません。まぁフラグ立ての面倒くささ(これが時間を食う一番の理由かもしれませんが)も手伝って話の本筋を見失ってしまいがちです。このような部分が次のイベントが発生するまでの間にいくつかみられるのは今後の課題といったところでしょうか(似たようなゲームが出てきた場合ですが)。


 しかしこのゲームの最大のウリ(?)であるマルチサイトシステム(ザッピングとはちょっと意味合いが違いますよね)は予想以上におもしろい効果を引き出してくれました。マニュアルにあるような「片方からは開けられないドアをもう片方なら開けられる」なんて腰くだけなものではなくて、うまく言えませんが「片方ではこう関わってきた人物がもう片方ではこう関わってくる、その2つの要素をプレイヤーのなかで膨らませて物語やその人物像を掴みとっていくことができる」といったところでしょうか。ちょっと畑はちがうかもしれませんがタランティーノも似たような手法をつかいますよね。「トゥルーロマンス」と「レザボアドッグス」のアラバマが同一人物だったり、「レザボアドッグス」のMr.ブロンドと「パルプフィクション」のビンセント・ベガが兄弟だった、といった裏設定をつくって観る側の想像力を刺激する、これと同じ様な効果(ちょっと違うか・・・)をこの作品はかなりのレベルで昇華していると思います(少なくとも高千穂遥が昔やった「ダーティペア」と「クラッシャーシリーズ」でまったく同じ事件を追う、という話よりは。あのころはまだかなり実験的な要素が強かったように感じます。まぁこっちは小説ですから純粋に比べるのはムリかもしれませんが)。ハッキングのシーンは緊張感アリアリでした。


 ただここでこの作品が「ゲーム」である、ということを思い出さなくてはいけません。このようなシステムをとることによって、たしかに話の全体像、個々のキャラクターの性格等、非常に掴みやすくなっています。しかしそれはプレイヤーにある種のジレンマを生む要因となってしまいます。この作品が完全なザッピングではない、というのも原因のひとつであるかもしれません。つまりどういうことかといいますと、話の中ではたしかに小次郎、まりなとも同じ時間軸にそって動いていますが、必ずしもプレイヤーはそうではない、ということです。片方では重要な情報を知りながらもう片方ではそれを知らないふりをして右往左往する。だいたいはなんらかのフォローが入れられたりしていますがそういった部分のもどかしさも感じられます。二人分の情報を得ているのに一人分にしか生かせない、「森は見えているのに木は見えない」そういった感覚に襲われることもしばしばでした。そう、話の流れがどちらかというと映画よりという感じがします(まぁそれをねらってるんだろうけど)。 これは捜査そのものにはあまりプレイヤーが関与できないのが理由かもしれません。それだけに最後の犯人入力は面喰らった、というか必要なかったような気がします(だってほとんど一人の犯行だったし・・・)。初めてやってズバリ全部の犯人がわかる人なんていませんよね?(おかげで真弥子の日記を二度みるハメになってしまった・・・)


 18禁表現についても避けては通れないところでしょう。パソコン版をやっていないのでどのシーンがカットされているかは私の知るところではありませんが、おおむね良しと言えるのではないでしょうか。ただ主人公(特に小次郎)の性格をもう少しいじってもよかったのでは。直接的な描写はさすがにありませんがエロゲーの主人公特有の下品な表現がここでは浮いてしまってます。弥生といつのまにか4発やってたり、シリアとなぜか肉体関係をもっていたり、多分そうなんだろうな、とは解っているけど画像その他の要素(行為中の文章)をカットしたのなら、こういう部分にも気を配ってもらいたいものでした。別にエロゲーうんぬんではなくて、移植の際にカットするなら、という意味で。


 それと私の心を掴んだ要因として大きいのはやっぱり声優陣のすごさでしょう。アイドル系の声優さんはおいといて(あんまり詳しくない)脇をかためるベテランの豪華さ!なんといっても本部長の野沢那智!!オジサマの納谷悟郎!!グレンの飯塚昭三!!(オヤジばっかしだな・・・)もうすごすぎです。くらくらきます。特に野沢那智のイヤミにならないオネェ言葉は絶品です。家庭用ゲーム機で彼を起用したのはもしかして初めてでは?(チキチキマシーンはちょっと別。あれはもとのアニメがあったればこそという訳だし)、PCエンジンのコブラは故山田康雄だったしね。これで青野武と広川太一郎がいれば・・・(もうおわかりですよね?)これだけでも買った甲斐があるというものです(おおげさかなぁ)。逆に主人公二人は基本的に文字ばかりが多いせいもあって、自分のなかでのイメージの声になってしまい、いざしゃべりだすと「あれ?」と思ってしまいました(上手なんだけどね)。これはしかたのないことでしょう。


 とまぁ褒めたりけなしたりしましたが総合的にみれば非常によくできたゲームです。もし持ってないのに読んじゃったひと、はっきりいって買いです。これで18禁のMac版がでたらいうことなしなんですけどね(なんだよ結局エッチなのが好きなんじゃん)。

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