USA ( + Canada ) Hard core punk 80s 目次

1. About USA punk in 80s

(アメリカはパンクに何を見たのか?)

 

2. 80s USA ( + Canada ) punk album list 61 title

 

 御異論等あると思います。ご指導・ご鞭撻のほど、宜しくお願いします。     

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ人はパンクに何を見たのか

 

「アメリカでは、バンドは完璧であることを求められる。ところが、セックス・ピ

ストルズは) 完璧でないばかりか、完璧でないことを気にも留めなかった。それが

すごく新鮮だった。それで、自分たちもパンクを始めたんだけど、実際の音を聴い

たことがなかったもんで、まあ、こんなもんだろう、と思いながら演奏してた」

 

「モヒカン頭で、何かわけのわからないことをガウガウ唸っている、それがぼくの

パンクのイメージだった」( FOO FIGHTERS / DAVE GROHL)

 

 イギリスのようなまとまったムーブメントが起こることはありませんでしたが、

八十年代のアメリカ・パンク・シーンは、アンダーグラウンドのレベルで、玉石混

交の状況が出現していました。しかし、上の発言を見ても分かるように、アメリカ

においてはパンクはなかなか正しく理解されず、暴力的なイメージばかりが前面に

出たり、自己流の解釈をするバンドが少なくありませんでした。また、全体的な広

がりが無かったために、都市によってもシーンの性格は異なっています。比較的、

UKからの影響が強く、多様なバンドを生んだLA。独自の伝統を

誇るボストン。ストレート・エッジの中心としてのNY、ワシントン。これらが代

表的な所です。

 混沌とした状況の中にあって、八十年代初期には既に、アメリカ独自のハードコ

アのスタイルが形成されています。そのひとつとして、いわゆるストレート・エッ

ジ (以下、SxEx) が挙げられます。「ストレート・エッジ=米ハードコア」とは言

えませんが、八十年代の米ハードコア最大の成果であると共に、そのオリジナリティ

は注目に値します。

 CRASS や CRASH の例を見て分かるように、パンクが社会の矛盾に対峙しようと

した時、ヨーロッパではイデオロギーの対立となって表面に現れました。そこか

ら、パンクスの、既成の社会秩序からドロップ・アウト(現在の社会システムを

否定する)するという傾向が生まれています。結局は、その傾向がパンクを極端に

走らせ、社会から孤立した結果、ついには自滅してしまったと見方ができます。

 しかし、資本主義の牙城たるアメリカではイデオロギーの対立は存在せず、

個人が現状にどう対峙するか、という命題だけが残りました。改めて言うまでもな

く、アメリカのキッズを取り巻く状況は厳しいものです。家庭の崩壊、激増する犯

罪、ドラッグ、アルコール、エイズ。アメリカのキッズはパンクの本質に触れた時、

厳しい現実に立ち向かう力をパンクの中に見ることになるのです。

 SxEx は、MINOR THREAT の曲名から、その名が取られました。MINOR THREAT は

「OUT OF STEP」という曲の中で、次のように呼びかけています。

「ヤクはやらない/酒は飲まない/ファックもしない/そうすれば少なくとも考

えることはできる/・・・いつまでも世界から逃げてはいられない」

 自分を害するものを遠ざけ、自分自身を律した上で過酷な現実と対峙しようとい

う態度は、多くの共感を集めることになり、GOLLIRA BISCUITS, YOUTH OF TODAY な

どのフォロアーを生み出しました。こうした精神的態度は、音楽的な面にも現れてい

ます。すなわち、極限まで絞ったビートや、叫びとしか言いようのないヴォーカル、

リスナーに媚びるような表現を徹底的に排除した楽曲(従って音楽的には面白味に

欠ける)、扇動的な歌詞は、米ハードコア独自の型を形成しました。こうした極端

な音楽は、当然、一般に受け入れられることはありませんでしたが、一部で熱烈な

支持を受け、その後、SICK OF IT ALL や VISIONS OF DISORDER にまで続く、米ハ

ードコアの王道となるのです。

 単に SxEx というと、現在ではパンクを離れて、一種のライフ・スタイルを指す

言葉になっています。また、厳密に規則を当てはめてしまうと (例えばビール一本

飲んでも SxEx ではないということになる )、どのバンドが SxEx かという選別

が問題になるかもしれませんが、私は広義に解釈して、ハードコアのスタイル、

問題意識に基づく主張、ストイックな精神性があるバンドは SxEx であると考えて

います。

 SxEx の中心は、ワシントン、NYですが、これと比較しておきたいのが、ボスト

ンを中心とするハードコアです。こちらは特に精神的背景に縛られていない分、コ

ントロールされていない暴力性が前面に出たりしていますが、一方で LEMON HEADS

や PIXES, DINOSAUR JR といったオルタナとパンクを繋ぐ娯楽性の高いバンドは、

ボストンとその周囲から出ています。

 ついでながら、私は、狭い意味の SxEx は、宗教とパンクが結び付いた特殊な例

だと、かなり長い間、誤解していました。必ずしも「SxEx = 神を信じる」と

いうことでは無いようですが、こうしたシーンの背景には、清教徒の国、アメリカ

の精神性が垣間見えるのです。この点、ヘロインで命を落としたシド・ヴィシャス

をイコンとする英国とは、一線を画するものがあります。ついでに言うと、CRASS

のスティーブ・イグノラントもジャンキーだったそうです。

 

「最初、パンクの暴力的なイメージにはうんざりしたよ。だけど、ある時、本物

に出会った。そいつはタイトで速くて、本当にぶっとんだんだ」

( RED HOT CHIRI PEPPERS / Flea )

 

 混沌とした、けれども豊かな米パンクは、実に十年という時間を掛けて、熟成し

ていきました。シアトルでは、SUB POP というレーベルが設立され、パンクとハー

ドロックが混じり合い、グランジ・ロックが生まれます。メタルとパンクが接触し

た所では、スラッシュ・メタル ( METALLICA、ANTHRAX ) が生まれるなど、パンク

が触媒となって、様々な音楽が結び付き、八十年代の終りには、オルタナティブ・

ロックと呼ばれる一大シーンが浮上してきます。

 ここから NIRVANA ( NIRVANA そのものはハードロックバンド ) や GREEN DAY な

どが現れ、長い間、イギリス主導で動いていたミュージック・シーンが、ついに逆

転される時が迫ってきます。

 九十年代、「アメリカの時代」がやってくるのです。

 

「俺たちは、八十年代のアメリカ・パンクを聴いて育ったんだ」

( GREEN DAY )

 

 

 

UK hard core 80s album list 80 title

ここでは、TRASH, GARAGE, GIRL'S PUNK, MELODIOUS PUNK を除く、80s の USA +

CANADA のバンドを紹介します。(上のものはまた別に取り上げるつもりです) イギリスに

比べると、パンクの定義が曖昧になっているバンドが少なくないため、相対的な評価は付

けにくいです。つまり、どうしても「好みの問題」というものが大きくなってきます。こ

のHPは、バンドをけなすことが目的ではないので、ここでは相対的な評価は避け、優れ

た作品を「私の個人的な評価」として、「推薦」するという形を取らせていただきます。

私の感想がガイドになって、米HCをもっと沢山の人が楽しんでくれることを願っていま

す。

 

'musician' (theは省略)

in alphabetical order

'album title'

Red = Recommend

 

Black flag

(LA)

1. First 4 years(1983)

2. Damaged (1981)

 

私はヘンリー・ロリンズとは意見が合いません。ロリンズ・バンドも駄目でした。ロリンズのいない Black flag (1.) は好きなんですが。

Bad religion

(LA)

3. No control (1983)

4. Generator

5. Stranger than fiction (1994)

6. The grey race (1990)

メロコアの元祖。メロコアの元祖になっているバンドには、共通して言えることだが、パンクに対する解釈が、他のバンドと違っていると思う。この辺は、意見の違いということでどうしようもないのかもしれないけど。

Bad brains

(NY)

7. Rock for light (1983)

8. The youth are getting restless (1990)

レゲエとHCをミックスしているのと、黒人のバンドであるという点で画期的。

Circle jerks

(LA)

9. Wild in the street. (1988)

 

Black flag や Bad religion のメンバーによって結成された。西海岸からの SxEx に対する回答。 

Channel 3

10. I've got a gun

11. After the lights go out

このバンドは、英の Cherry red と契約していたので、比較的、早くから名前が知られていた。が、中身が伴わなかったのは残念。

Chains of strength

12. Single collection

このバンドについては、詳しいことがわからない。基本的に SxEx だが、ヘビィでスローなタイプ。

Dead kennedys

(SF)

13. Fresh fruits for rotting vegetables. (1980)

14. In god we trust.(1981)

15. Plastic surgery disasters. (1982)

16. Frankenchrist.(1985)

17. Bedtime for democracy

18. Give me convenience or give me death.(single collection)(1987)

 

イギリスのレーベルと契約していたため、同時代で認められた数少ない米バンド。日本でも当時、GBH、DISCHARGE と並ぶ人気があった。また、リーダーの Jerro biafra は、 ALTERNATIVE TENTACLES を設立して、優れたバンドの紹介の努めた。米パンクの大御所。

 

Descendents

(LA)

19. I don't wanna grow up (1985)

20. Somery (1991)

21. Everything sucks (1996)

とにかく、キャッチーで良い曲を作る。米HCでは貴重な存在。変則的なリズムの曲も面白い。メロコアの元祖の一つだけど、例外的に大好き。

D.O.A

(Canada)

22. Murder

沢山アルバムを出しているグループなので、他にいいものがあるかも。興味のある人は捜してみて。このアルバムは中途半端だと、思うのですが。

D.R.I

23.Diry rotton LP (1982)

24. Dealing with it (1985)

25. Cross over

米ハードコアはもとより、ヨーロッパのグラインドコアにも多大な影響を与えた。自分たちをパンクだとは考えていなかったようで、25.から後はメタルに移行。パンク側から非難されている。

D.I.Y

(Boston)

26. Wolfpack

ジャケを見て、買うのをためらった人は私だけではあるまい。だけど、中身は正統派のボストン・ハードコア

Husker Du

(Minnesota)

27. New day rising (1985)

ボブ・モールドの作る音楽は、結局、ただのハードロックだと思うんですが。

Gang green

(Boston)

28. preschool (1984)

ボストン代表。SxEx との違いは「何も考えていない」ことか? ヤクでぶっとんだメンバーの写真を見ると、まさに最狂という感じ。中身は比較的素直にハードコアしてる。

Gorilla biscuits

29. Start today (1989)

SxEx の名盤

Hanson brothers

30. Gross misconduct(1992)

31. sudden death(1996)

Nomeansno のサイドプロジェクト。Ramons の物真似パロディバンドなのだが、聴いて驚けの、本物を超えるイミテーション。

Jello Biafra with D.O.A

32. Last scream of missing neighbors (1989)

ここで聴かれる D.O.A の演奏は素晴らしい。

Jello Biafra with Nomeansno

33. The sky is falling,and I want my mommy (1989)

Nomeansno の感性と、Biafra の感性が、うまく融合できなかった?

Lard

34. The last temptation of reid (1990)

Jello Biafra + Ministry。 で、分かるように、オルタナ/スラッシュ系の電子音楽。

Moving targets

(Boston)

35. Brave noise (1989)

 

メロコアの元祖。彼らのパンクの捉え方には疑問が残る。

Minor threat

(Washinton)

36. Single collection(1981)

37. Out of step

SxEx. 元祖!

Nomeansno

(Canada)

38. Sex mad + you kill me (1985,1987)

39. 0+2=1 (1991)

パンクというには、非常にねじれた感性を持つ。パンクというよりオルタナ。演奏が非常にうまいので、Primus あたりが好きな人にはお勧めかも。

Poison idea

 (Minnesota)

40. King of punks (1986)

41. Blank,blackout,vacant (1992)

42. We must burn

Taang! からのリリース。ということで分かる通り、ボストン系のハードコア。

 

7 seconds

(Reno,Nevada)

43. Old school(1983)

44. Walk together, rock together (1986)

45. The music,the message (1995)

西海岸から。疾走感あふれる傑作を出したが、45.で大コケ。解散したということだが、最近、再結成したらしい。

Sick of it all

(NY)

46. Blood,sweat,no tears (1989)

47. Scratch surface (1994)

48. Built to lust (1997)

49. Call to arms (1999)

SxEx./ NY Hard core の完成形。

S.O.D

50. Speak English or die (1985)

Anthrax と Nuclear assaultのスラッシュ・メタルのメンバーと、ハードコアの Billy Milano による企画物。メタル系の人は演奏がうまいので、破壊力も格別。だけど、あくまでも企画物。

Social distortion

(NY)

51. mummy's little monster (1982)

52. Prison wall  

53.White light, white heats, white trash (1996)

非常に中途半端なバンドだったが、再結成後に傑作 53. を出した。じっくり聴かせるタイプ。

Strangle Hold

(Boston)

54. Crash & burn(1983)

Mighty mighty bostons に影響を与えたといわれている。ポップで聴きやすい。

Suicidal tendencies

(LA)

55. 1st (1982)

56. Light,camera,revolution(1990)

1982 のフリップサイドの読者投票では、最低最悪のバンドの一位に輝く。が、彼らのアルバムは HC/THRASH の古典 となっている。

Tumor circus

57. Tumor circus (1990)

 

Jello Biafra + Steelpole bathtub

あくまでもオルタナ系の音。

Youth of today

(LA)

58. Break down the wall(1986)

SxEx. の古典

 

THRASH MATAL COVERS HARD-CORE

Heavy metal は、パンクからの刺激を受けて蘇りました。幾つかのスラッシュ・メタル・

バンドはハード・コアをカバーしています。私はメタルには何の興味もありませんが、技

術のあるバンドが演奏するハードコアは、また違った味があります。興味のある向きはお

試しを。

 

Anthrax

59. Attack of the killer B's

Discharge や S.O.D のカバーを聞くことができる。

Metallica

 60.

Misfits や Killing joke をカバー。 

Slayer

61. Undisputed attitude

アルバム全部がハードコアのカバーになっている。Slayer が好きでない人(私がそう)でも大推薦