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 経験は、いかなる命題をも正当化する。

T・リチャード「推論哲学」


1999年下半期

7月

8月

9月

10月

11月

12月


7/2  授業後急いで神保町に向かうも、愛書会古書店には間に合わなかった。書肆Hに行く。取り置きしていた三島由紀夫『潮騒』(新潮青春文学叢書)初版カバ付1200円、セリ・シュルレアリスム4『シュルレアリスムの発展』初版カバ付1500円、澁澤龍彦『異端の肖像』(桃源社)旧版初版凾欠1800円を購入。国文社の「セリ・シュルレアリスム」シリーズも、これであと1冊を残すのみで全部揃う。日夏耿之介のものが大量入荷されており、『近代神秘説』の元版などもあったが、『明治浪漫文学史』(中央公論社)凾付帯欠2000円を取り置きしてきた。
7/3  授業後、西部古書展のために高円寺の西部古書会館へと向かう。今日は朝から雨、そして風。まず大泉黒石『老子とその子』(春秋社)初版カバ付500円を拾う。それから杉山正樹『郡虎彦―その夢と生涯』(岩波書店)帯欠700円、デラックス「われらの文学」5『三島由紀夫』(講談社)を400円、吉行淳之介『私の文学放浪』(講談社)初版帯欠300円を購入。帰り際、外のものを何気なく見ているとダヌンツィオ『罪なき者』(ヘラルド出版)初版カバ帯付が500円であるではないか、これも購入。外に出ると、止みかけていた雨は更に強い風を伴って激しくなっていた。
7/5  学校に行く前に寄った神保町S書房で、ゾッキの安藤武『三島由紀夫の生涯』(夏目書房)を1200円で購入。ちょっと待っててよかった。やっぱり出たゾッキ。
7/9  所用で神保町へ。19時を過ぎていたが書肆Hに行ってみる。開いていたので、取り置きしていた日夏耿之介『明治浪漫文学史』(中央公論社)凾付2000円、それから『国文学』特集三島(76.12)500円と中村雄二郎『術語集』(岩波新書)100円を購入。そういえばすっかり忘れていたが「明治古典会」既に始まっていた。明日でも覗いてみるか。目録を見せて貰う。この間の新聞で取り沙汰されていた三島新発見資料、250万円からだが、誰がどこまであげるのか・・・。帰宅すると、先日目録で注文した現代日本名作選版三島『仮面の告白・愛の渇き』(筑摩書房)初版帯付1000円が届いていた。
7/10  学校の帰り、神保町へ向かう。今日は明治古典会七夕大入札会の一般人が入れる最終日なのだ。その前に経由駅の一つ池袋で下車、新刊書店ぽえむぱろうるにて生田耕作『鏡花本今昔』(奢霸都館)限定600部を4410円で購入。特装本は極金欠のためなくなく入手ならずも、新刊だから普及本はなくならないだろと後回しにしてい、なにがしかの金が入ったので今頃になってやっと買えた。・・・さて、会場に着いてまずは1階から。東京、産経、日経各新聞で報じられた三島由紀夫新発見資料もあった。落札最低価格は250万円。よく見てみると、どうも他の雑多な原稿類と一緒くたに和綴じに製本されているものの数頁のようである。封筒には既に幾つか札がはいっているようであった。鴎外、藤村、漱石、芥川等々、直筆ものはかなりあったが、やはり目がいくのは谷崎や三島。福島次郎宛葉書3枚45万円〜や、三島由紀夫「小説家の休暇」原稿2枚12万円〜、谷崎の書簡は戦後のものばかりだった。その他、内田百聞のラブレターやらタルホの原稿などもあった。古書のコーナーは、正に垂涎ものであった。荷風『墨東綺譚』私家版50部本450万円〜、それから(2000円する目録を買わなかったので最低入札価格は覚えていないが)荷風「問はず語り」原稿一帙、鏡花初版本20冊位一括、山崎俊夫『童貞』初版凾付本、鴎外初版本5冊一括、鏡花『婦系圖』上下カバー付初版18万円〜、川端康成『雪国』初版凾帯付8万円〜、川端康成全初版本一括230万円〜、寺山修司『奴婢訓』限定版5万円〜、生田耕作『ダンディズム』限定50部特装本12万円〜、北原白秋『邪宗門』初版凾欠一部乱丁5万円〜、上田敏『海潮音』初版5万円〜、三島『獣の戯れ』『三島由紀夫文学論集』各署名入2冊5万円〜、三島『宝石賣買』初版帯付30万円〜、『魔群の通過』帯欠8万円〜、太宰治『駆け込み訴へ』限定版帙付8万円〜、潤一郎『自筆本芦刈』8万円〜、潤一郎『春琴抄』黒漆本と朱漆本セットの誂え桐箱入が35万円〜、長田幹彦『祇園夜話』上下2冊夢二装幀10万円〜、近松秋江『別れた妻に送る手紙』初版5万円〜、尾崎翠『第七官界彷徨』初版8万円〜、等々等々・・・、それから2階を少し覗いてから3階へ。自筆書幅等が展示されている。特に伊東深水の画幅は直にみると感動的であった。その他のものでは三島の揮毫を掛け軸にしたもので「日本のスパルタ/熊本縣/三島由紀夫」というもの。落札最低価格は35万円である。しかし何だかやけに筆先が汚く、相当傷んだ筆でサッと書いたものではないだろうか。色紙も覗いてみたが、川端などがあるきり、荷風や谷崎はなかった。そろそろ閉館だというので外に出る。今日は涼しい風もふきいい気候だ。交差点を渡り角のS茶書房へ。外台から日本現代文学全集『大岡昇平/三島由紀夫集』(講談社)と同じく豪華版日本現代文学全集の同書をそれぞれ300円で、それとゾッキの板坂剛『真説三島由紀夫』(夏目書房)を700円で購入。その後K山書店でカラー版日本文学全集『三島由紀夫集』『三島由紀夫集(二)』セットで1000円を購入。隣のT書店は今日はなんだかやけに混んでいて、両手の大荷物故、すぐに出てしまう。それから書肆Hへ。ノーマン・メイラー『一分間に一万語』を500円で購入。寺山修司がよく引用していたので買ってみたのだ。それから主人と古典会の話。例の鏡花初版本一括や『童貞』の注文状況や軽い裏話をうかがった。最低落札価格というものは無論業者のみが入札できるもので、最低価格であるからそれは一般の古書相場よりは安くついている。それを考えるとムラムラと欲望が沸き起こり、ついつい最低入札価格5万円の、プレス・ビブリオマーヌから出ている『鍵のかかる部屋』A版(封筒には一つだけ札が入っていた)を×万×千円で入札してもらうように頼んだ。よく見るものだし、少々汚れもあるので、あんなもんで・・・大丈夫だろうか。まあ、買えればラッキーだし、買えなきゃあ懷が助かるそれだけの話だ。帰宅後気づいたのだが、今日からの古書愛好会展のことをすっかり忘れていた。悔しい。なんとこの展覧会には、今回の古典会でも最低価格8万円で出品されていた太宰治『駆け込み訴へ』限定300部和本仕立著者自筆題簽の帙入りが、何と50000円で出ていたのだ。それとか澁澤『幻想の画廊から』旧版凾付1800円とか。嗚呼。
7/13  学校の帰り、池袋リブロにて井村君江『「サロメ」の変容』(新書館)を2446円で購入。
7/17  昼過ぎ、神保町古書会館で行われている趣味の古書展へ電話。注文した谷崎潤一郎『青春物語』初版凾付署名入背傷あり10000円ははずれ。時間も少ないので神保町には行かず、五反田の南部古書会館での遊古会古書店に向かう。加藤郁乎『エトセトラ』(薔薇十時社)凾付2000円、ヴィアン『醜いやつらは皆殺し』(早川書房)500円、千葉俊二『谷崎潤一郎―狐とマゾヒズム』(小沢書店)献呈箋付800円、モーリヤック『愛の砂漠』(新潮文庫)200円、を購入。博文館の近代西洋文藝叢書が6冊位1冊800円で並んでいたが、惜しいかな、探求書であるダヌンチオ『快楽児』森田草平訳はなかった。
7/19  学校の授業で、担当教授の新刊書『青年期―谷崎潤一郎論』(小沢書店)を頂く。その後池袋で途中下車、久しぶりにサンシャイン近くの古書店K書店へ。ここは写真集だの漫画だのサブカル系の店だが、何とここで谷崎潤一郎『麒麟』(三星堂出版部)重版凾欠1000円と、伊東深水の木版装長田幹彦『ゆく春』(玄文社)背少痛1200円なんていうものを見つけ、驚く。即購入。
7/20  夕方、何となく柏に出、T書林を覗く。目新しいモノはなかった。ドナルド・キーン『日本の作家』(中公文庫)を250円、クロード・ベルナール『実験医学序説』(岩波文庫)250円で購入。その後、柏神社裏の小さな古本屋で酒井健『バタイユ入門』(ちくま新書)350円を購入。
7/23  昼過ぎに和洋会古書展に電話する。注文した萩原朔太郎『氷島』(第一書房)再版1500円と『ゴーチェ小説選集』凾付3冊揃10000円の両方ハズレ。このところ全く当たらない。学校に行った後、ギリギリだが神保町に向かう。が、惜しくも和洋会には間に合わず、それから向かったT書店もちょうど閉めたところであった。書肆Hも閉まっており、なんともやるせなく、そのまま馬場へ向かう。しかしここもギリギリで18時50分についた。殆ど閉まっていたが、取り敢えずS書房で前から目を付けていた『フランス幻想文学の総合研究』凾付1500円を購入。並びのS書店でゾッキの塚谷晃弘『谷崎潤一郎』(沖積社)を900円を購入。神奈川の古書店Kから目録届く。早速そこから三島由紀夫『白蟻の巣』(新潮社)再版凾付と堀口大学訳『月下の一群』3刷、それと、「レスボスの果実」があれば、ということで『コレクシオン・サフィール』2枚欠凾付も注文。
7/25  終わり30分前に、何とか中央線古書展の会場、西部古書会館についた。注文品は特にない。週刊『アサヒ芸能』昭和46年2月4日号を300円、奧野健男『戦後文学の青春』(第三文明社)200円、ヴァレリイ・ラルボー『美わしきフェルミナ』(新潮文庫)700円、江戸川乱歩『十字路・盲獣』(春陽文庫)100円、雑誌『南北』昭和42年5月号300円、を拾う。石川戯庵訳ダヌンチオ『死の勝利』(大日本図書)凾付を2000円で見つけた。凾付は初めて見たものの背が痛んでいたのでやめる。それから近くのK書店で日本文学全集48『三島由紀夫』凾付を100円で購入。また、先日米国の古書店に注文したMax Nordau: Degeneration,D.Appletons.Co,N.Y.,1902(9th ed)$23.75が届いた。
7/27  バイトで神保町へ。合間にT書店書肆H等を覗くも特になし。日本特価書籍で、リュシアン・ルバテ『ふたつの旗』上下を3150円で購入。この本、1冊で定価7800円もし、とても買えないと思っていたが、少し帯が破けているものの古書店でもこんな値では出ないのではあるまいか。その後三省堂で三島由紀夫『中世/剣』(講談社文芸文庫)を1029円で購入。
7/28  米国の古書店より先日注文したジョージ・ムーアの" MEMOIRS OF MY DEAD LIFE ", Heinemann,London,1919(3rd ed)$15が届く。
7/29  神奈川の古書店Kより注文書届く。三島由紀夫『白蟻の巣』(新潮社)再版凾付2000円と堀口大学訳『月下の一群』(第一書房)3刷15000円、それと、「レスボスの果実」があれば、ということで『コレクシオン・サフィール』(プレス・ビブリオマーヌ)内2枚欠凾付9000円も注文したのだが、留守中に「揃いのが2万円でありますがどうですか」という電話あり、家人が何も知らずに注文してしまったので、『コレクシオン・サフィール』1凾付揃20000円と、結構な買い物になってしまった。しかし、『月下の一群』の3刷、背革の痛みはまあこの値段だからこんなもんだとは言えるが、知らなかったことがある。装幀が初版と違うのだ。無論あの背革部分は一緒だが、平が金泥ではなく、マーブルというか同じく第一書房の『アポリネエル詩抄』と同じ紙なのである。また、3刷では2刷まで付いていた挿絵が全てカットされているのだった。とは言え、念願の『月下の一群』である。この華麗な背革装飾を書架に並べることは一つの宿願でもあった。以前はほるぷ出版の復刻版(復刻版だが今では古書相場で12000円くらいか)で我慢しようと思っていたが、やはり背革部分が本物と復刻版とでは微妙に違うのだ。T書店で、凾付初版が180000円で出ていた時は、本気で購入を考えた(とは言えそんな大金があるはずもなく)。しかしそれにしてもこの出費はキツイ。「サフィール」は三島のだけとって(代わりにカラーコピー付けて)売却しようか、どうか。
7/31  夕方柏に出る。T書林にて『ユリイカ』特集アルトー(96.12)を600円で購入。その後新刊書店新星堂で永井均『これがニーチェだ』(講談社現代新書)を購入。
8/2  高円寺のT書房に赴く。ついに以前から目を付けていた豪華限定版『三島由紀夫全集』(新潮社)段ボール外凾及び凾包み紙欠の凾痛み125000円というのを買おうとしたのだが、なんと売れてしまっていた。が、同じく特装版外凾付美本の揃いで150000円というのが出ていたので、購入。嗚呼、念願の豪華版『三島由紀夫全集』! 因みに定価は540000円もする。個人で、定価で購入した人っていたのだろうか? 普通、普及版でも180000円はする。しかし、これで4年ごしの悲願達成であるが、奨学金も殆どなくなてしまったのは悲しい。・・・・送られてくるのが楽しみだ。
8/5  豪華版『三島由紀夫全集』総革装天金6段マウント見返し手染マーブル本文2色刷差込口革装レンケルレイド紙製凾・段ボール夫婦外凾付きが届いた。惜しくも、第何回配本だとか印刷している外凾包み紙、それを更に包んでいる三島全集とスタンプが捺してある包み紙は、完全には揃っていなかったが、書籍をひらいた形跡もない極美本。もしかしたら、倉庫などに保管中のものが流れたものだとかの新古本かもしれない。
8/7  友人より雑誌『シアターアーツ』8号を、また国際演劇評論家連盟から9、10号を貰う。
8/10  神保町三省堂で雑誌『AMUSE』特集三島由紀夫の値段、8.11日号を490円で購入。
8/11  神保町T書店外台で、深沢七郎『人間滅亡的人生案内』(河出書房新社)を400円、大正時代の「海外文学新選」のひとつ、ワイルド矢口達訳『謎の女』(新潮社)を800円で購入。
8/12  新宿伊勢丹大古本市に赴く。まず、エオン・エキス『強姦の形而上学』(現代思潮社)初版ビニカバ帯付500円。高畠華宵のCDロムの未開封が1200円であるも、やめる。それから安田保雄『上田敏研究』(矢島書房)凾欠を800円。『ユリイカ』特集ワイルド(80.9)を300円、塚本邦雄『定家百首』(河出書房新社)再版凾帯400円。クラフト・エビング『不完全なる結婚』(學藝書林)カバ900円。(内容は「性的精神病理学」で、既に「世界性学全集」版なら所持しているが、平野威馬雄訳であるし、完訳を期待した。が、訳者「まえがき」を見ると、1943年との記述があるので、これは紫書房版の新装版であると後に気づいた)。日本文芸家協会編『年間創作傑作集1』(桃蹊書房)を500円。薄田泣菫『白羊宮』(金尾文淵堂)初版や酒井潔『愛の魔術』(国際文献刊行会)特装が8000円であるも、惜しくも金欠、これは欲しい。その後紀伊国屋に行き、アルトー著作集3『貝殻と僧侶』(白水社)を2548円で購入。
8/13  新宿伊勢丹に行き、酒井潔『愛の魔術』(国際文献刊行会)贅沢版限定500部を8000円で購入。昨日目を付けていたものだ。表紙に少し傷があるが、これくらいの傷で8000円ならばまあ安い方であろう。限定500部とあるが、無記番本であった。いつだか古書展でこれの普及版の方が同じ値段ででていた覚えがある。それからバイトで神保町へ。紙魚之会古書展へ。「豪華版日本文学全集」『三島由紀夫集』完本を500円で購入。
8/18  バイトで神保町へ。書肆Hを覗く。『さかしま』(桃源社)の背革版(限定千部)が出ていた。記番はないが、千部限定だとなにかの本で読んだ覚えがある。確か、この千部のうち、50部位が天金で、そのうち5部が総革装澁澤署名入。この5部本、6年くらい前になんと1000000円で出ていたのを見て吃驚した。が、2年前に60万円で見たときはそんなもんだろうと思ったものだ。だが百万もするなら、ティニ・ミウラにでも頼んで総革にして貰った方が安いかも? 千部の方も、背革の状態で、2〜10万円はするだろう(以前元パラ付極美と銘打って15万円するところを見かけた)。以前T書店でこれを50000円で購入したが、背革は極美だったし、まあいい方と自負する次第。それと、谷崎潤一郎『人魚の嘆き 魔術師』(春陽堂)再版25000円。これは以前ここHで初版を購入した、水島爾保布画のもの。取り置きの、ヴァレリイ小林秀雄訳『テスト氏』(野田書房)初版凾付少シミ(普及版じゃない方)3800円を購入。
8/18  学校にいった帰り、久々に帰り道とは逆方向の電車に乗ってみた。練馬で下車。I堂古書店へ向かう。代わり映えしていない。以前ここで澁澤の『ホモ・エロティクス』(現代思潮社)初版凾付を1500円で購入したことがあった。凾の背が取れかかっていたので、「これ、凾が壊れてるからこの値段なんですか・・」というと、すぐに2000円だったのを500円ひいてくれたのだ。ラッキーと思っていたが、数日後読んでみると、なんと乱丁本。だからあんなにほいほい値引きしたのか。・・・これも勉強だと思うしかないが、せめて一言言って欲しかった。ここで三島由紀夫『芝居の媚薬』(角川春樹事務所)初版完本を500円で購入。その後近くのK書店へ。ペロー澁澤訳『長靴をはいた猫』(大和書房)初版完本が300円であるも、既にもっているのでやめた。ここで三島の文庫初版本『剣』『絹と明察』(講談社文庫)、『宴のあと』『真夏の死』『音楽』『獅子・孔雀』(新潮文庫)、あと重版で異装カバ『金閣寺』、『沈める滝』(新潮文庫)、『夜会服』(集英社文庫)、『花ざかりの森他六篇』(角川文庫)、以上10冊各200円。その後、中村橋まで行き、駅前の古本屋を覗くも休み、そのまま鷺宮に歩いてゆき、数軒古本屋を覗くも、なし。・・それと出そうと思っていた城北古書展の注文書、出し忘れてた。夢二装幀幹彦『続金色夜叉』3000円は欲しい。
8/20  城北古書展に赴く。まずは「家畜人ヤプー」が連載されている『奇譚クラブ』昭和33年3月号を500円。寺山修司『時には母のない子のように』(新書館)500円、遠藤周作『海と毒薬』初版帯欠300円。三島由紀夫他『憂国の論理』(日本教文社)カバ付800円。そこで書肆Hのご主人に声を掛けられる。それから、辻潤訳なら既に持っているが、古典文庫版シュティルナー『唯一者とその所有』(現代思潮社)上下1200円を拾う。帳場横のガラスケースに、湯川書房の『谷崎潤一郎家集』限定150部本が20000円があった。この『谷崎潤一郎家集』は歌集なのであるが、他に普及版とおぼしきものと緑色の凾のやや小さい本を見たときがあり、3種類あるらしい。その後T書店を覗いてから書肆Hへ。取り置きしてあった谷崎潤一郎『金と銀』(春陽堂)初版背欠凾付1500円を購入。この『金と銀』、凾の背がついていれば、N書店目録では、48000円もしていたものだ。
8/23  バイト職場に向かう途中、神保町S書房を覗く。ここで光栄堯夫『三島由紀夫論』(五月書房)初版カバ帯署名入を1000円で購入。それからT書店を覗くも特になし。それから書肆Hへ。渡辺温『アンドロギュヌスの裔』(薔薇十字社)完本極美が45000円というのが入ったと主人。帯付じゃその位するだろうな。
8/24  松戸に出てみる。電話帳で確認したところ、案外松戸駅から行ける古書店は少ない。というかほとんどなかった。一軒目、全くダメ。その後、文庫単行本も少しある漫画ばかりの本屋、その系列店を3軒ほどまわる。が、なにもなし。だいたい、カバーがない文庫本は引き取らないとある。雷も激しく轟きだしたので、帰る。
8/25  バイトで神保町へ。時間が無くT書店しか覗けず。ポオル・モオラン『夜とざす』(新潮社)初版カバ付2500円を購入。新潮文庫版(といっても所謂文庫本ではなく四六判)だと、『夜ひらく/夜とざす』という合本があるが、今回のは「現代仏蘭西文藝叢書」版である。それならあとは『夜ひらく』だ。
8/27  今日は東京古書会館にてぐろりや会古書展。まず、丸木砂土『女は匂ひ』(六月社)初版800円、それから三島由紀夫『反貞女大学』(新潮社)300円。二刷だが、初版は既に持っている。この『反貞女大学』、初刷のカバーが某国の紋章に酷似しているという理由で回収され、二刷からカバーが変わったのだが、その割には初版ばかり見る。逆に重版の方が見ない。既に三刷は所持していたが二刷が欲しかったのだ。それからドナルド・キーン『日本の作家』(中央公論社)初版300円、『座談会明治文学史』(岩波書店)凾付500円、岡田隆彦『日本の世紀末』(小沢書店)凾欠300円、田中純一郎『日本映画発達史I』(中央公論社)凾付800円、雑誌『本の本』4(76.4)を400円(あとから気づいたが実は持っていた)。『彷書月刊』特集・古本屋の書誌学(99.3)を200円、『黒の手帖』(72.6)300円、季刊『文学』(90.春)谷崎全集未収録小説所収を600円。本田秋五『物語戦後文学史(全)』初版凾帯が1000円であるも、汚い本なのでやめた。註文した澁澤龍彦『悪魔の中世』(桃源社)初版凾付帯欠6000円、コクトー『フランソワの薔薇』(森開社)3000円はハズレ。
8/28  柏に出、徹底的にここにある古書店を回るも、特になし。T書林でブルトン編『性に関する探究』(白水社)を1500円で購入。
9/2  バイトで神保町へ。S書房、T書店、書肆Hとまわる。Hで、海野弘『日本のアール・ヌーヴォー』(青土社)を1000円で購入。帰宅してみると、以前京都のY書店に註文した劇団浪曼劇場公演パンフ『薔薇と海賊』1300円が届いていた。
9/3  神保町古書会館にてまど展。梅原北明訳述『求愛術』上巻(山東社)凾欠1500円をひろう。背と表紙三分の二はベージュの粗い綿、三分の一は絨毯の様ながらの綿で天金。しかし、以前凾付を見たときは、確か濃紺の天鵞絨装で刳り抜かれた凾から表紙に箔押しされた「戀」がのぞくというものであった。変だと思いきや「改訂版」であった。また、内容の三分の一を占める「戀愛に関する魔術」は、酒井潔『愛の魔術』の一部そのままでもあった。しかしまあ伏せ字ばかりだが、1500円ならばいいであろう。それから『英国現代随筆集』(春秋社)カバ欠200円。これは集中のマックス・ビアボウムの随筆目当て。ビアボウムの単体の訳書はないものだろうか。そして蓮田善明『鴨長明』(八雲書院)カバ欠?300円。水上瀧太郎『明窓集』(プラトン社)初版凾付3500円というのがあったが、逡巡の末やめた。その後S書房、特価書籍等まわる。
9/4  今日は高円寺古書店。註文したのは伊達完克『裁判記録三島由紀夫事件』カバ付1800円、林房雄他『浪曼人三島由紀夫』2000円。『裁判記録〜』はハズレた。その他三島『不道徳教育講座』(中央公論社)初版カバ付500円。これは単行本の方なら既に完本で所持しているが、新書版の方。メリメ『コロンバ』(新潮文庫)200円、そして林房雄『悲しみの琴』(文藝春秋)初版カバ付700円。註文した三島関連書、そしてこの『悲しみの琴』は同じS書店の出品だが、ここは三島関連書が安い気がする。以前三島由紀夫『憂国―映画版』(新潮社)完本を5000円で買ったのもここである。その後T書店などまわる。ここは高円寺に来たら必ず覗く店で、いつかも『稲垣足穂全集』16巻(書肆ユリイカ)凾付本が、ぞんざいに300円という値札が貼られてあったのをみつけたりしたことがあった。阿佐ヶ谷まで歩く。S堂書店で竹本忠雄『パリ憂国忌』(日本教文社)を600円で購入。
9/6  バイトで神保町へ。書肆Hを覗く。日夏耿之介の随筆を取り置きし、三島由紀夫『午後の曳航』(講談社)初版カバ帯付を1800円で購入。既に帯付初版を持っているが、所持本は帯の背が焼けているので綺麗な帯のこれを買ったのだ。
9/7  柏、T書林で三島由紀夫『太陽と鉄』(講談社文庫)重版カバ付を150円で購入。この講談社文庫版は、既に青カバーの初版を所持しているが、今度の絵カバーは初めて見たので。ここまできたら、文庫と言えどもすべて蒐めるほかない。
9/11  愛書会古書展に赴く。とは言え最終日の終わり近く。急いで見回してみたが特になし。横溝正史『鬼火(完全版)』(桃源社)凾欠初版を300円でひろう。註文した泉鏡花『三味線堀』(籾山書店)初版凾欠背補修3500円が当たる。これは胡蝶本である。補修も、かなりうまい補修であって、胡蝶本の難点である、傷みやすい角背の部分(白い箇所)が全て取り替えられている。しかもちゃんと背の装飾タイトルの部分はしっかりその上から貼付され、見返しを少し剥がしてその裏にしっかり貼り付けているなど、補修している紙が白ならまさにそのままのように見える(しかし茶色紙で補修してある)。その後T書店、書肆Hをまわり、Hで、取り置きしてあった日夏耿之介『聴雪廬小品』(中央公論社)初版凾欠を1500円で購入。
9/14  中央線古書展と五反田遊古会の目録届く。森開社ものや、谷崎潤一郎編集、中央公論社私家版の『撫山翁しのぶ草』があった。これこの間1万いくらかででていたが、5千円ならいいだろう。
9/15  京都H書房より、註文した生田耕作編集『奢霸都』創刊号8500円が届く。限定550部の内の6番本である。
9/17  バイトが終わってみると、惜しいかな趣味の古書展には間に合わず、18時過ぎ。書肆Hへ行く。主人はおらず。三島由紀夫『禁色』(新潮文庫)上下帯付を300円で購入。この上下2冊に別れている『禁色』は、今はない。現在は1冊になっているのだ。
9/18  結局起きるのが遅く、趣味の古書展に行ってもたいしてみれないだろうから行くのをやめ、柏に出る。T書林にて私市保彦『幻想物語の文法』(昌文社)650円を購入。奢霸都館の「ピエール・ルイス作品集」の極美3冊揃いが10000円ででていた。バラだったら、所持本の『女と人形』が背焼け本なので買おうとおもったのだが。その後新刊書店でゾラ『制作』上下(岩波文庫)を1470円で購入。とうとう「制作」まで出た。大正時代に抄訳が1冊きり出た「ムーレ神父の罪」も、どこでもいいから翻訳だしてくれないだろうか。
9/23  高田馬場へ行く。余り時間がなかったが、まづB堂書店で稲垣足穂『ヒコーキ野郎たち』(新潮社)再版凾付700円、磯田光一『思想としての東京』(国文社)凾帯付1000円、広末保『悪場所の発想』(三省堂)550円を購入。その後I書房で、片山健『美しい日々』(喇嘛舎)凾帯付1200円を、A書店で、季刊『銀花』40号を500円で購入。
9/24  バイトで神保町へ。書肆Hを覗く。主人はおらず。取り置きしていた季刊『FILM』2号を1500円で購入。和洋会目録届く。かなり欲しいものが出ている。宇野浩二『軍港行進曲』特製50部本など註文。
9/25  授業後、高円寺の西部古書会館へ。中央線古書展。まずは、季刊『銀花』37号を500円で、佐藤春夫『退屈読本』(冨山房百科文庫)上下を700円で購入。新進作家叢書『十一谷義三郎集』凾カバ付1500円というのがあるも、持ち金を考え断念。註文した内、寺山修司『あゝ荒野』(現代評論社)初版カバ帯付3000円、『ゴダール全集4』(竹内書店)凾付1500円、ノディエ『スマラ または夜の悪魔たち』(森開社)限定900部未開封を2500円を購入。そそくさと南部古書会館の五反田遊古会古書展へ。外で、小村雪岱装幀の里見トン『山ノ手暮色』(春陽堂)初版凾欠を200円で発見、購入。会場へ。ここで『夜想』7を400円、吉行淳之介『星降る夜の物語』(作品社)再版帯欠を1500円で購入。註文していた、谷崎潤一郎編『撫山翁しのぶ草』(私家版)凾付挨拶箋付5000円は、己の他に註文者はおらず。少し前、1万幾らで出ていたのでこれは買いだと思っていたが、昨日届いた和洋会目録で2500円ででていたのを見たときは悔しくなった。
9/27  学校の帰途、池袋K書店により、三島由紀夫『ぼくの映画をみる尺度』(潮出版社)初版カバ帯付1500円を購入。
10/1  今日は和洋会古書展。授業後神保町へ。註文した、三島由紀夫『夜の向日葵』初版帯付、『青の時代』初版帯付各5000円、長田幹彦『旅役者』初版凾付12000円、宇野浩二『軍港行進曲』特製限定50部本署名入10000円、龍膽寺雄『アパアトの女たちと僕とその他』重版5000円、小杉天外『魔風戀風』前篇中篇重版極美2冊4000円、『現代挿画芸術展図録』4500円、これらの内、当たったというか他に註文が無く手に入ったのは『魔風戀風』だけであった。悔しい。抽選になったものは六つもあったのに全て外れるとは、まあはなからあまり期待していなかったものの、一つも抽選にあたらなかった。しかし以前800円で購入した後篇もあり、これで『魔風戀風』も揃ったわけだし、清方の木版挿絵も入っているし、まあいいだろう、と諦めるほか無い。会場では、表紙画につられ『宝塚少女歌劇楽譜集』200円。それから田中比左良『涙の値打ち』初版凾欠300円、雪岱装である水上瀧太郎『第三貝殻追放』重版凾付600円。日夏耿之介訳『ポオ秀詞』初版600円、吉江孤雁『仏蘭西印象記』300円、季刊『FILM』11号500円、を拾う。瀧太郎のものは、なかなかのみっけものであったと思う。帳場横のガラスケースには、『稲垣足穂大全』限定60部総革装献呈宛名切り取り毛筆署名入少痛凾欠65000円というのがあった。それからT書店、書肆Hをまわる。
10/2  授業後、高円寺へ。西部古書展。辰野隆『忘れ得ぬ人々』(弘文堂)200円、ティーリケ『ニヒリズムの時代』(創林社)400円、「日本文学全集69」『三島由紀夫集』(新潮社)初版凾付150円を拾う。2つある注文品は、どちらもゲット。モーラン『夜ひらく』(新潮社)カバ付2000円、そして復刻版『モデルノロヂオ考現学採集』(学陽書房)カバ付5000円である。モーランのものは、これでひらくもとざすも揃った。そして『モデルノロヂオ』の方は、まあ相場の半額以下だからか、16人も応募があったそうである。しかし、これ当たらなくても良いから、昨日の分がどれか一つでも当たっていれば・・と未だに悔やまれる。
10/4  学校に行くと、創立記念日だとかで門が閉まっていた。全く。久しぶりに江古田の古書店をまわる。駅前のK書房、なにもなし。小竹向原近くのF書房にいく。いつぞや目を付けていた荷風『秘版 腕くらべ』(角川文庫)帯付1500円、売れていた。これは生田耕作が解説をしているもので、まづ見ないもの。やはりこうと思ったときに買わなければ。そんなことは今まで失敗をかさねて分かっている筈なのだが。ここは絶版文庫、戦前の翻訳物がかなり充実している。しかし全体的に高すぎ。新刊書店青山堂で雑誌『男の隠れ家』特集古本屋街を探検するを680円で購入。それからB・O江古田店で潤一郎『刺青・異端者の悲しみ』(講談社文庫)100円を購入し、古書Oへ。特になし。とっぷりと日も暮れたので帰途につく。
10/6  米国の古書店へ、註文したカール・ヴァン=ヴェクテン『盲のキューピッド』(クノップ社)初版、及び英訳版プレヴォ『マノン・レスコー』のアラステア挿画入り版の送金をする。アラステア挿画入り、といってもBlackSunPress版ではない。とうとう金が全てなくなった。全く身動きも出来ない。週末までに幾つか売却しなければ。
10/8  今日は城西古書展の初日。とは言え金欠、缶ジュースも飲めない情況。註文した潤一郎六部集『吉野葛』(創元社)限定370部?3500円、はずれたと聞き、残念なような助かったような・・・。
10/9  すっかり連休明けになると思っていたなにがしかの収入が、思わず本日入っていたので、急いで終わり間近の杉並古書展へ向かう。註文した水島爾保布『愚談』(厚生閣)凾欠2500円は当たっているそうだが、書店さんが外していて、しかも見当たらないというので、郵送になった。まさか、送料はこちらもちなのか? 会場では、秦豊吉『藝人』(鱒書房)初版カバ付帯欠500円、大江健三郎『個人的な体験』初版凾付奧附誤植版300円、それから水上瀧太郎『日曜』(国文堂)初版凾付1000円。名越国三郎装の薄田泣菫『艸木蟲魚』が2000円であったが、些か状態が悪いのでやめた。辺りが暗くなると、一気に冷え込んだ来た。
10/11  柏の新刊書店新星堂にて、ツヴェタン・トドロフ『幻想文学論序説』(創元ライブラリ)1050円を購入。
10/13  学校の帰り、B・O江古田店で、マルケス『族長の秋』(集英社)初版凾帯付を100円で購入。神奈川に移転した古書E堂の目録届く。欲しい物がかなりある。早速註文せねば。
10/15  バイトで神保町へ。洋書まつりへ。特になし。コリン・ウィルソン『アウトサイダー』重版カバ付(GOLLANCZ)300円、マッキントッシュ『シンボリズムとアール・ヌーボー』(Thames &Hudson)200円を購入。その後S書房で、「新潮現代文学32」『金閣寺/春の雪』初版凾帯付300円を購入。書肆Hへ。こないだは届いたのに何故今年は届かなかったのだろう神田古本まつり目録をもらう。胡蝶本初版完本揃300万円とか、山崎俊夫とかいろいろ出ているが、高嶺の花にすぎない。でも荷風『冷笑』初版凾欠くらいは欲しいものだ。
10/16  授業後五反田へ。今日は本の散歩展。外の100円均一で、三島由紀夫文・グラビア掲載号の『文芸』67.10、『群像』60.10、62.1の3冊を購入。2階の会場では、まず、探求書であった小野賢一郎『明治・大正・昭和』(萬里閣書房)凾欠を200円、それとこれも探していたエレミール・ブールジュ『神々の黄昏』(白水社)初版カバ帯付1000円。それと田辺悟『潮騒の島 神島民俗誌』(光書房)というものを500円。これは論文用。註文した『地下演劇』2号3000円は、ハズレ。この2号を入手すれば、第一期『地下演劇』は揃う。古書E堂にファックスで註文。帰宅してみると、先日古書G舎に註文した水島爾保布『痴語』(金尾文淵堂)初版凾付8000円が届いていた。
10/20  帰宅してみると、以前米国の古書店に註文した英訳『マノン・レスコオ』(RARITY PRESS)アラステア挿画11枚入り($40)が届いていた。
10/22  昼、米国の古書店からカール・ヴァン・ヴェクテン『盲のキューピッド』(クノップ社)初版カバ欠?$7.50が届いた。夜、出先の武蔵関駅にある、古書チェーン店のような店で、三島由紀夫『夜会服』『幸福号出帆』(集英社文庫)初版カバ付をそれぞれ150円で購入。
10/23  授業後、高円寺の新宿古書展に赴く。註文した塔晶夫『虚無への供物』初版帯欠5000円、三島由紀夫『青の時代』初版2000円、雑誌『フライデー』創刊号1000円、全てハズレ。『フライデー』創刊号は、御存知の通り三島のスクープ写真が掲載されている。会場で久生十蘭『巴里の雨』(出帆社)初版凾付帯欠2000円、フィリップ・ジュリアン『1900年のプリンス』(国書刊行会)初版カバ帯付1000円、武田勝彦『比較文学の試み』(創林社)カバ帯400円を購入。
10/26  バイトで神保町へ。T書店外台で、レニエ『生ける過去』(新潮社)初版カバ血200円を購入。特価書籍、書肆Hをまわるもなし。青展の台が大々的に組んであったが、明日は果たして雨なのだろうか。
10/29  さあ、今日は神田古本まつり。結局授業をさぼり開場30分遅れで会場へ。先ず一番最初に、ここ4年くらいずっと探していた片山正雄『男女ト天才』(大日本図書)1500円。ついに入手。2年前一度だけ目録に出て外し、その他後版などは所持しているのだが、これが欲しかった。それから谷崎潤一郎『鍵』『瘋癲老人日記』初版凾付各500円。たいした汚れもないのに何故こんなに安いのか。既に持っているが、つい拾う。次に日夏耿之介『重印輓近三代文学品題』(実業之日本社)500円。保田與重郎『近代の終焉』(小学館)500円。そして大泉黒石『人間廃業』(桃源社)初版カバ帯付500円。木々高太郎『エキゾチックな短篇集』(春秋社)500円、木下杢太郎『其国其俗記』(岩波書店)凾欠400円。それから唐木順三『詩とデカダンス』(創文社)400円。注文品である三島由紀夫『愛の渇き』初版カバ帯付18000円はハズレ。それから岩波書店近くの屋外会場へ。ここで現代日本文学アルバム16『三島由紀夫』(学研)カバ凾付1200円。この大判は、あんまり見ないものである。『夜想』16特集ボルヘス500円。それからこれは古書でなく『デイリーコンサイス英和辞典』1600円。上着なぞ着て来るんではなかった。重い暑い、そして朝8時おきで殆ど寝てないのが辛い。それから学校そしてバイト、夜半に帰宅すると、E堂に註文した本が届いていた。惜しくもシュオッブ『古希臘風俗鑑』(第一書房)初版凾付5000円ははずれたが、谷崎潤一郎『近代情痴集』(新潮社)初版雪岱石版画装25000円、小高根二郎『蓮田善明とその死』(筑摩書房)初版凾帯付5500円、本間久雄訳『遊蕩児』(ワイルド「ドリアン・グレイ」)初版4500円。秦豊吉訳『メトロポリス/殿方は金髪がお好き』初版カバ欠2000円、が届いていた。こんなに当たるとは思わなかった。入ったばかりの給料もすぐ消える。本間久雄の訳書は、ワイルドの権威だった本間が佐藤春夫に誤訳を指摘され、大正初年に誤訳論争が繰り広げられることとなったいわく品。でも一番欲しかったのはシュオッブであったがはずれた。・・・今気づいたが、この『近代情痴集』、口絵の著者肖像写真が欠けているではないか! 返品しようか、どうか・・・・。
10/30  帰途の途中、柏のT書林に寄る。ここで稲垣足穂『美しい学校』(北宋社)初版カバ帯付1300円を購入。たしかこの『美しい学校』は、なにかの古書目録で知ったのだが、何か問題があって回収された回収本である。
11/1  神保町へ。今日はひどい雨であったが、昼過ぎに神保町に着いた頃は止んでいた。まず書肆Hに行き、潤一郎『蓼喰ふ蟲』初版凾欠、『コレクション・サフィール1』、外骨『○○月報』不揃20冊くらい、他、片山健『美しい日々』初版凾帯極美などを処分。そこで、『浪曼』特集三島(73.12)を1000円で購入。澁澤ものが結構入っていた。その後うきうきとT書店に行くも、何たることであろう、この売却代金で購入しようと考えていた谷崎潤一郎『自畫像』再版凾付14000円は既になかった・・・・・。荷風『歡樂』初版カバ付38000円というのが目を引いたが、一応(カバ欠痛本)持ってはいる。これは発禁本で、カバー付のまあまあ美本。ここでは、ゲラン『マリの死に寄せる瞑想』(森開社)限定450部本を2600円で購入。未開封である。隣のK書店では、三島原作映画のポスターがずらりと出ていたが、映画「憂国」のポスター50000円は、欲しい。。。それから地方出版書肆アクセスに行き、豆本の長田幹雄『夢二と私』(日本古書通信社)普及本788円を購入。
11/5  学祭とかやらで学校がないため、今日は開場前に並ぼうと思っていたが、結局遅れ、昼少し前に神保町に着く。今日は愛書会古書展。三島関係記事掲載の『映画芸術』(64.8、70.4)各300円。『シネマ69』2号、『シネマ70』5号各200円。それから田中美代子『天使の幾何学』(出帆新社)初版カバ帯付500円、薄田泣菫『完本茶話』(冨山房百科文庫)上中下1000円、木田元『ハイデガーの思想』(岩波新書)100円。谷崎潤一郎『縮刷廉価版愛すればこそ愛なき人々』(改造社)400円、既にそれぞれ単行本は持っているが。注文品である水島爾保布『新東京繁昌記』(日本評論社)10000円は当たり。つい註文してしまったが、少し高いだろうかこの値段は。それからT書店、K書店を覗き、書肆Hへ。思わずレニエ『ド・ブレオ氏の色懺悔』(春陽堂)重版カバ付3000円を見せられ、即購入。それからふと冨山房の前を通りかかると、ショーウィンドウの中に、いつだかここに買いに来て、品切れであったシュレーゲル『ロマン派文学論』(冨山房百科文庫)を発見。すぐさま地下の喫茶店に駆け込み、ついに重版されたこの書物を購入。あの時懇願した重版をやってくれたわけだ。そのまま近くの喫茶店へしけこむ。そして帰途につく。帰り際、T書林を覗いてみるもなにもなし、と思いきやレジ横に『モダン用語辞典』(実業之日本社)を発見。「それ、値付いてますか?」「これ?、ええ、200円・・」「買います!」ということで、200円で購入。これは幾ら何でも普通この十倍は付けるだろう。明日は愛好会展、久しぶりに朝一でいって並んでみよう。
11/6  午後、高円寺西部古書会館に赴く。愛好会展。註文した三島由紀夫『黒蜥蜴』(牧羊社)凾帯付2500円ははずれ。会場を見回るもなにもなし。モダンライブラリの『ボオドレエル散文・詩集』100円のみ購入。P.S.スタームの序文が入っていたため。その後、T書店等高円寺の古書店をまわり、歩いて阿佐ヶ谷へ。S堂書店等、まわり、そのまま荻窪へ歩く。S書店I書店をまわる。なにもなし。
11/8  新宿紀伊国屋にて、『諸君!』特集三島事件を680円で購入。
11/9  千葉の古書Rからの目録が届いたので早速電話註文。矢野目源一訳『吸血鬼』(新潮社)8500円は既に売れ、龍膽寺雄『放浪時代』(改造社)4800円のみあった。一旦東京のアパートの方に送付され、それがこちらにまわってきたからこんなに時間がかかってしまったのだ。自家目録はホントに時間の勝負である。
11/10  先日学校でいろいろあり、古書を貰うこととなった。そのうち半分を今日持って帰ってきた。事情があり古書店から流れてきたものだ。種村季弘『黒い錬金術』(白水社)初版1700円、富士川義之『記憶のランプ』(沖積社)初版1400円、永栄啓伸『谷崎潤一郎試論』(有精堂)800円、坂崎乙郎『終末と幻想』(平凡社)800円、天野哲夫『女神のストッキング』(工作舎)1200円、ラブキン『幻想と文学』(東京創元社)1400円、木村尚三郎『世紀末泰西風俗絵巻』(文藝春秋)1300円、神山宏編『ヨオロッパの世紀末』(JCA出版)1300円、『幻想文学』3号1200円。値段はついているがすべてただで貰った。
11/11  昨日と同じ、貰った本を持ち帰る。ブルトン『秘法十七番』(晶文社)900円、種村季弘『食物漫遊記』(筑摩書房)700円。ただ。
11/13  千葉の古書Rより、龍膽寺雄『放浪時代』(改造社新鋭文学叢書)重版4800円が届く。
11/15  柏T書林にてリラダン(齋藤磯雄訳)『残酷物語』(新潮文庫)200円を購入。
11/16  バイトで神保町へ。T書店の隣のK書店で久生十蘭『美国横断鉄路』(奢霸都館)初版カバ帯付1500円を購入。これは安めであろう。ここは、たまに棚ではなく下に並べられているものにまあまあ安いものがある。
11/17  柏T書林に行き、ほんとに久しぶりに『日本古書通信』最新号を700円で購入。大学の学部時代はぽつぽつ買っていたが、やっぱりちょっと高い気もする。しかしまあ今回は記念だし。
11/19  授業後、神保町へ。趣味の古書展。会場に着くと、既に17時を過ぎていた。註文した木下杢太郎『和泉屋染物店』(東雲堂書店)3000円は当たり。巻頭口絵木版一葉、明治45年の初版。急いで見て回るもよくみれなかった。佐藤春夫『田園の憂鬱』(新潮社)重版カバ欠背少痛400円を拾う。背の革題簽が少し剥がれかけているが、修理すれば悪くない。それからT書店、書肆Hを見て回る。帰途の途中、柏T書林を覗き、チェスタトン『正統とは何か』(春秋社)凾付600円と『サンデー毎日』緊急増刊三島由紀夫の総括500円を購入。帰ってみると、昨日北海道旭川の古書店から届いた目録で註文した矢頭保写真集『日本のボディビルダーたち 体道』(ウエザヒル出版)丸山明宏宛三島由紀夫ペン署名入り25000円、一足違いで売れてしまったとのメールが届いていた。悔しい!!!この写真集、例の『剣と寒紅』にも出てくる本で、三島が一部モデルをしているという代物。しかも、丸山明宏(現・美輪明宏)宛!!。誰が手に入れたのだろう。それにしても悔しい。
11/20  柏新刊書店ウィングブックセンターにて『三島由紀夫十代書簡集』(新潮社)を購入。
11/26  和洋会古書展へ。昼過ぎに着く。見回したが、何も無し。口絵として鏑木清方の木版が一葉入っている小杉天外『魔風恋風』の縮刷版初版を1000円で見つけたが、元版を持っているし、やめた。ショーケースに入っている宇野浩二『軍港行進曲』(昭森社)初版凾付25000円、を見せて貰う。これは普及版。普及版でこの値段はどうだろう。取り敢えずやめ、結局なにも買わず。それからS書房、K書店、T書店をまわる。T書店でケッラァマン/秦豊吉訳『トンネル』(新潮社第二期世界文学全集)初版凾カバ付2000円を購入。これ、ちょっと珍しいかも。ここ4〜5年探していた本だ。その後書肆Hに寄り、仕事に向かう。
11/27  体調悪く、夕方中央線古書展に向かうのみで、はしごしようと考えていた五反田遊古会には行かず。しかも高円寺駅に着いたのは17時30分を過ぎた頃。しんどかったが急いで見て回る。まず、福田和也『奇妙な廃墟』(国書刊行会)カバ帯付1500円。これはコラボの研究としては日本で唯一かもしれないもので、前から一読したかった。次に稲垣足穂『僕のユリーカ』(レグルス文庫)初版カバ付300円。『長編小説全集17三島・源氏集』(新潮社)初版凾付極美200円、「現代日本文学大系85」『三島由紀夫大岡昇平集』(筑摩書房)初版凾月報付300円。こういう文学全集物もあなどれないものだ。それから矢野峰人『英文学の特性』(松柏社)再版凾付300円。それから小笠原長生『観音物語』(春陽堂)初版凾付500円。これは全く知らない書物だが、どうみても小村雪岱装幀で、なかなか美しい表紙をしているので、つい購入。近くのT書店の100円均一棚で、三島由紀夫『近代能楽集』(新潮文庫)初版帯元パラ付を購入。
11/30  バイト帰り、既に18時30分をまわっていたが、神保町の古書店を回る。K書店、幾つも張り出されていた「憂国」など三島関係のポスター、全てなくなっていた。T書店間に合わず。それから書肆Hへ。主人不在。
12/1  広尾の中央図書館に行った帰り、T書林に寄る。澁澤龍彦『スクリーンの夢魔』(潮出版社)初版カバ付1500円、永井荷風『すみだ川』(旧河出文庫)重版100円を購入。
12/2  巴里在住の知人より送られてきたピエール・ルイス『パロール』(ALLIA)を友人から受け取る。
12/3  学校の帰り池袋K書店に寄る。ここで矢代静一『騎手たちの青春』(新潮社)初版カバ帯付を500円で購入。
12/5  三島シンポの帰り、柏のT書林に寄る。ここでサンドラール生田耕作訳『世界の果てに連れてって!』(竹内書店)初版カバ帯ビニカバ付800円、ブルトン他『思考の表裏』(昭森社)重版カバ付500円、矢野目源一他『粋人随筆』重版帯付250円を購入。帰宅してみると、先日ネット目録で註文した品物が届いていた。酒井潔『薫苑夜話』(三笠書房)初版カバ欠1500円、十一谷義三郎『唐人お吉』(萬里閣書房)重版凾欠1500円、薄田泣菫『泣菫文集』(大阪毎日新聞社)初版少痛1500円、三島由紀夫『芝居日記』(中央公論社)初版カバ凾帯付2500円、『群像日本の作家 三島由紀夫』(小学館)初版カバ帯付600円、『鑑賞日本現代文学 三島由紀夫』(角川書店)初版凾帯付1200円、矢代静一『旗手たちの青春』(新潮社)初版カバ帯付600円、三島由紀夫『荒野より』(中公文庫)初版カバ付160円、三島由紀夫『禁色』(新潮文庫)重版カバ付200円、山本夏彦『無想庵物語』(文春文庫)初版カバ帯260円、今和次郎『考現学入門』(ちくま文庫)初版カバ付400円、寺山修司『絵本恋するドリア』(千趣ミニブックス)カバ付600円、を購入。しかし『芸術新潮』の三島特集がはずれたのは悔しいが、探していた名越国三郎装幀『泣菫文集』や酒井潔の『薫苑夜話』等、ネット古書もなかなか侮れないようだ。
12/8  昼間先日目録註文した十一谷義三郎『近代愛戀帖』(四六書院)初版5000円が届いていた。学校から帰るすがら、神保町へ。ダブっている雑誌をK書房で売却後、T書店へ。外で別冊太陽『蕗谷虹児』カバ付1100円、吉行淳之介『鞄の中身』初版凾帯付400円を購入。中では特になし。買おうと思っていた宇野浩二『軍港行進曲』初版凾欠5000円、売れてしまっていた。それからK書店で今ごろだがリブレール古書目録2号を貰う。註文出来なくとも資料になる。そしてS書房へ。三島関連演劇パンフがかなり入っていた。「三島由紀夫連続公演」「夜の向日葵」(文学座)各4000円は欲しい。ここで『文芸』昭和40年11月号帯付を1000円で購入。前から欲しかった「サド侯爵夫人」掲載で表紙が三島の顔のやつだ。その後書肆Hへ。古書Y屋のA氏が来ており、主人の紹介で、矢野目源一について話す。いろいろと矢野目について御教示いただいた。伊勢丹古本市目録を入手。そしてバレス『根こぎにされた人々』上巻(旧新潮文庫)200円を購入して帰る。
12/10  学校の授業で、先生より著書を頂く。堂本正樹『古典劇との対決』(能楽書房)。サインを入れていただいた。学校が終わってから、神保町へ急ぐ。今日は書窓会展である。注文品は谷崎潤一郎『細雪』愛蔵版3冊揃カバ署名15000円、アンドレーエフ(二葉亭訳)『新訳 血笑記』(易風社)初版4000円の2品である。しかしなんだか目録には上記のように記してあったが、『細雪』は、目録には昭和24年となっているが、この頃カバー付の『細雪』などない筈である。確かボール紙の機械凾で並製の3冊組、そして角背上製本で貼凾入りの3冊組、それに自筆毛筆題簽付き帙入りの和綴じ3冊組の豪華愛蔵版と、3種類しかないはずだ。となると、帙をカバーと言っているのだろうと推測するのが妥当だろう。それはいいとして、棚を見ているとなんと註文したはずの『新訳 血笑記』が同じ4000円で並んでいたのである。しかもくだんの出品店で。「おや?」と思い、鈴木三重吉編『湖の女』(復刻版ほるぷ出版)300円という前から探していた水島爾保布挿画の復刻絵本と、『婦人公論』1959.4「三島由紀夫クイズ」掲載号500円を拾った後、帳場に赴き抽選の確認をすると、注文品は両方とも別の方だという。最初は(こういうことはたま〜にあるのだが)何だかわからないがとにかく葉書が着かなかったのかと思っていたのだが、どうやら全く同じ書物が2冊あったということになる。しかしそんなことは(しかもこんな明治期の本で)まずないだろうし・・・しかしまあこうして入手出来たからよいだろう。『細雪』ははずれた。その後T書店など周り帰途に。途中、柏T書林に寄る。ここで、買おうかどうしようか迷っていた井上靖『闘牛』(文藝春秋新社)初版カバ付帯欠美本10000円を購入。
12/11  今日は朝から授業であるが、学校についてみると、何と推薦入試の日とやらで全て休講だという。全く授業料高い癖に休講ばかり。一気にへなったが、そういえば今日は五反田展と杉並展であったと思いだし、早速五反田に向かう。・・・・が、単なる思い違い、南部古書会館のシャッターが閉まっており、現場に着いてから来週であったという事実を知ったのであった。そのまま高円寺へ向かう。まさかこちらもと思いきや、大丈夫。杉並古書展はやっていた。A氏に声をかけられる、いい収穫があったとのこと。やはり五反田での時間ロスが失敗だった。註文した谷崎潤一郎『春琴抄』(創元社)黒漆版初版帙欠8000円、和田ゆたか『割烹料亭般若苑マダム物語』(太陽出版社)2500円を入手。『般若苑マダム物語』は、論文用だが、小説「宴のあと」のモデルの実録伝記。その他会場では、「昭和文学全集23」『三島由紀夫大岡昇平集』(角川書店)初版凾帯付200円、三島由紀夫『仮面の告白その他』(改造社)2000円、「知性」増刊『現代常識読本』(56.9)300円、群ようこ『尾崎翠』(文春新書)200円を購入。『仮面の告白その他』は、所持本が傷んでいるので、そして雑誌「知性」増刊号は三島由紀夫の全集未収録ものが収録されているので。帰宅してみると、先日原美術館に註文した『ビアズレイと日本の装幀画家たち』(阿部出版)が届いていた。
12/20  学校の図書室で、司書の方と話していると、ここに届いた古書目録が並んでいるのが目に付いた。ふと見ると、古書O舎の最新目録があるではないか! 早速その場でチェックして、こりゃ急げとばかりに註文希望リストを手に、江古田にあるその店の1号館に向かう。塔晶夫『虚無への供物』初版帯欠9000円、塚本邦雄『悦楽園園丁辞典』(薔薇十字社)初版凾付帯欠2500円、『血と薔薇』4号7000円、シャミッソー『影を売った男』(森開社)初版限定凾付3000円、を頼む。すると、『虚無への供物』今売れたばかりといわれる。あと2〜3時間早く気がついていれば・・・ここに住所変更したと伝えなかったのが災いしたのだ。他にも鏡花の凾欠少痛重版本、例えば胡蝶本『三味線堀』再版7000円だとか、結構いろいろあったが、雪岱装を集めている某美術館だとか、その他蒐集家が纏めて買っていったという。『血と薔薇』はこれで揃った。そういえば、この間聞いた話によると、この『血と薔薇』4号には、印刷された澁澤龍彦の申し開き状が挟んであるものがあるという。発刊当時、宣伝用に宇野亜喜良デザイン『血と薔薇』マッチが配られたそうで、写真では見たことあるが、こんなのも出たら目録にのるのだろうなあ。これで『血と薔薇』も全て揃った。註文の電話がジャンジャンかかってくる中、1時間近く主人と話をしたが、話しながら目録品が並べてある棚をあさると、三島の台本があるではないか。目録を見ると「平7」としてあったが、誤植だそうで、すぐさまこの『わが友ヒットラー』(浪曼劇場第一回公演上演台本)8000円を購入。現物目の前にしてつい手を出したが、些か高かったか。帰宅してみると、ここの古書目録とA書店の目録が届いていた。何と、A書店目録に三島由紀夫『岬にての物語』(桜井書店)初版背少傷が98000円で出ているではないか!!!この値段なら、無理すれば買える! 明日の朝早速註文しなければ。
12/21  午前中、A書店に電話、くだんの『岬にての物語』は既に売り切れ。・・・まあ、当たり前というところだろう。そういえば以前も他の所で『岬にての物語』再版本が50000円で出ていたことがあったが、あの時は註文すればよかった、抽選だったし。新刊書店で、三谷信『級友三島由紀夫』(中公文庫)と瀬戸内寂聴『つれなかりせばなかなかに』(中公文庫)合わせて1099円を購入。『級友三島由紀夫』は、かつて笠間書院から発行されたが、引用されている三島書簡を無断使用した、とのことで、発売中止、回収された。古書相場はだいたい18000〜23000円くらいだったのだが、まだ買ってなくてよかった。内容も削除された部分はないようだし、たったの533円。その後、用事でかつての同級生に会い、この子から、「僕には必要ない」とのことで『三島由紀夫戯曲全集』(新潮社)天金背革初版凾付を貰う。
12/23  昼間、先日ネット目録で註文したものが届いた。三島由紀夫『殉教』(新潮文庫)初版カバ付270円、『絹と明察』(新潮文庫)初版カバ帯付250円、「現代日本の文学35」『三島由紀夫集』(学研)初版凾付1000円。しかしこの学研のやつ、凾に巻いてあるカバーが、三島が疾走するボートに仁王立ちというカラー写真で特色あるのに、これはそのカバーがない。不完全で1000円とは、何ともだが、まあこれも勉強だ、ちゃんと確認しなかったのが悪いのだ。
12/24  神保町A書店より、先日目録註文した三島由紀夫『夜の仕度』(鎌倉文庫)初版背僅カケ15000円が届いた。
12/25  この間の五反田展、註文したにも拘わらず行けず、その時の注文品が今日届いた。澁澤龍彦『悪魔の中世』(桃源社)初版帯欠8500円。帯はないが、凾もきれいだし、8500円ならいいだろう。先日の某店では帯欠25000円もする(これは高すぎ)けど8500円ならまあ安い方だろう。
12/26  新宿伊勢丹大古本市に、電話で注文品の確認。註文した楠瀬日年『候べく候』(梅田書房)限定300部3000円はハズレ。また、寝坊したので新宿展にも行けず、電話して三島由紀夫『黒蜥蜴』初版凾帯付5000円がはずれ、薄田泣菫『茶話』(洛陽堂)初版2000円があたりとの確認をとり、郵送して貰うことに。そういえば、3ヶ月位前、水島爾保布『癡語』凾欠が当たり、取りに行くも見当たらないとのことで郵送になったが、まだ届かない。しかもどこの古書店だかメモしてなかった。どこなんだろう。果たして年内に届くのだろうか。
12/27  夕方新宿に出、伊勢丹大古本市に赴く。サァーと見ただけだが、結構時間がかかってしまった。まず、薄田泣菫『樹下石上』(創元社)重版凾欠400円。これは名越国三郎装幀。それから、洋書で、性科学ものが500円均一でどっさりあったが、あまりいいものはあらず。前から買おうと思っていた、ハヴェロック・エリスのユイスマンス論などが入っている"AFFIRMATIONS"を拾う。他に、山本舜勝『三島由紀夫―憂悶の祖国防衛賦』初版カバ帯付500円と、谷崎潤一郎『お艶殺し』(全国書房)凾欠700円。谷崎のは、全国書房の『二月堂の夕』と同じく、巻頭に限定版とあり、潤一郎の毛筆署名が印刷され、本文耳付き和紙、それもこの『お艶殺し』はアンカットで、全頁が未だ切っていないものであった。・・・しかしそれにしても、あれよあれよと思うまに、今月は買いすぎだ。どうしよう、今ごろになって年が越せない・・・。
12/28  バイトや用事で神保町へ。某出版社勤務の友人から新品の本、尾崎翠『第七官界彷徨』(創樹社)、美作太郎『出版と著作権』(日本エディタースクール)、オニール『奇妙な幕間狂言』(岩波文庫)、郡司正勝『鶴屋南北』(中公新書)、服部幸雄『江戸歌舞伎』(岩波同時代ライブラリー)、堂本正樹訳『世阿弥アクティングメソード』(劇書房)を貰う。それと、経済状態がここ何日かの古書買いすぎで、身動きすらとれなくなったので、仕方なく隠し玉である井上靖『闘牛』(文藝春秋新社)初版カバ付美本をK書房に売りに行く。何と*****円、思った倍以上で売れて大満足。一応、昔高円寺の西部古書会館で100円で掘り出した谷崎潤一郎『春琴抄』(創元社)黒漆初版背激痛半分カケを売却用に持ってきてたので****にもってゆくも主人不在。これは最初あまりの値段に復刻版の傷み本かと思ったが、検印がちゃんと朱肉であったので吃驚した一物。
12/29  所用の帰り、柏T書林を覗く。ここで平井博『オスカー・ワイルド考』(松柏社)初版凾付1000円、『村山槐多全集』重版凾カバ付2000円、ユイスマン『大伽藍』(桃源社世界異端の文学)初版凾カバ付350円を購入。『大伽藍』は、帯はないが、350円は安すぎる! 帰宅してみると、先日新宿展で申し込んだ薄田泣菫『茶話』(洛陽堂)初版2000円が届いていた。
12/30  1週間くらい前に頼んだ銀座松屋古書の市目録、やっと届いた。有料で目録取り寄せたのに今ごろ届き、これでは今日明日中に註文しなければならない。この神経にあきれる。ザァーとみたところ、三島由紀夫の原稿反古が出ている。これくらいか。などと考えていると宅急便。先日同好会目録で註文した『三島由紀夫研究』(右文書院)再版凾帯付5000円が届いた。再版だが研究書だし、5000円ならいいだろう。