back
諦念ハ、癒シ得ヌ総テノ厄災ノ痛ミヲ殺グ

ホラチウス

1999年上半期

1月

2月

3月

4月

5月

6月


1/3  東武野田線江戸川台駅で下車、電話帳で調べた古書店2軒を寒空の中1時間も探し歩くも(無論番地は調査済)見つからない。あきらめて野田線で柏駅へ。O書林の先のA書房へいくも特になし。国道6号を渡ったところにあるK書房は閉まっている。それではと、柏神社先のH書房は三が日は休み、H堂東口店も同様。結局なにもなし。全く寒い古書漁り初めであった。
1/7  スーパーに行く途中に駅前の小さな古本屋に寄る。ここはエロ本と漫画ばかりの店だが、たま〜には、教養文庫の香山滋ものとか角川文庫の夢野久作絶版ものとかを150円とかいう値段で出してたりする。今日はここで梶谷哲男『三島由紀夫-芸術と病理』(金剛出版)初版カバー付を1000円で見つけ、購入。
1/8  今日は駿河台下の東京古書会館でのぐろりや会古書展の初日である。が、11時から神保町で仕事の待ち合わせがあるので早めに行こうと思っていたが果たせず、結局10時45分に会場に到着。まだ込み合っており、移動さえままならない。一応一通り廻ったが、殆どよく見ることが出来なかった。雑誌『批評』昭和41年冬期号を200円で。帳場で聴くも、今回注文した三島由紀夫『目』初版凾帯「三島由紀夫献呈名刺」付9000円とやらははずれてしまった。仕事の後、某出版社勤務の或友人から新本でスティーブン・バーバー『アントナン・アルトー伝』(白水社)とフィリップ・ラクー=ラバルト他『他者なき思想-ハイデガー問題と日本』(藤原書店)をもらう。読んでもない新品。それからT書店、書誌Hへ。書誌Hで、川端康成『浅草紅団』(角川文庫)、トルストイ『芸術とは何か』昇曙夢訳(河出文庫)をそれぞれ200円で、小杉天外『魔風恋風 前編』(岩波文庫)を100円で購入。阿佐ヶ谷駅を降りて徒歩で帰宅。途中、古本Y屋に寄る。外の均一棚のようなところで新潮社の『長篇小説全集17三島由紀夫源氏鶏太篇』凾付を100円で見つけ購入。同じ外の棚に改造社のドス・パソス『USA』全3巻があるのを発見、カバーはないが、これはみっけものと思っていたら、3000円なんていう値をつけていた。こんな値なら外に置くな!他に唐十郎『少女仮面』初版本が500円であったがやめた。それにしてもからっ風の寒い日であった。
1/9  今日は高円寺にある西部古書会館での高円寺古書展初日。不覚にも寝過ごした。電話で、三島署名入『青の時代』はハズレ、片山健画集『美しい日々』凾付(幻燈社)3500円とマンスール『充ち足りた死者たち』カバー付3000円があたっていることを確認した後、午後ゆっくりと自転車で高円寺へ。外を見る。何故か『文学界』が多いのが目に付く。無論、探してみたが大江健三郎「政治少年死す」掲載号はなかった。中西進『辞世の言葉』(中公新書)を100円で。武郎や英光、三島に関する箇所があったので。そしてグラック『偏愛の文学』(白水叢書)カバー付を発見。2000円だったので購入。前から欲しかったが、見つけても些か高く持ってはいなかった。雑誌『浪曼』昭和50年新年号を300円。特集は「三島由紀夫の不在」。また、雑誌『伝統と現代』昭和46年4月号特集狂気を300円。帳場で注文書を出してもらうと、『美しい日々』は昭和53年の後刷版、そして『充ち足りた死者たち』は、特色のあるビニルカバーの痛みが酷い代物だった。幸い澁澤の文章が入った栞はちゃんとついていたが。帰り、近くのT書店に寄る。匠秀夫『日本の近代美術と文学』(沖積社)凾付を1500円で購入。前から目をつけていたものだ。それから高架下のT書店へ。特になし。しかしプレイヤッド版ボオドレエル集全2巻13000円はいつか購入したいものだ。それから阿佐ヶ谷の古書店を廻り帰宅。
1/11  夕方、寒空の下、自転車で荻窪駅周辺に古書漁りに出かける。まずは、S書店で季刊『月下の一群』創刊号を1000円で発見。それから谷崎松子『湘竹居追想』(中央公論社)凾付帯欠初版を500円、次いで講談社学術文庫の柳田國男『明治大正史世相篇』上下を400円、それぞれ購入。ここは価格的な掘り出し物がある。たまに来ないとおちおち眠れやしない。それからI書店を覗く。ここは全体的に高いけれども、たまに森開社本等があるのだが、今日はなにもなし。それから古書Gへ。加藤郁乎『後方見聞録』(コーベブックス)が6500円というのはちと高いだろう。そのまま帰宅。
1/12  半年くらい前に見かけた書物で急に必要となったので、まだあるかどうか心配ながらも自転車で江古田へ。K書房駅前店。あった、アレマン『イロニーと文学』(国文社)2000円。ふと見ると、バタイユ作品集『マダム・エドワルダ』(角川文庫)初版カバー帯付が500円であるではないか。既に重版なら持っているがこれも購入。B・O江古田店、古書O舎に寄るもなにもなし。早々と帰道を急ぐ。練馬と中村橋との中間あたりの某コンビニの前で、やけに巡査がたまっているなあと思いつつ通り過ぎようとすると、矢庭に刑事に誰何される。聴くと、どうも強盗らしい。犯人は黒のニット帽、眼鏡、黒の革ジャン………ちょうどその時、犯人そのまんまの格好をしていた。
1/13  冨山房百科文庫のシュレーゲル『ロマン主義文学論』の在庫がないかと、神保町の冨山房ビルに、バイトのついでに立ち寄る。此処に来たのは初めてだが、何と冨山房が経営している喫茶店の中で「冨山房百科文庫」を並べて在庫分を売っているのには些か驚いた。・・・残念ながら、保存用が1冊あるきり、この1冊も重版時に必要だ、ということで入手はならず。
1/16  夕食のための買い物に行く序でに、鷺宮駅前の古書M書房に寄る。ここは映画関係書籍が充実しているが、変なものもちょこちょこあり、翻訳文学も可成り豊富である。日本エディタースクール出版部刊伊達得夫『ユリイカ』なんぞは、書肆ユリイカ出版物一覧などもついていて資料的にいいが2500円じゃあ。中村君代のロゼッティもの3冊や第一書房のロシェル『女達に覆われた男』の凾付極美本なんかもあったが、やはり五反田遊古会も控えている事だし、何も買わず。自転車で都立家政商店街にあるA書店へ。ここは将棋囲碁関係の専門店だが、何故か、とんでもない性科学ものカストリものもその目録を賑わせているという店。森本和夫『文学の主体と現実』(現代思潮社)凾付を300円で購入。確かこの森本という人はバタイユの『エロスの涙』の訳者であった筈。
1/19  所用で学校へ行った帰り、K書房駅前店に寄る。何と、悔しくもブランショ『文学空間』凾付美本1800円は売れていた。その後古書O舎で『ユリイカ』特集ナルシシズムを200円で購入。B・O江古田店に寄るもなにもなし。
1/22  昨日、注文品が当たっていることを確認していたので、昼過ぎ、新宿に直行。小田急百貨店新宿店の「小田急古書の街」である。ま、デパート展は、場所代取られているせいか、値段も普通の古書展より高めに設定してあり、たいして掘り出すこともないので、今日ゆっくりと覗きに行った由。ハッキリ言ってかわりばえしてない。同じ店の棚に去年と同じ商品が並んでいる。取り敢えず、目につくものを手に取る。モリス『ユートピアだより』(岩波文庫)を300円で。しかし、既に復刊版ならもっているのだ。誰かにやろう。今年も出ていた、京都T書店出品の、アンティーク・エロチックポストカード復刻版一枚100円。これを4枚。『出版人の遺文』シリーズ、改造社、中央公論社、等4〜5冊、すべて700円均一であった。出ているかは知らぬが、これで春陽堂とかがあったら買っていたのに。一応一通り見終え、そろそろ帳場へという時に、ドリュ・ラ・ロシェル『ゆらめく炎』(河出海外小説選)を見つけふと値段を見ると、何と450円。しかもきれいな本、これは買いだ。実はこれも、「人間の文学」シリーズ版なら既にもっているが、かつて2000円で買った本がこの値段、しかもその初訳版が何とも毒々しく趣味の悪いカバー画で、この新装版がかねてから欲しかったので。それから帳場へ。ここは、会計はバイト或いは普通の女子社員、そして抽籤やなんかは出品している古書店の人間がやっている。早速「電話で既に確認したのですが、◯◯◯番の…」と問い掛けると、「いや、もう一度調べます・・・当たってますね。ええと……」と、裏に取りに行ったが、一向に戻らない。あんな狭いところを3分位捜して、やっと来たと思いきや「ありません」。開口一番「ありません」と言われても困るのはこちらの方だ。「今、店の人捜して来ますから…」と言って、待つこと5分。「あれ〜いないなあ」と戻って来た。もう一度裏に行き、すぐ出て来て、「ああ、ここにありました」。全く、……しかしまあ、期待してはいなかったが、取り出されて来た今回の注文品ワイニンゲル『男女と性格』、凾付だしその凾もあまり痛んでなかったのでまあいいか、と、兎に角とっとと会計を済ました。そう言えば、去年もここではこんなことがあった。注文したパニッツァ『三位一体亭』(南柯書局)を取り出してもらうと、紙の凾にべったりとセロテープで名前の札というか紙片(来会・郵送、他の抽籤者名とかが書いてある)が貼ってあった。普通、直接貼るだろうか?しかもそれを無神経にべりっと剥がそうとするバイトのねえちゃん。横で見ていた古書店の人が見とがめて瞬前に止めたからよかったものの、もうすこしなんとかならぬものなのか。伊勢丹やなんかではこんな覚えはないのに。それから神保町へ。今日は愛書会古書展の初日でもあるのだ。注文したのは、マンディアルグ『城の中のイギリス人』澁澤龍彦・米倉斉加年署名入総革限定特装本外凾付25000円。これは安い。定価でさえ7万いくらで、相場ではどこも14万円くらいするものだ。即たたき売っても4万円はもうけになるだろうという代物。だが予想通りハズレ。ま、儚い夢であった。見ていると、江古田の古書O舎の主人に肩をたたかれた。ここでの買い物は、柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書)200円、瀧亭鯉丈『八笑人』(岩波文庫)少汚200円。例のE堂が『近代情痴集』を30000円でガラスケースに出していた。目録には出してなかったのだが、この前のはまだ売れてなかったようだ。ここの店の棚で佐藤春夫『窓展く』凾付初版2000円というのを発見したが、逡巡の挙げ句やめた。その後T書店を見てから特価書籍へ。ここでトレヴィルのゾッキ『廃虚大全』を850円で購入。書誌Hへ。特になし。近くにあるバイト先の事務所に寄る。早速『男女と性格』をひろげてみた。するとどうだろう、奥付の頁が破り取られているではないか・・・・。諦めるほかない。カッカして確認しなかったのが悪いのだ。これも勉強である。しかし、目録に一言載せて欲しかった京都のA堂書店。古書漁っていると、こういう「勉強」ばかりさせられる。帰り際、神保町界隈を全学連とかのヘルメットに赤旗持った大集団を機動隊が囲んでいた。デモらしい、珍しいものを見た。まあ、気を取り直し、明日の中央線古書展と五反田遊古会に期待しよう。明日こそ朝一番に出て、久しぶりに開場に並ぼう。
1/23  寝るのが朝7時くらいになってしまい、目がさめると既に10時を過ぎていた。仕方ない、と考えてふと気づくと何時のまにか眠っていて、16時を過ぎていた。どうしようもない諦観が身内を占めたが、取り敢えず中央線古書展のやっている高円寺西部古書会館へ自転車で向かう。雑誌『ピエロタ』昭和48年4月号200円、小林秀雄『ゴッホの手紙』(角川文庫)100円、高階秀爾『近代絵画史』上下(中公新書)300円、それから岩波新書の和久田康雄『日本の私鉄』柴田得衛『東京』勝田守一他『日本の学校』をそれぞれ200円、矢崎源九郎『日本の外来語』100円、ドニ・ユイスマン『美学』(文庫クセジュ)を200円。どうも最近新書づいてる。注文した塚本邦雄『悦楽園園丁辞典』(薔薇十字社)凾帯付2000円はハズレた。帰り際外を見ていると、洋書がかなりあった。そこから、ワイルドの"SELECTED PROSE"(METHUEN,1914)と"INTENTIONS"(METHUEN,1925)をそれぞれ100円でひろう。高架下のT書店を見てから、荻窪のS書店に行く。森安理文『谷崎潤一郎あそびの文学』(国書刊行会)凾付2000円を購入。この本は定価が5500円もし、古書でも普通4000円以上するが、安かったので以前から目をつけていたのだ。さて、自由になる金も尽きた、明日は五反田に行こうかどうか。
1/29  今日は我樂多市古書展である。が、別に今回は注文もしていなく、また、仕事で殆ど終り15分位しか見れなかった。取り合えず、富岡幸一郎『仮面の神学-三島由紀夫論』(構想社)カバー付初版を800円で購入。その後T書店を見るも特になし。
2/2  バイトで、近くに小使いに行く途中、T書店を覗く。『田園の憂鬱』初版凾欠が14000円、ホッケ『迷宮としての世界』新装版が4400円、であった。書誌Hへ行く。佐伯彰一『評伝三島由紀夫』初版カバー帯付美本を1000円。購入した。
2/3
所用で江古田に行ったついでに、B・O江古田店を覗く。ウンベルト・エーコ『論文作法』(而立書房)を1150円で購入。
2/6  
昨日に引き続き、目覚めると夕方。昨日から始まっている趣味の古書展には、マンディアルグ『満潮』(奢霸都館)の限定1500部の初版が3500円というのと、同じく奢霸都叢書版アルトー『アンドレ・ブルトンへの手紙』が2500円、それから森開社の発行していた雑誌『森』第5号が2500円を注文するも、雑誌『森』のみあたる。結局電話して、郵送してもらう事にした。現在、往復の電車賃さえ少しままならなくなりつつあるからだ。
2/9  本日、この間の趣味展であたった季刊雑誌『森』第5号ユイスマンス特集が届いた。つい注文したが、どんなもんかと思っていたが、これはいい。ユイスマンス年譜、邦訳文献表、田辺貞之介訳業一覧、珍しいユイスマンス論、しかも所持している123号ではそうでないのに限定500部とある。あとは4号がどうしても欲しい。
2/10  本日某古書展の目録届く。いや、それにしても何故こうも金がない時に限っていい出物があるのか。矢野目源一訳シュウォッブ『吸血鬼』(大正13年)が出ている。これは絶対に欲しいものだが、朝晩2食ろくに喰えない今の状況ではとても無理だ……嗚呼。
2/13  杉並古書展。電話で、注文した生田耕作『るさんちまん』初版帯欠1500円はハズレということを確認。送付されてきた某合同目録で、楠瀬日年『候べく候』献呈署名入を発見、これはと、早速注文。
2/16  バイトで神保町へいく道すがら、T書店外台を見る。倉橋由実子『城の中の城』初版カバ帯墨筆署名落款入を800円で購入。それから書誌Hへ。今度の目録に出ていた『吸血鬼』を見せてもらう。ふと見ると生田耕作『ダンディズム』限定50部の特装本がある。250000円なんてまさかあるはずもなく、主人の好意で、ゆっくりと見せてもらったのみ。それからS書房で、ゾッキの中島正己『大正文人と田園主義』を500円で購入。
2/17  近くの古本屋チェーンで越沢明『東京の都市計画』(岩波新書)を290円で購入。
2/20  C書店より葉書届く。先の合同目録で注文した楠瀬日年『候べく候』献呈署名入限定300部本7000円、抽選の結果外れ。こうやってわざわざ葉書で知らせてくるとはありがたい。使ってるのも昭和50年の敬老の日葉書というのは、何とも妙だ。
2/23  日本近代文学館に行く道すがら、駒場東大前のK書店に寄る。去年にはあったジェームス・ハネカーの評論集は売れてしまっていた。帰り道、渋谷古書センターへ。相変わらずなにもない。デザイン事務所に寄り明日発売の『TOKYO TRASH web the book』(美術出版社)を、1部頂いてくる。渋谷パルコ・ブックセンター内洋書ロゴスで写真集"JAN SAUDEK", TASCHENを1143円で購入。タッシェンのは安くていい。が、帰宅してから気づいたのだが、修正版であった。
2/24  某合同目録が関西の古書店より送り来る。澁澤龍彦『貝殻と頭蓋骨』初凾帯極美4000円、『悪魔の中世』初凾帯6000円とある。これはいくらなんでも安いだろう。早速注文せねば。しかし、先着順とある。この雨の降る深夜、ファックス出しに行こう。
2/25  結局昨夜ファックスが何故か通じなかったので、午前中に大阪のM書店に電話かけるも、既に売り切れ、という。小さい自家目録ならまだしも、こういうものは抽選にして欲しいものだ。夜、スーパーに買い物にいく途中、駅前の小さな古本屋に寄る。横溝正史『本陣殺人事件』(角川文庫)と雑誌『サライ』特集江戸川乱歩をそれぞれ100円で購入。
3/2  昨日は都内K書店の目録が届いた。なんとそこでは谷崎の『人魚の嘆き 魔術師』が2万円ででているではないか。それに本間久雄訳『遊蕩児』凾付初版が25000円だなんていうのもあってびっくり。この間の古書展で4000円くらいででていたのに。名越国三郎の画集『初夏の夢』も出ていたが、25000円など出るはずもなく。結局マンディアルグの『一九一四年の夜』凾付訳者署名入3000円と林富士馬『鴛鴦行』(限定800部背革装)2500円をファックスで注文する。が、ここは前金制とあり、システムがよくわからず、今日の昼に電話を掛けてみると、既にマンディアルグは売れてしまったとのこと。『鴛鴦行』分の金を振り込んできた。まあ、先着順じゃあしょうがない。用事で阿佐ヶ谷まで出たので、S書店を覗くと、「ある夢想家の手帖から」5巻『女性上位願望』初版帯月報付を950円で発見、購入。
3/3  夕方から、西武新宿線鷺宮駅から沿線沿いを田無駅まで自転車で古書店探しをやる。いい店、なんていうのはなかったが、武蔵関の古書店で平岡梓『倅・三島由紀夫(没後)』初版凾帯付を2000円で発見。これは安い。こっちの青い本の方は何故か少なく高いのだ。が、買う金はなく。帰り際、下井草駅近くの古本屋で『日本人の死生観』上下(岩波新書)を1冊80円で購入。
3/6  夕方、帰宅するとK書店より注文した林富士馬『鴛鴦行』(皆美社)凾付限定800部が届いていた。背革装、夫婦凾入である。しかしまあここまでやるなら、天金でないことはまだしも、せめて限定番号を奧附に入れて欲しかった。
3/9  バイト先で、ワタクシも校正・雑用に従事した雑誌『季刊文科』10号特集壇一雄を頂く。
3/10  神保町三省堂で、復刊版岩波文庫の近松秋江『別れたる妻に送る手紙』と内田魯庵『社会百面相』上下を購入。以前より気にはなっていたが、貧窮の為買えず、品切れ時のプレミアを恐れていたが、少々金が入ったため。T書店、森開社のマラルメ『ヴィリエ・ド・リラダン』の別装333部本があった。金があれば買うのに。それから書誌Hへ。この間取り置きして置いた平野威馬雄『銀座の詩情1』(白川書院)と一瀬直行『随筆・浅草』(世界文庫)をそれぞれ300円で購入。入れ替わりに、『世紀末研究』5号他、幾つか取り置きしてもらう。
3/11  この間注文した三島由紀夫の文庫本がT書店から届いた。新潮文庫『美徳のよろめき』『鍵のかかる部屋』初版、それと重版では、新潮文庫の昔のカバー絵の『永すぎた春』と『金閣寺』『鏡子の家』『愛の渇き』、角川文庫の『愛の渇き』『純白の夜』『夏子の冒険』それぞれすべて100円。それとアーヴィング『Rip Van Winkle&John Bull』(開文社)を1000円、である。文庫は、実は「解説」ねらいで購入したのだが、『夏子の冒険』なぞは解説すらついてなかった。新潮文庫の昔のカバーは集めている。他に、『金閣寺』『美徳のよろめき』『潮騒』などが今とは全く違うカバーであるが、今回の『永すぎた春』は初めて見た。
3/12  某古書展目録届く。なんと、ネイサン『三島由紀夫-ある評伝』が1500円で出ているではないか、帯欠本ではあるが。早速注文する。
3/13  バイトで神保町へ。残念乍ら紙魚之会古書展は間に合わず。T書店へ。何と、外の台に、谷崎潤一郎『蓼喰ふ蟲』小出楢重装幀の初版本が、凾欠ではあるが☆☆☆☆円であるではないか。吃驚した。蔵書印も多く、書き出しの1ページ目が半分破れて欠落してはいるが、だからといって☆☆☆☆円とは。既に凾付初版本は所持しているが、迷わず購入。店内では、同じ凾欠本が16000円で出ていた。それからY書店の3階でやっている自筆物展示会を覗く。荷風、三島、鴎外等、いろいろあった。カタログを見ると、例の問題になった三島書簡全10通が6500000円で出ていた。文学館が購入するのか、はたまた遺族が購入するのか。その後、書肆Hへ。ここで倉橋由美子『磁石のない旅』初版完本を200円で購入。
3/14  今日は午後から高円寺の西部古書会館での西部古書展へ自転車で赴く。稀にみるうら暖かな午後だ。最終日の午後であるからか、人も少ない。まず、『三島由紀夫展』を1000円。三島自決直前に東武百貨店でひらかれたもののパンフである。それから又パンフ。東横劇場でやった「黒蜥蜴」が3000円、「三島由紀夫作品連続公演」がそれぞれ2500円であったが、手が出ない。ふと見ると、国立劇場パンフが1冊300円で並んでいる。「もしや・・」と思い探してみると、国立劇場開場3周年記念公演「椿説弓張月」パンフがあった。早速購入。他には、岩波文庫の復刊版、鏡花『婦系圖』上下を1000円、『鴛鴦帳』を500円で購入。
3/18  今日はバイトに行く途中、神保町のT書店を見る。外台で1冊100円にて次のものを購入。早川義夫『ぼくは本屋のおやじさん』(晶文社)、ランセ『十九世紀フランス文学の展望』(文庫クセジュ)、草平『煤煙』、天外『魔風恋風』後編(岩波文庫)、バルト『表徴の帝国』、前田愛『都市空間のなかの文学』(ちくま学芸文庫)、バルザック『絶対の探求』(岩波文庫)、『山内義雄譯詩集』(角川文庫)。『絶対の探求』は、どうも訳者の葬式後に参加者へ配られたものらしく、訳者署名を印刷した特製バルザック栞入りで、息子さんの挨拶状が表紙裏に貼付されていた。『山内義雄譯詩集』は、山内義雄の名刺がセロテープでとめてあった。100円なりの珍品、と呼べるか?
3/19  朝から雨。そして今日は神保町本部会館にて城南古書展。昼頃、抽選確認の電話を入れる。もし、ネイサンの本や『黒魔術』の初版があたっていれば、既に手許にあるそれらの本を持ってゆき、どちらを手許に残すか状態を判断して、すぐに懇意の古書店で売却、差額をプロバイダ料金にでもまわそうかと考えていたからだ。(ここ数日料金未払いで止められていたのである)。が、残念ながら、というか、予想通りその二つははずれた。当たったのは、否、ワタクシしか注文がなかった益田道三『近代唯美思潮研究』(昭森社)2500円のみ。会場へ向かう。『好色文學批判』1200円や『明治文學研究文献総覧』3000円なども見かけたが、買えない。石原慎太郎『三島由紀夫の日蝕』初版カバ帯500円、日本近代文学館編『日本近代文学と外国文学』(読売新聞社)凾付500円、雑誌『本の本』特集永井荷風500円、バザン『映画とは何か』3(美術選書)初版凾帯1000円、を購入。バザンのは、バラで既に1・2を所持しているが、これであと4を残すのみである。四冊揃いは普通15000円くらいはするが、何とかしてこの端本を見つけだしたいものだ。
3/23  新宿紀伊国屋南店へ。洋書コーナーで、ペンギンブックスのバーナード・ショー作品集を探したがなし。しかも、フランス文学の棚が縮小されていた。文庫コーナーで、岩波文庫復刊版斉藤緑雨『あられ酒』と、生田耕作『ダンディズム』(中公文庫)を購入。帰宅後、五反田遊古会と中央線古書店の注文葉書を書く。
3/25  昨日、某古書店から目録送り来る。きたきた、映画『人斬り』スチール10枚6000円や、演劇実験室天井桟敷公演『毛皮のマリー』半券付パンフ5000円、地下本『天皇裕仁と作家三島由紀夫の幸福な死』が25000円。大江健三郎の、ノーベル賞授賞式会場で100部限定で配られたスウェーデン語版『あいまいな日本の私』なんていうのが10000円で出ているが、こういうもの早速売る人間がいるんだなとある意味感心した。とは言え、今この金のない時期、指をくわえて我慢するしかないのは辛い。
3/26  愛書会と杉並書友会の目録届く。何と!エドガー・ソールタスの原書が出品されている、この金の無いときに。嗚呼。
3/27  昼過ぎ、電話確認。五反田遊古会で注文した渡辺温『アンドロギュノスの裔』(薔薇十字社)凾付帯欠4500円とトポール『マゾヒストたち』(薔薇十字社)凾帯付3000円ははずれてしまった。まあ、両方とも持ってはいるからいいが。それから中央線古書展へ電話。吉村貞司『三島由紀夫の美と背徳』(現文社)カバ付1000円はあたるも、演劇実験室天井桟敷本公演台本『疫病流行記』2500円は、印がついてないという。ということは、注文を受けていないということか。来週からの出費と雨という天候を考慮し、残念だが五反田に行くのは諦めて、自転車で高円寺へ向かう。帳場で聞くと、葉書が着くのが遅かったためだという。・・・これも勉強である。出費が予定よりも抑えられたが、やはり低価格のものばかりを拾う。浜尾四郎『殺人鬼』(春陽文庫)200円。ハヤカワ・ポケット・ミステリに入っている日本人の作品は『ドグラ・マグラ』とこの『殺人鬼』だけだが、未だ未読だったので。本当は桃源社の凾付のやつがよかったが、あれは高い。ヘレーン・ハンフ『チャリング・クロス84番地』新装版(講談社)を150円。『夜想10』特集怪物・畸形を300円。それからアルフォンス・アレ短篇集『悪戯の愉しみ』(出帆社)カバ付が300円。これは安いだろう。
3/28  所用で池袋へ。サンシャイン近くのK書店へ行く。酒井角三郎『三島由紀夫の神話』(三一書房)初版カバ付を300円で購入。ガラスケースに三島初版本が並んでいたが、あまりぱっとしたものはなかった。
3/29  朝、高円寺のT書店より電話。この間の中央線古書展で注文した『疫病流行記』、来会とあったのに、お引き取りにこられなかったようですが・・・と電話あり。いやいやそんなはずはないと話を聞くと、どうも昼食で外に出ている間にワタクシが来たので他の書店さんが対応し、ああいう風なことになったという。どうしましょう、というので、今週末の杉並古書展の時に取りに行くことになる。いろんなことがあるもんだ。バイトで神保町へ来て、帰り際閉店寸前の書肆Hを覗く。やっとなにがしかの金が入ったので取り置き分を引き取ろうと。鈴木貞美編『大正生命主義と現代』(河出書房新社)を1300円、野口米次郎ブックレット『ポオ評傳』(第一書房)の少痛本を300円、松田修『日本の異端文学』(講談社)を500円、それから、ここしばらくの間探求中であった添田知道『演歌の明治大正史』(岩波新書)を500円で購入。ふとみると、棚に渡辺温『アンドロギュノスの裔』(薔薇十字社)凾付帯欠本がある。18000円であったので、先週末に4500円で古書展に出品されたが悔しくもはずれた話を主人にすると、なんとこの本がくだんの本で、抽選に当たったのだという。・・・何とも、悔しい。その後地元に着いてから、駅前の商店街にある小さな古本屋で富田仁『フランス小説輸入考』(東京書籍)を600円で購入。
3/31  バイトの帰りに神保町書肆Hに寄る。この間の取り残し、雑誌『世紀末研究』5号1000円を購入。保田與重郎『日本浪漫派の時代』凾付美本が15000円であったが、手が出ない。
4/1  所用で池袋へ。K書店にて高橋和夫『スウェーデンボルグの思想』(講談社現代新書)を290円、海野弘『モダン都市東京』(中公文庫)を280円で購入。帰り道にある、中村橋駅前の古本屋を久々に覗く。現代文学大系『三島由紀夫集』(筑摩書房)凾付を100円、フーコー『精神疾患と心理学』(みすず書房)を300円、吉田健一訳『ラフォルグ抄』(小沢書店)新装版カバ付500円、今道友信『西洋哲学史』(講談社学術文庫)を350円、ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)改訳版を300円で購入。
4/3  今日は学校の入学ガイダンスとやらで、久々に学校へ行った。ある教授のとこへ挨拶にいこうとしたが勿論来校しておらず。帰ろうとした矢先、どこかで見かけたような雑誌がゼミ雑誌コーナーに山と積まれているのを発見。近くにいた副手の方に聞いてみると、「あそこにある雑誌、本も、欲しいなら自由に持って帰ってよい」ということなので、いただくことにした。多分、研究室があった部屋に事務室が移転したから整理したのだろうが、これらがすべてただとは!まず、雑誌『迷宮』123号揃いを2セット、季刊『FILM』7・8・9・10・11・12・13号の7冊、吉崎道夫『同化の芸術異化の芸術』(朝日出版社)、ヴェベール『テーマ批評とはなにか』(審美社)、佐藤輝夫訳『ヴィヨン詩』(青朗社)、ダヌンチオ『死の勝利』(旧新潮文庫)、その他過去の大学紀要数冊。ものすごい大荷物で、所用のためそのまま池袋へ。用事を済ませてからブックセンター・リブロへ。ここで本間國雄『東京の印象』(教養文庫)なる文庫本を発見、購入する。何と本間国雄のものが文庫化されているのに、今まで知らずにいたとは!無念。その後、知り合いの呼びかけで全く見ず知らずの人たちとの飲み会があるために、待ち合わせの高田馬場ビッグボックス前に行くと、ビッグボックス古書感謝市をやっているではないか。ついつい、今道友信『美について』(講談社現代新書)150円、新潮日本文学『三島由紀夫集』初版凾帯350円、三島由紀夫『鏡子の家』第一部第二部凾帯付揃い800円、を購入。
4/4  午後から杉並古書展へ。まず外で『朝日ジャーナル』85年11月29日号を100円。M・ベジャールへのインタビューがある、「三島由紀夫タブーからの奪還」という特集号。中では、目録に掲載されていたソールタスやヴァン・ヴェクテンの原書は既に1冊もなかった。H・L・メンケンの評論集"PREJUDICES first series"(ALFRED .A.KNOPF,1926)第9版を500円で。ムアの『一青年の告白』の1906年版が1000円であるも、相当の水ムレ本なのでやめた。他には日本文学講座12『明治大正篇』(改造社)を250円。帳場でT書店の人を呼ぶも不在。近くにある店舗に行き、取り置きという形にしてもらった。不急のものなので、この金欠時、実はこの方がありがたい。
4/5  昼、米国アマゾンコムより航空便が届いた。2月に注文した、"Selective Checklist of the Published Work of Aubrey Beardsley",Thomas.G.Boss,1995($75)である。それにしても、ちょっと論文の関係で確認したい箇所があっただけなのに、75ドルは高い!、しかも結局論文の校了に間に合わなかった。それからバイトの関係で神保町へ。T書店外台にて、ドリュ・ラ・ロシェル『ゆらめく炎』(河出海外小説選)初版ビニカバ帯付を500円で発見、購入。前に購入し、実はこれで3冊目だが、これで帯付が入手出来た。中では、ヴァレリー・ラルボー『罰せられざる悪徳・読書』(コーベ・ブックス)の特装33部本を発見、本文用紙藤色、鶯色の総革装で、15000円であった。コーベ・ブックスなら、『レア』や『少年十字軍』の特装本であったなら、もらったばかりの給料を投げ出していたかもしれない。それから書肆Hへ。入荷したばかりの奢霸都館版『閉ざされた城の中で語る英吉利人』特装120部本100000円を見せて貰う。ご主人から、何でもこのページを見てくだすってる方が何人か来店され、既にこのページを聞き及んでいることを聞き恐縮する。1冊取り置きして、帰途につく。途中、新宿紀伊国屋で、森彰英『行動する異端-秦豊吉と丸木砂土』(TBSブリタニカ)1680円を購入する。
4/6  昼頃、宅急便で、演劇実験室天井桟敷第24回公演台本『疫病流行記』が届いた。多分、古書展会場でそのまま送付したのだろう。しかし、取りに行くとして行ったのに、主人が外していて受け取れず、ちゃんと店の方にも言って置いたのに郵送代をこちらが払わなければならないとは。
4/8  学校に行った帰り、練馬のI堂書店による。外の棚から、三島由紀夫『獅子・孔雀』(新潮文庫)100円、『椿説弓張月』『癩王のテラス』(中公文庫)初版を150円、100円で購入。『獅子・孔雀』は、現在は『殉教』と改題されており(何故改題されなければならなかったのかは不明だが)、なかなか見ないものだったので嬉しい。
4/9  昼過ぎ、趣味の古書展会場に電話。申し込んだ山崎晃嗣『私は偽悪者』1500円はハズレた。いや、それにしても残念だ。去年の今頃も、同じ古書店でこの『私は偽悪者』が出品されハズレたという経緯があるために悔しさがつのる。東京R書林の目録にも出てはいたが、6500円というのはちと高すぎるだろう。無論これを御覧になってる方はご存知であろうが、山崎晃嗣とは東大生でありながら闇の高利貸しで一躍世間に躍り出るも、経営の行き詰まりと共に自殺した、戦後アプレ・ゲールの典型的青年と言われた人物。三島の小説「青の時代」はこの山崎晃嗣がモデルなのだ。どこの図書館にも入ってないし、内容だけでも知りたくて仕様がないのである。いつかの武蔵関の古書店に電車で赴くが、どういうことか見あたらず。自転車でいったからか、記憶違いか、結局戻り、駅前の古本屋で金子光晴『どくろ杯』(中公文庫)100円と遠藤周作『わたしが・棄てた・女』(講談社文庫)210円で購入。
4/10  和洋会、本の散歩展、大阪アメニティパーク古本まつり、他、の古書目録一斉に届く。本の散歩展目録に水島爾保布、酒井潔等の著作や、薔薇十字社、奢霸都館の書物が安値でわんさか出品されているではないか、早速注文。
4/12  昼過ぎ、所用で神保町にいったので、書肆Hを覗く。雑誌『海』が大量に入荷されていた。まだ紐でくくってあり値も付けてなかったが、さっそくそこからマンディアルグ来日講演掲載号79年12月号を抜き、500円で購入。ついでにジイド『法王庁の抜穴』(岩波文庫)を100円で購入。主人と少々話す。『閉ざされた城の中で語る英吉利人』の特装本が売れたとかで、ちょうど荷造りをしていた。高いものはあまり動かないけど、奢霸都は例外だねえ、と主人。
4/13  大阪M書店より、先日注文した三島由紀夫『狩と獲物』(要書房)初版5000円、はずれの旨の葉書来る。新宿古書展、他の目録届く。
4/15  学校の帰り、B・O江古田店で『ユリイカ』特集世紀末(70.10)を300円で購入。はす向かいの古書O舎で安藤更生『銀座細見』(中公文庫)を200円で購入。
4/17  学校の帰り、江古田駅前のK書房にて村松剛『三島由紀夫―その生と死』(文藝春秋)初版ビニルカバー帯を1500円で購入。そのまま池袋に出て山手線で五反田へ。今日は本の散歩展である。外は、凡ての品が100円均一、文庫本は50円均一であった。まず、昭和27年度後期『創作代表選集11』(講談社)。実は既にもっているが、このアンソロジーには三島の「真夏の死」が入っている。それだけでは別に珍しくも何ともないが、実は現行の文庫本や全集等でのテクストは凡て改訂版であり、オリジナルからラストの2行が削除されているのである。初出誌以外で、つまり単行本ではこの本が唯一の未削除版を所収しているものなので、知る人ぞ知る書物なのだ。それから『ジャンル別比較文学論』凾付(カルチャー出版社)、日本文学全集27『三島由紀夫集』(河出書房)凾付、雑誌『人間』昭和21年12月号、『文芸』昭和41年6月号と昭和31年3月号、シュリーマン『古代への情熱』(岩波文庫)、厨川白村『近代の戀愛觀』(改造社)凾付を購入。それから中へ。今回は8点も注文したが、何と、片山健画集『美しい日々』(幻燈社)初版凾付署名入3000円、トポール『マゾヒストたち』(薔薇十字社)凾付1000円、『現代獵奇尖端圖鑑』(新潮社)凾付3000円、酒井潔『愛の魔術』(国際文献刊行会)8000円、『ドラキュラ・ドラキュラ』(薔薇十字社)初版カバ帯付2000円、水島爾保布『痴語』(金尾文淵堂)凾付2500円、生田耕作『ダンディズム』(奢霸都館)旧版カバ帯付3000円、『恋の百面相』2000円、全てハズレであった。げんなりしながらも、何故かほっと一息。何とか懐具合がもちそうだからだ。それから、『本の本』4特集雑誌を200円、小島政二郎『聖体拝受』(新潮社)凾付200円、龍膽寺雄『M・子への遺書』(日月書店)初版カバ帯月報付1000円、『文化評論』特集三島由紀夫(71.3)500円、シュニッツレル(秦豊吉訳)『戀愛三昧/アナトオル』(旧新潮文庫)帯付500円、加えて、サド(澁澤龍彦訳)『悲惨物語』(現代思潮社)昭和33年版初版凾付を3000円。これは現代思潮社第一号の出版物。帯はないが、たいした汚れも痛みもないのに3000円は安いだろう。佐藤紅霞『談奇』限定300部あるも5000円では手が出ない。それから高円寺へ。T書店、K書房など回る。T書店で現代長編小説全集『三島由紀夫集』(講談社)凾付を150円で購入。その後歩いて阿佐ヶ谷へ。S堂書店では澁澤龍彦『黒魔術の手帖』凾付6版が2900円で売っていたが、既に持っているので買わなかった。あれはすぐに売れるんだろう。
4/19  引っ越しなどの準備で前日から実家の方へ。今日帰り際、柏駅前のT書林で横山大観・和田三造・谷崎潤一郎『鼎談・餐』(柏書房)凾帯2000円と高橋輝次『古書と美術の森へ』(新風舎)帯を1000円で購入。その後学校の授業へ行き、帰り道、B・O江古田店を覗くと、『プチロワイヤル和仏辞典』96年の重版が100円コーナーにあるではないか。凾は踏みつぶしたようになっていたが、本は極美。100円は安い。即購入。次に、鷺宮駅前の古本屋で北原武夫『告白的男性論』100円と同『告白的女性論』(旺文社文庫)80円、ニーチェ『道徳の系譜』(岩波文庫)150円を購入。「告白的〜」は両冊ともカバー絵は小林ドンゲである。
4/21  とうとう引っ越し完了。もう、くたくたである。学校の帰りにアパートによって、残してきたゴミを処分しなければならない。途中、江古田のK書房駅前店でゑぞ・まめほん34植原路郎『窓』(北海道豆本の会)を300円で購入。  
4/22  どこの段ボールにどの本があるのかわからないのは困りものだ。学校からの帰り道、実家最寄りの駅ちかくの古本M文庫に寄る。漫画ばかりの店だが、映画『あの胸にもう一度』(マンディアルグ「オートバイ」の映画化作品)の初公開時パンフを500円で発見、購入。高円寺古書展、ぐろりや会古書展目録届く。
4/23  学校の帰りに、本部会館へ。今日はまど展初日なのである。既に15時をまわっており、雨も一向に止む気配もなかったからか、場内は閑散としていた。矢口達訳『蕩児』(「ドリアン・グレイの肖像」)の凾付が2500円であるも、大正13年刊であるし、本間久雄訳『放蕩児』だったら買うのだが、見送る。武林無想庵『無想庵無語』(改造社)凾欠を1500円で見つけた、これは買いだ。次に大塚宣也訳『近代英吉利文学論』(肇書房)200円。これはホルブルック・ジャクソンの『19世紀』(邦訳題名『19世紀イギリスの芸術と思想』)の抄訳本である。今まで知らなかった。それからタゴール『有閑哲学』(朝日新聞社)を300円で。表紙、見返しは木版印刷。装幀は恩地孝四郎で、昭和4年刊。谷崎潤一郎『文章読本』初版(昭和9)カバー欠200円。それと『国文学解釈と鑑賞』臨増「近代文学雑誌事典」を500円。その後書肆Hへ。主人は留守。
4/26  バイトの帰り、最寄り駅近くの古本チェーン店で、小檜山博『光る女』(集英社文庫)を140円で購入。
4/28  池袋の新刊書店Pにて、かねてから取り置きし、引き取りを迫られていたピエール・アンジェリック『マダム・エドワルダ』(奢霸都館)限定150部の特装本84000円を購入。今、この出費はきつすぎる。
4/29  東武野田線六実駅近くの小さな古本屋へ自転車で赴く。ここはいつだったか、開店セールの時、三島『橋づくし』(文藝春秋)初版凾付を100円、平岩弓枝『鏨師』(新小説社)初版凾帯付を400円で発見、それをパラかけて神保町K書店にもってゆき○万×千円にて売却したという思い出があるが、そんなことが毎回ある筈もなく、殆どが漫画ばかりのこの店内にはなにも見るべき物はなかった。リクール『悪のシンボリズム』(渓声社)カバ欠を30円、花田清輝『復興期の精神』(講談社文庫)98円で購入。
4/30  バイトに行くついでに神保町本部会館のぐろりや会古書展に行く。野田宇太郎『増補改訂版新東京文学散歩』(角川文庫)を200円。『文學界』昭和46年2月号特集三島を300円、あと雑誌『聲』135789号をそれぞれ300円で購入、これで10号以外は全て揃った。佐藤春夫『文芸一夕話』(改造社)初版凾欠3000円は欲しかった。それから書肆Hへ。目の前で、一手違いで雑誌『森』特集ヴィリエ・ド・リラダンを来ていたお客さんに買われてしまった。これは悔しい。ダヌンチオ『死の勝利(縮刷)』(新潮社)を500円で購入後、T書店へ。何と、欲しかった荷風『冷笑』初版青表紙本が12000円、それと、易風社から出された『歡樂』が発禁になったあと、密かに配られたらしい「歡樂」一篇のみの俳書堂版が12000円、そして発禁本である『夏姿』(籾山書店)が、32000円で出ているのを発見、興奮した。とは言え、金は当分全くなく。その後日本特価書籍へ。ここで田坂昴『増補三島由紀夫論』(風濤社)を760円で購入。ゾッキ印もないのに、安い。やっとゾッキが出たので買おう買おうと思っていた『ユイスマンス伝』(学研)3600円、全て売れてしまっていた。残念。
5/4  池袋リブロにて、フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(中公文庫)を1223円で購入。
5/7  米国アマゾンコムより、注文した書物Barbey D'Aurevilly:DANDYISM(tr.by Douglas Ainslie)PAJ Publications,N.Y.,1988)$9.80が、航空便で届く。
5/14  今日は愛書会古書展。とは言え、金もなく、バイトの時間ぎりぎりだったので15分程度しか覗けず。テレンバッハ『メランコリー』(みすず書房)少書込を500円、それと大宅壮一選集2『恋愛・女性』を300円で購入。帰りの電車の中で開いてみると、何と大宅壮一の献呈署名入りであった。
5/15  小雨の降るなか、柏駅近くのT書林へ。外の100円均一台で、『雨月物語・春雨物語』(教養文庫)と川原栄峰『ニヒリズム』(講談社現代新書)と「日本の文学」69巻『三島由紀夫』(中央公論社)を、中では、澁澤龍彦『女のエピソード』(桃源社)初版凾付を1000円、寺山修司『十九歳のブルース』(新書館)初版カバ付を300円で購入。
5/17  学校前のK書房で、文庫本を見る。まだ値を付けていなかったが、ワイニンゲル『性と性格』上下(改造文庫)、その他厨川白村やアルチィバアセフを、その無知を期待してレジのバイト兄ちゃんのとこへもってゆくと、なんと1冊600円と言われた。前はこんなことはなかったのに。その無知が逆に裏目に出たのだ。何故600円もするのかと聞くと、「戦前のだから」と一言。
5/21  学校の授業後、神田へ。今日は趣味展である。とは言え、閉館15分前。さーっと見るのみ。伊藤整『日本文壇史』7・8凾付各300円と、ウォルター・ペーター"APPRECIATIONS"(MACMILLAN.Co,1927)を100円、それとルイ・ヴァックス『幻想の美学』(文庫クセジュ)100円を購入。その後T書店へ。目をつけていた荷風『新篇ふらんす物語』(博文館)重版の美本5000円が、売れてしまっていた。そして書誌Hへ。塚本邦雄本、署名入り各詩集を大量入荷したという。取り置きしていた澁澤龍彦『サド復活』(弘文堂昭和45年版)初版カバー付を1000円で購入。
5/22  ここ暫く会場に封筒を持っていかなかった為か、目録が郵送されてこなかったのですっかり忘れていたが、今日は五反田遊古会古書展の日である。しかし結局なんやかやで会場に着いたのは閉場10分前であった。まず外をさっーっと見る。時間が時間だけに気が気ではない。日本近代文学館編『日本近代文学史』(読売新聞社)凾付を300円で購入後2階の会場へ駆け足。とは言え、6分位ではとても見て回ることも出来ず。しかし、荷風『歡樂・すみだ川』(春陽堂文庫)200円と新潮社のヱルテル叢書版『若きヱルテルの悲み』(秦豊吉訳)重版を200円、それから『辻潤全集第8巻』完本で500円、を購入した。
5/25  柏駅近くのT書林を覗く。松本健一『三島由紀夫亡命伝説』(河出書房新社)カバ帯600円、川本三郎『大正幻影』(新潮社)500円、それと文学座公演パンフ「トスカ」、『文学座通信』他4冊(三島関連)を800円で購入。近くのA書房も覗く。ここは正月に来た以来だ。殆ど見るべきものがなかったが辻潤訳『訂正天才論』重版を発見。値は付いていなかったが、レジの漫画を読んでいた兄ちゃんに聞いてみると3000円という。今回は見送った。
6/1  福島県の古書店Tより、先日注文した龍膽寺雄『化石の街』初版3000円ハズレの旨の葉書来る。
6/2  学校の帰り道、学校前のK書房外台にて『諸君!』総特集三島由紀夫(71.2)を500円で見つけ、購入。バイト先の神保町へ。S書房、T書店を覗く。シュオッブ『古希臘風俗鑑』凾欠が6800円くらいで出ていた。
6/4  学校の帰り、神保町へ。今日は城南古書展。とは言え、開場に着いたのは閉館30分前。保阪正康『死なう団事件』(れんが書房新社)を500円で、高木護『辻潤 「個」に生きる』(たいまつ社)を300円で購入。
6/11  柏駅近くのT書林を覗く。何も無し。雑誌『國文學』特集近代文学に投影した外国文学2を150円で購入。
6/19  雨の中、柏駅近くのT書林を覗く。今東光『十二階崩壊』(中央公論社)重版カバ帯を600円、秦豊吉『三菱物語』(要書房)帯貼り付け本を350円で購入。
6/25  書窓会古書店、終わり30分になんとか間に合う。まず、尾崎秀樹『異形の作家たち』(秦流社)を500円、『民主文学』三島論掲載号(69.9)を200円、大泉黒石『老子』(新光社)重版凾欠を400円、小山内薫『一里塚』(植竹書院)再版凾欠を900円、それから黒岩周六『天人論』(朝報社)重版を400円。これらはちょっと安いと思う。普通重版のこういう凾欠本でもこの5倍の値はするだろう。それから復刻版の泉鏡花『日本橋』(千章館)外凾欠を600円。復刻版のものだけれども、この『日本橋』はたいてい2000円以上はする。復刻された凾はついている訳だし、まあいいだろう。そういえばいつだかこの本(復刻でない)の再版凾欠美本が15000円で出ていたときがあった。そして現代戯曲選集版の鈴木泉三郎『生きてゐる小平次』(春陽堂)を500円。それから書肆Hへ。大分ご無沙汰してしまった間に、谷崎の大正期初版本が完本で幾つか売れたという。悔しい。澁澤本がズラッと入荷していた。そこから『異端の肖像』(桃源社)の元版のほうの凾欠本が1800円だったので、「青春文学叢書」版三島『潮騒』初版カバ付1200円とともに取り置きし、ラシルド『ヴィーナス氏』(人文書院)初版カバ帯1000円を購入する。本日、やっとのこと軍資金も入ったし、明日からの五反田展、新宿展は期待したい。ついでに中央線沿線も久々にまわろう。やはり、古書を漁っている時だけが愉悦の時だ。
6/26  昼過ぎに五反田古書店会場の南部古書会館へ。まず外で倉橋由美子『迷路の旅人』(講談社)初版カバ帯を200円、三島『愛の渇き』(新潮文庫)重版帯を100円、厨川白村『象牙の塔を出て・苦悶の象徴』(改造文庫)を100円、高山樗牛『瀧口入道』縮刷(春陽堂)重版を100円で購入。2階の会場に上がる。注文していた今和次郎『モデルノロジオ考現学』(春陽堂)初版10000円と、雪岱装の水上滝太郎『大阪の宿』初版凾付3000円は外れてしまった。秦豊吉訳『現代ユーモア全集獨逸篇』凾付1000円と出版人の遺文『中央公論社嶋中雄作』(栗田書店)凾付を600円、雑誌『本の本』特集漱石を200円、水上滝太郎『貝殻追放』上下(改造文庫)800円を購入。それにしても『モデルノロジオ』は欲しかった。今、学陽書房から出ている復刻版でもこのくらいするのではあるまいか。水上は、『勤人』(プラトン社)の初版凾付ならば2500円で棚に並んでいたが、今回はやめた。それにしても雪岱装の『大阪の宿』が3000円というのはみっけものだったのに。近くの喫茶店で一休みした後、高円寺へ向かう。今度は西部古書会館で新宿古書店だ。注文品は澁澤龍彦『異端の肖像』(桃源社)元版初版凾付4000円と『犬狼都市』(桃源社)再版凾付2500円である。『異端の肖像』はハズレた。が、このために昨日書肆Hで取り置きしておいたのだ。ここでは『犬狼都市』とハヴェロック・エリス『生命の舞踏』(大勝館)300円の2点。それからせっかくここまできたのだから、と高架下のT書店を見てから阿佐ヶ谷へ歩いてゆく。阿佐ヶ谷のS堂書店を覗くも買おうと思っていた本は売れていた。「われらの文学5」『三島由紀夫』(講談社)初版凾凾カバを300円で購入後、今度は荻窪に向かう。価格的な掘り出し物が絶えないS書房へ。しかし、4ヶ月近くこなかったら棚の中は一新されており、しかも値段設定も以前より少し高めにつまり標準的になってしまっていた。それからI書店、古書Gに寄るも特に見るものもなく、帰途につく。
6/27  バイトの帰り、国道6号線近くのA書店へ。前々から欲しかったロンブロオゾオ著辻潤訳『訂正天才論』(三星社)を購入。3000円。これの更に改訳した春秋社版なら既に持ってはいるのだが、それには辻潤の序文が収録されていないのだ。レジ横でふと見ると伊東整『典子の生きかた』(新潮文庫)があったのでこれも200円で購入。次にT書林へ赴く。ここで澁澤龍彦『快楽主義の哲学』(光文社カッパブックス)初版カバ付を500円で購入。
6/28  学校の帰り、江古田F書房に寄る。前から目を付けていた矢野目源一『寝物語千一夜』(丁々社)初版を800円で買う。
6/30  バイトに行く途中、神保町T書店でかねてから目を付けていたノヴァーリス『断片』(第一書房)凾欠4000円を購入。この『断片』は既に普及版なら所持しているが、背コーネル革装の今回のものは以前から欲しかったのだ。あとは『続断片』だ。しかし、以前この『断片』の2冊揃いで凾欠、ペン書込多というのが某古書店で30000円しているのを見かけたことがあり、当時それでも購入しようとしていたのだから今回のはとても安価に感ぜられる。並装の普及版ならたまに見るのだが。しかも今回のは状態がとてもいい。