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私は変人だ。奇妙だと思わないでくれ給え。

パラケルスス『自然の光』
1998下半期

9月

10月

11月

12月


9/26  今日は五反田の南部古書会館で開催された五反田遊古会古書展に行く。外台で、ミルボー『小間使の日記』(新潮文庫)の上下元パラ帯付美本を500円で見つける。他に、新庄嘉章訳『女の一生』、アンデルセン『人魚の姫』をそれぞれ100円。新潮社の「現代小説全集」凾付本が並んでいたので、そこから『谷崎潤一郎集』『佐藤春夫集』『泉鏡花集』『近松秋江集』(各300円)を買う。この集で谷崎や鏡花を見るのは初めてだ。それにしても堂々たる装釘の大冊で美本であるのにこの値段は安い。全く幸先がいいスタートだ。が、会計に手間取り一足遅れ入場。注文していた龍膽寺雄『風に関するEpisode』(奢霸都叢書)2000円とマンディアルグ『一九一四年の夜』(サバト館)5000円はハズレ。まあ、はなから期待はしていなかったが。紅野敏郎編『論考谷崎潤一郎』帯欠800円。以前より安かったら購入しようと思っていたフォルベルグ『西洋古典好色文学入門』(桃源社)帯付きを500円で見つける。凾付の元版ではないが500円ならいいだろう。『ペルソナ三島由紀夫伝』初版帯付きを1000円。『ピランデルロ名作集』(白水社)凾欠800円を見つけるも、今回はやめた。武智鉄二『裁かれるエロス』裸本なれど献呈署名入りで500円。またゲテ本だ。今日は掘り出し物なし。五反田展はいつも期待しているのだが。帳場のところに、佐川一政宛堀口大学、ドナルド・キーン書簡があった。こんなんで3〜4万円とは、誰が買うのか。しかも事件後のものもあるという。帰りがけ外台で野坂昭如『マリリン・モンロー・ノー・リターン』初版帯付を200円、装釘は横尾忠則である。いつもの喫茶店で荷物整理し、一服。いざ高円寺へ。駅を降りると土砂降りの雨。仕方なく傘を買う。それにしても「現代小説全集」4冊は流石に重い。中央線古書展。両手塞がりなので外は見ず中へ。まず岩波文庫シュニッツラー『夢小説/闇への逃走』、池田亀鑑『古典学入門』(各200円)を手にする。植草甚一の『こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』重版カバ付を200円で、中井英夫『悪夢の骨牌』帯欠2刷なれど500円で発見。安い。更に団鬼六『SM随筆鬼六談義』なるものを発見、手をのばす。1000円というのには躊躇したが、珍しいのでまあいいだろう。生田耕作『るさんちまん』帯欠が3500円というのにはさすがに迷ったが、結局やめた。季刊『フィルム』6号を500円で発見、これは安い。他、林伊勢『兄潤一郎と谷崎家の人々』を400円。注文していたホッケ『迷宮としての世界』凾欠1000円を入手。結局1日で1万近くいってしまった。しかしそれにしても「現代小説全集」は重い。雨は一時的に止んでいたものの両手塞がりで、寄った喫茶店で腕が痙攣していた。
9/29  池袋の古書T書店に行くも、既に無かった。サンシャイン近くのK書店に行くと、幾らか三島初版本があったが、高い。今村靖『素顔の三島由紀夫』というへんてこなものを400円、現代教養文庫の橘外男『ナリン殿下への回想』を500円で購入。表紙画は花輪和一。他に、角川文庫の新青年傑作選が300円で2冊あった、とはいえ背やケ本だが。
9/30  近くの古本屋で『新選現代日本文学全集31三島由紀夫集』完本を400円で。この間の五反田展でなんと5000円とつけていたところがあったので、早速購入。まさかこんなに高いはずはなかろうが、この赤い凾カバーの本、確かに見ない。だが、ここで以前目を付けていた『地下演劇』5号は売れていた。既に持っているが、美本で1300円、取り替えようと思っていたのだ。ここは最近できたところで、半分は漫画だが、この前も『現代大衆文学全集3江戸川乱歩集』凾付美本を1000円で入手したし、たまには覗いた方がいい店であろう。
10/2  和洋会古書展。注文していた森田草平『煤煙』上下4000円は当たり。とはいえ、上は再版だが。同じく草平の『輪廻』凾付重版を1500円で。堀江珠喜『ワイルドの時代』を500円。この人の博士論文のワイルド論を読みたいものだ。『シング戯曲全集』松村みね子訳凾付6500円、今こんな金はない。谷崎潤一郎『饒舌録』初版本を800円。これは安いだろう。荷風の『おもかげ』凾付重版が2000円だったがやめた。徹夜で飲んで寝ずに来たので、10月に入ったのに30度を越す気温の今日は、つらい。T書店に行くが特になし。堂本正樹『男色演劇史』(薔薇十字社版)帯付美本3800円が売れてしまっていた。これは悔しい。寺山修司『舞台劇詩集盲人書簡』凾付初版が8000円したのには驚いた。書肆Hへ。骰子の七の目シリーズが10冊近く入荷していた。ゾンネンシュターンの完本は欲しいが、15000円は今出せない。尾崎翠『第七官界彷徨』の初版本100000円は、やはり今回の展覧会で注文がなかったそうだ。その後「いもや」で500円の天丼を喰い。書肆Hの近くの古書店で貰った今度のサンシャイン古書の会の目録に、『三島由紀夫事典』凾付3000円、『三島由紀夫書誌』帯欠4000円なるのを見つけた。早速注文しなければ。明日は西部会館だ。
10/3  西部古書展。10分前に到着。開場とともに雪崩れ込む。『悪徳の栄え』元版貼凾入り2冊で1500円!!!、正篇は2刷りなれど続篇(発禁)は初版。帯はない(帯があったら2冊でかるく50000円は超える)が、なんていう掘り出し物だろう。無削除新版がでて以来値崩れしたが、それでも4万円はするだろう。続いて『三島あるいは空虚のヴィジョン』初版帯欠美本で800円。帯はないが、この値段は安い。村松剛『三島由紀夫その生と死』初版帯付5000円、何故こんなに高いのか?買えやしない。荻窪の古書店で2800円で見つけ、買おう買おうと思っていたホルブルック・ジャクソンの『世紀末イギリスの芸術と思想』を2000円で見つけた、これは買いだ。あと、『座談会大正文学史』凾帯800円。『座談会明治文学史』もそうだが、こんなん500円くらいであると思っていたが、必要な時にはない。まあ800円ならいいだろう。結局6000円ちかくいってしまったが、『悪徳の栄え』もあるし、ホクホクだ。夕方、新井薬師の小さな古本屋で、岩波文庫カーライル『衣服哲学』復刊版を360円で購入。
10/5  中村橋駅前の古本屋で生方敏郎『明治大正見聞史』(中公文庫)を200円で購入。京都ふるほんふぇあで注文した夢野京太郎小説集『世界赤軍』(1500円)が届く。米国アマゾンコムより、8月に注文した洋書が届く。Max Nordau: "Degeneration"($14. 40), Edgar Saltus : "Love and Lore"($17.50),"Purple and Fine Women"($37.50)以上3冊。しかしそれにしても、バルベエ・ドオルヴィリイの『ジョージ・ブランメルとダンディズム』英訳本が注文直前に品切になったのは悔しい。デゼネレーションはなかなか浩瀚だが、これだけは何としても読み切りたい。
10/10  杉並古書展。集英社日本文学全集82『三島由紀夫集』の帯付き本150円を外台で。このシリーズで帯付きのやつは余り見ない。蓮實重彦の『物語批判序説』初版400円を。一応読んどかなくては。『荷風文藻』再版凾欠2000円、今2000円は出ない。岩波文庫『八笑人』を400円で見つけるも、逡巡のあげくやめた。帰り道、いきなり夕立、びしょ濡れになった。
10/12  学校前の古書K書房にて、季刊『フィルム』4号を800円で。ブニュエル特集で、この間どこかの店が2500円などという値をつけており、欲しいが高いと諦めていた矢先。『フィルム』は全号蒐めたいものだ。映画『儀式』のプレスシート200円。ここはたまに思わぬ掘り出し物がある。澁澤龍彦『異端の肖像』新版初版凾帯元パラ付きを2500円で見つけたのも、骰子の7の目『ハンス・ベルメール』初版凾帯付録付を3000円で、田中美代子『ロマン主義者は悪党か』初版帯付きを600円で見つけたのもこの店だ。
10/13  中野サンプラザ古本まつり。注文していた『蓮田善明全集』5000円、当選を電話確認してから会場へ。ソンタグ『隠喩としての病』が400円。明治大正文学全集『谷崎潤一郎』凾付300円、そしてなんと大泉黒石『現代ユウモア全集・当世浮世大学』凾付を300円で見つける。これは安い。水上瀧太郎『大阪の宿』(新潮文庫)500円。沼正三の『ある夢想家の手帖から1金髪のドミナ』帯欠本を500円で見つける。月報もしっかりついている潮出版社版だ。外を見回し終えて、中へ。だが、注文品もあり、金欠であるので、文庫とソンタグは手放す。中では、『ユリイカ』特集ワイルドを400円。日本図書研究叢書『明治文学叢書及書目』(第一堂)なるものを800円で発見。小冊子であるがとても使えそうだ。帳場へ行くと、注文書は実はハズレで、電話時にミスしたという。残念なようなよかったような。だがミスは困る。それならと思い、外へ出ると、既に外台は片付けられていた。
10/17  五反田本の散歩展。外台は全部100円均一。鴎外訳の『即興詩人』(岩波文庫)上下を買う。中は、余りいい出物がなかった。かつて2500円で購入したヒュネカア『エゴイスト』邦訳が1000円ででているのはくやしい。帰りがけに外台で岩波新書の『東西書肆街考』を100円で。
10/19  所用で神保町へ。T書店外台で文学季刊『牧神』3特集幽霊を600円で。
10/20  江古田の古書F書房の200円均一で、現代世界文学叢書5『現代仏蘭西短篇集』を購入。中村橋の「街の古本屋さん」で新潮文庫『チェーホフの手帖』を200円で買う。
10/21  サンシャイン古書の会のK書店より、注文した『三島由紀夫事典』凾付3000円『定本三島由紀夫書誌』凾付帯欠背焼け4000円が届く。どちらも5人位づつ注文があったようだが、何故か両方とも当たった。然し安い。『書誌』は幾ら背焼けだからといって相場の半額、『事典』は五分一だ。
10/23  ぐろりや会展。しかしそれにしても目録に載っていた水島爾保布『愚談』函付8000円は、注文したかった。金が無い。この間の散歩展で凾欠の汚本が10000円だったのを見かけたので余計に悔しい。だが今日になってなんとか何がしかの金が入ったので終り真際に覗いてみる。佐藤春夫『厭世家の誕生日』(改造文庫)を200円で。岡田隆彦の『日本の世紀末』凾帯が1400円であるも、これからの食費を考えやめた。上田敏『独語と対話』初版を1500円。これは買い。E堂は明治ものが多く出るので要チェックだ。T書店特になし。書肆Hへ。アルトオ『タラユマラ』を1500円で発見。いつだか5000円で買ったものがこんな値とは。取り置きする。ベルグソン『物質と記憶』(岩波文庫)初版500円を思わず買ってしまう。シャルドンヌ『離愁(エヴァ)』(新潮文庫)100円も。帰りがけ、都立家政の古本屋の外の100円均一の棚で『家畜人ヤプー』の凾帯付重版本を見つけて買ってしまった。もってるのに…。
10/24  新宿古書展。昼過ぎ、小雨の中会場へ。注文した『古賀春江画集』(第一書房)ははずれ。まあ、当たったら凄いもんだ。3500円とは、相場の八分の一位か。それにしてもあんな単色刷りの小冊子なのに。まず、ゲーテ『恋人の気まぐれ/同罪者』(岩波文庫)を150円。現代ユウモア全集水島爾保布集『見物左衛門』凾欠1000円。いい具合で入手出来た。流石画家だけあって挿画も多い。谷崎の論文のため学会誌『日本文学』1987年6月号を100円で。大蔵貢『わが芸と金と恋』カバ欠400円。ついに見つけた、大蔵映画社長の自伝。そう、自分のとこの女優をかたっぱしから手を着けて「わしは女優を妾にしたんではない、妾を女優にしたのだ」という名言を吐いた、あの社長である。しかしカバ欠は残念だが、400円ならばまあよいだろう。天野哲夫編著『異嗜食的作家論』再版凾付700円。こんなものがあるとは知らなかった。井出孫六『抵抗の新聞人桐生悠々』(岩波新書)を100円。桐生悠々は上記デゼネレーションを明治期に抄訳しているので。春陽堂版『荷風全集第参巻』凾を500円。単なる端本だ。
10/27  諸用で学校にいき、帰り道学校前のK書房に。10銭文庫で岡本一平のやつがあったが、バイト君、値段の付いて無いものは売れないと、折角こちらはその無知を期待していたのに。しかし、昭和32年の文学座公演『鹿鳴館』のパンフを300円で見つける。地方巡演のものだが相場の十分の一であろう。B・O江古田店で中上健次『十九歳の地図』再版帯付を250円で。
11/5  都立家政の古本屋を覗く。3版の、しかもペーパーバック版なれどヘンリー・スコット=ストークスの"The Life and Death of Yukio Mishima"の、著者識語署名入り本を発見、とは言え、全く買う金はなく、値もついてなかったので一応取り置きしてもらうが、1500円以上だったらやめよう。ネイスンのものだったらまだしも。
11/6  愛書会展。しかし、電車賃も今はだせない状況。電話で先日注文した三島由紀夫『純白の夜』昭和25年初版帯欠2000円の抽籤確認したところ、あたっていた。来会としたが、郵送してもらうことに。届くまでに金をなんとかしなくては。それにしてもこの本は帯がないと堀辰雄の『聖家族』みたいにまっさらな本だが、あの幅広の帯があれば3〜4万円はするだろう。あの帯こそが特徴ある書なのに。E堂から出品されていた谷崎潤一郎『近代情痴集/附り異国綺譚』初版が3万円とは、本当に欲しかった。普通5万はする!それにあの本は雪岱の石版表紙で美しく、特徴がある装釘と内容で前々から欲しく、今回はチャンスだったのに。
11/7  古書愛好会展。それにしても寒い。コート着てくればよかったと後悔。開場真際に到着。とはいえ、所持金は全財産1000円と幾らか。藤枝静男『空気頭』再版凾帯付が300円。何故だ、重版本みつからないからわざわざ初版本を3000円で前に買ったのに。ああ、この本の帯付けて初版本売り飛ばしてやる。倉橋由実子『暗い旅』初版カバー付東都書房版500円、小門勝二『永井荷風の生涯』旧版凾帯付1000円、芳賀書房の『批評と研究三島由紀夫』が凾付き1000円、日夏耿之介『日本の芸術』凾付き1500円、『明治大正文学研究』1号特集自然主義が300円、嗚呼、金があればこれら全部買っていたのに。しかし、『空気頭』だけ買った。帰宅後、城市郎『初版本』で調べてみると、『空気頭』初版の帯は、重版とは色が異なり灰色で、文句も違っていた・・・ずるいことは出来ないもんだ。
11/13  都立家政の例の古本屋で、取り置きしてあったヘンリー・スコット=ストークスの"The Life and Death of Yukio Mishima"、著者献呈識語入り署名本を1000円で。
11/21  趣味の古書展。注文した『裁判記録三島由紀夫事件』2000円はあたっているのだろうか。確認していない。ちらっと覗いてみたが、例のごとく金欠、何も買えない。それでも、バーナード・ショー『人と超人』(岩波文庫)を100円と本間久雄訳『獄中記』(新潮社)の大正元年の再版本500円を買う。谷崎の『青春物語』凾付初版少痛が500円であったのには、いくら少痛だからといって安いだろうが、買えない。『上田敏研究』凾付1500円も欲しかった。それにしても書肆Hにあった尾崎翠『アップルパイの午後』薔薇十字社版凾付5000円まだ売れてなければいいが。出帆社版と薔薇十字社の凾欠本ならば既にもってはいるのだが、やはり帯はなくとも凾付で欲しい。確か、この薔薇十字社版は、凾付とカバー装と初版に二種類あったはずだ。和洋会の目録届く。何と、水島爾保布の『愚談』凾付がなんと3000円で出ている。この金のない時に・・・。
11/21  富士見台の駅商店街のはずれの小さい古本屋で、田辺貞之助訳『ベラミ』(新潮文庫)を100円で買う。
11/24  B・O江古田店で岸田秀『ものぐさ精神分析』(中公文庫)を100円で、中村橋の古本屋でホイジンガ『ホモ・ルーデンス』(中公文庫)150円で。『ホモ・ルーデンス』は単行本で持っていたが、文庫版では改訳していたので。単行本だと書き込み出来るスペースも大きくてよいと思っていたが、やはり文庫の方が安いし改訳済みということもあるので、今度からはこういうものは文庫で買おう。
11/28  中央線古書展。買う金はないが覗かずにはいられない。どうしてだろう、何故金のないときにこんなに欲しいものがでるのか。薔薇十字社の『充ち足りた死者たち』の完本が3500円、『荷風外伝』凾パラ付2500円。これは安い。それに前川祐一『マックス・ビアボウム』が800円、ヴェルフリン『古典芸術』カバ付3500円。嗚呼。仕方なく川端康成『雪国』の重版(昭和13年の創元社版)凾付を500円と、角川文庫復刊版『鷹の井戸』を150円。和洋会古書展に抽籤確認の電話を掛ける。水島爾保布『愚談』凾付3000円はハズレ、三島由紀夫『鍵のかかる部屋』初版帯付3000円は当たり。水島爾保布、こんなに立て続けで出品されるのだし、まあいいだろう。『鍵のかかる部屋』は初版本は既に持っているが、帯がなかった。これでやっと完本だ。五反田遊古会に確認電話。注文した上田敏の『うづまき』明治43年の初版本は当たり。両方とも郵送で注文してあるが、さて、これから古書代をなんとかしなければ。実家に帰る道すがらB・O南柏店で芳賀徹『みだれ髪の系譜』(講談社学術文庫)を500円で。
12/2  用事で神保町へ。T書店で新本特価の大場啓志『三島由紀夫古本屋の書誌学』(ワイズ出版)を2000円で。後でK書店で墨筆署名入本が定価の2400円で出てたのは悔しかった。帰宅後、この間の五反田展で注文した上田敏『うづまき』初版8000円がT書林から届いていた。まあまあの美本だ。
12/3  H書店より三島由紀夫『鍵のかかる部屋』初版帯付3000円が届く。
12/6  西部古書展。閉展30分前に入る。やはり30分では見切れない。『現代東欧文学全集6』凾付を250円で。シュルツとゴンブロヴィッチの巻だ。近くの竹岡書店で渡辺淳『パリの世紀末』(中公新書)を200円で。いや、それにしてもこの師走、いい出物があるのに金がない。今度の書窓会、倉橋由実子『パルタイ』初版帯付3500円だとか、『春琴抄』凾付12000円とか。
12/8  所用で神保町へ。書誌Hで取り置きしておいたアルトオ『タラユマラ』(ペヨトル工房)1500円を受け取る。帰り、阿佐ヶ谷から歩いて帰ったが、久しぶりに寄った某古書店にて、何と『三島由紀夫事典』凾付を4000円澁澤龍彦『幻想の彼方へ』美術出版社版凾付ビニルカバー欠初版が4500円、であるのを発見。こういうのを発見した時に限って金がない。しかし金欠が深刻なので、取り敢えず『三島由紀夫事典』を購入。無論上に記した通り既に持ってはいる。しかし、帯はないけれども、まあまあの美本だし、神保町に持っていけば幾らかになろう。
12/10  五反田古書展の目録が届いた。村松剛『三島由紀夫その生と死』の限定30部本が12000円というのには惹かれる。また、勝本正晃弁護士識語入『宴のあと』なんていうのも珍本だ。例の裁判で証拠として出された有田八郎宛献呈署名入『宴のあと』だったら、そりゃすごいものだが、多分どこかの愛好家が珍蔵しているに違いない。
12/11  HG堂書店より、展覧会で注文した三島由紀夫『純白の夜』が届く。1ヶ月半以上かかってようやく届いた。何故こんなに遅いのか。しかも、まあ2000円だから期待はしていなかったけれども、しかしそれにしても酷い状態の本だ。表紙に折癖が段になって出来ている。これを裸のまんま請求書を輪ゴムで止めて送ってくるという神経にも閉口。
12/14  自転車で中野に行った帰り、高円寺へ。ガード下のK書房で『三島由紀夫全集』特装版全巻揃月報付が12万5千円。・・欲しい。しかも、学陽書房の復刻版『モデル・ノロジオ』カバー付が12000円であった。阿佐ヶ谷の水曜日が定休日の某古書店では、(これはまあ相場通りだが)売り上げカード、特装版の刊行案内までついた極美の『城の中のイギリス人』(澁澤龍彦訳)初版本が3500円であった。やはり金がない。今日届いた新宿展の目録にも、何故かいいものが出ている。なんで、なんでこういう金欠時に限っていいものが出るのか。全く恨めしい。
12/15  所用で夏目漱石『坊ちゃん』(新潮文庫)を商店街の古本屋で100円で購入。
12/24  神保町の日本特価書籍でトレヴィルの画集類がゾッキで出たという情報があったので、行く。コクトーの素描画集『エロチカ・ドローイング』と『パッショネイト・ペニス』2冊セットで1600円(定価各3605円)、ギド・クレパクス画『O嬢の物語』全2冊セットで1000円(定価各2678円)、友人に頼まれた画集シリーズ『ピナコテーカ・トレヴィル』全10冊がセットで8500円(定価各平均3600円)を購入。ゾッキ印が捺してあり、少々傷やなんかがあるが、これは安い。安いけど重い。書誌Hに寄り、取り置きしてあった鏡花『註門帳・白鷺』(岩波文庫)帯元パラ付を500円で購入。いや、それにしても年末いい出物がある。新宿古書展はいい。たまに相場を無視したような代物が出るのである。今回は特にA書店。薔薇十字社版『黄金遁走曲』凾帯が2500円、『紀ノ上一族』凾が2000円、立風書房の『新青年傑作選』凾入の方が揃いで7500円、吉行の『鞄の中身』限定署名入本が完本で7800円、荷風関係書籍、殆ど皆完本で2000円台がずらり。『蓮田善明とその死』筑摩版凾付が3500円。ぼんぼん注文したが、結局あんまり当たらないんだろう。それよりも来年の某古書展で出品されてる三島『目』の初版完本で献呈名刺付というのが気になる。献呈名刺とは何か?あの、細長い「献呈」と印刷された戔のことだろうか。それとも三島本人の名刺だろうか?ともかく自筆がはいってないことは確かだが、三島の名刺だったら欲しいものだ。などと考えていた矢先、昨日届いた某古書展の目録には、三島『青の時代』初版署名入8000円なんていう殆どなんだか疑わしい代物が出ていた。幾ら安いとは言え今8000円はキツイし、かといってまさかのこともあるので、今迷っている。
12/26  今年最後の東京古書組合の古書展、新宿古書展。新宿展は、目録上にはたまに掘り出し物が出るものの、会場にはあまりいい出物は出ない事が多いので、本当は今年最後の古書展だしバイトの給料も入った事だし朝1番に並んでやろうかと考えていたが、結局寝るのが遅く、昼過ぎの「『マダム・エドワルダ』特装版(サバト館)入荷しました」という予約を入れといた書肆からの電話で起こされた。新宿展に抽籤確認の電話を入れる。澁澤『異端の肖像』旧版凾付6500円、『蓮田善明とその死』筑摩版凾付3500円はハズレ、大泉黒石『黒石怪奇物語集』(桃源社)初版凾付2000円と久生十蘭『紀ノ上一族』(薔薇十字社)凾付2000円があたっていた。自転車で高円寺へ。確かにあまりぱっとしたものはなかったが、例のA書店の棚にはいいものがあった。まず、ゴンブロヴィッチ『フェルディドゥルケ』(集英社)初版帯ビニカバ600円、ブランショ『焔の文学』(紀伊国屋書店)旧版カバ帯450円、アート・シアターパンフ『気狂いピエロ』『小間使の日記・憂国』を美本で各500円!その他『尼僧ヨアンナ』や『ビリディアナ』等も全部500円均一だった。いつだか『気狂いピエロ』アート・シアターパンフを3000円で「これでも安い方」と思って買ったのに何だこの値段は。隣の棚のI書店の所では、岡保生『近代文学の異端者』(角川選書)を400円で。『文学と幻覚』という新潟大学あたりの精神医が執筆したへんてこなものと『春琴抄』を「音画」化したときの脚本を収めた小形本が3〜400円であったが、結局やめた。その他会場を見回すと、1冊1500円で『ピナコテーカ・トレヴィル』シリーズが出ていた。これならバラで買える。多分ゾッキがいろいろ出回っているんだろう。それならまた今度ということで計6450円。所用で秋葉原に行き、帰り道そのまま歩いて神保町へ。T書店、K書店、特価書籍を見るもなし。自転車の置いてある高円寺へ行き、T書店を覗いてから阿佐ヶ谷の古書店を幾つか周り帰宅。それにしても日が暮れてからは一気に冷え込む。さて、後は来年一番のぐろりや会古書展にでも期待しよう。
12/29  先日届いたS書房の目録で発見した華房良輔『臨床的獣姦学入門』(カイガイ出版)1000円、電話で申し込むも一足遅く、昨日抽籤して既に売れたという。悔しい。


12/31  実家のある、千葉県柏市へ。柏駅前のT書林。以前8000円くらいで出ていた右文書院刊『三島由紀夫研究』2刷凾帯付美本は売れていた。しかし古通豆本の並装本が平均1冊1000円で出ている。『野田本と江川本』とか『昭森社本』とかがあったら買っていたが、なかった。江戸川乱歩他『江川蘭子』(春陽堂文庫)300円、山田風太郎『奇想小説集』(講談社大衆文学館)400円、竹村民郎『大正文化』(講談社現代新書)250円、前田愛『増補文学テクスト入門』(ちくま学芸文庫)390円を購入。大晦日夜7時を過ぎた。寒い。南柏駅近くの古書店Sは既に閉まって居た。
(冒頭へ)