俗にいう親知らずとはどういう歯なのでしょうか?
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俗にいう親知らずとは第3大臼歯のことをいいます。

何故親知らずというかというと、だいたい20歳ころに生えてくるために、

生えてくるころには親が亡くなっていることが多いので、俗称としていいます。

また、20歳ころには大学生になっており、勉強も進んでいるので、

智歯ともいいます。

英語だと賢い歯、つまりwisdom teethともいいます。

上下左右で合計4本あります。

下はある患者さんのレントゲンの写真です。

右下に約45度手前に傾いた親知らずがあります。

左下にも同じように45度傾いた親知らずがあります。

根が2つに分かれていて抜くのが難しそうです。

左上の親知らずです。

手前の歯を押して、手前の歯が少し傾いているのがわかります。

右上です。親知らずがありません。

この様に歯の芽がなく欠損していることもあります。

親知らずでは珍しいことではありません。

たまに、過剰歯といってさらに余分な歯があることもあります。

この症例では左上に親知らずがもう1本余分にあります。

第4大臼歯に相当するものです。

 

一般に悪さをする方は下顎の親知らずです。

生える場所が比較的無くなることが多いために、手前の歯に引っ掛か

ったり、横を向いたりします。

完全に横を向くと、水平埋伏智歯といいます。

親知らずが生える力で手前の歯を押したりすると、奥歯の痛みとして

感じたり、順々に手前の歯を押すことにより前歯の歯並びが

変化したりします。

前歯の歯並びががいつのまにか変わったような気がすると

感じるときは、親知らずを疑うことも必要です。

また、奥歯の痛みとしては持続的な疼痛のこともありますし、

冷水痛といって冷たい水がしみることもあります。

親知らずの手前2から3本位までしみることがあるので不思議です。

親知らずは顎の骨の中にあるときには、歯嚢(しのう)という袋に

包まれています。これが破れて歯が生えてくるのですが、

先程説明したように前の歯にぶつかって、生えれない時には

袋に穴があくことがあります。この隙間に細菌が侵入すると

智歯周囲炎という炎症になり比較的重い症状が出ます。

口が開かなくなったり(開口障害)、物を飲み込みにくくなったり

(嚥下痛)、頬が腫れたり(頬側腫脹)、痛みを訴えたり(自発痛)、

熱がでたりします(発熱)。

この場合、膿が溜まっているときには切開といって切って

膿を出したり(切開排膿)、智歯の周囲の消毒をし、抗生物質・

抗菌剤の投与を行い炎症がおさまってから(消炎)、抜歯を行います。

炎症がおさまらないままに、抜歯を行うと術後の腫脹が

残りやすくなります。

 

まれなケースを紹介します。

これは親知らずが手前の歯の根を、

破壊(吸収)した症例です。

親知らずが前の歯に食い込んでいます。

この歯の痛みで来院しました。

抜いた歯です。

親知らずが食い込んだ側です。

このように親知らずで手前の歯の根が

破壊されることがあります。

症状がないために厄介です。