(引退試合のVTRを見て)
江川 非常に感動的なフィナ−レだったですね。
 …ほっとしてます。
江川 そう。やっぱりほっとしてる。
 ハイ。
江川 今はそうでしょうね、終わってね。だけど今日まさか僕はホ−ムラン打つとは思ってなかったんですけど。
 ハッハッハッハ。そうですか。そうですネエ。ハイ。
江川 いやいや。一応4打席狙ったんでしょ。3打席か4打席か分からないんだけど。
 そうですねえ…。でもあまり、今日に関してはですね、結果は、もう僕にとってはどうでもいい…って言うか、自分の中で自分の思い切ったプレ−をしようと、それを見てもらおうという風に思いましたんで、結果は超越してたと思います。
江川 まあ最初は多分そうだけど。あそこでホ−ムランがポ−ンと出た瞬間に、「これだけ飛ぶんならまだやれるな」っていうのはある?
 ハッハッハ。そんなことはないですけど。
江川 そういうのはないの?でも結構飛んだよね。
 ウ−ン。
江川 あの、僕なんかが本当に思ってたよりも。最近は、フェンスにようやく入るっていうホ−ムランが多かったから。
 ハッハッハ。そう…。
江川 ね。それがすごい飛んでるから、だからまだあれだけ飛ぶんならまだやれるんじゃないかなって言うのは本当に思った。
 やっぱり、自分だけの力じゃないね。そういう感じします。
江川 ああ。ファンの人が?
 何かがやっぱり、何かがやっぱり、作用したと思います。多分江川さんも実況席から、そういう気持ちがあったと思います。
江川 入れ入れって?
 そう。無かったですか?
江川 いやいや入れ入れとは思はなかったけど。
 ハッハッハ。
江川 いやあの、だからネェ。僕は思ったんだけども、非常にあの、まあ好対照だよね。ドラフトの時からさ。こっちはほら、色々とグチャグチャして入ったからね。
 ハッハッハ。
江川 でそちらはやっぱりほら、やっぱり一位指名だったから。そういう意味では非常にネェ、今初めて言えるんだけど、羨ましかったね。
 いえいえいえ。
江川 非常にすんなりしたこう…
 僕も羨ましかったですよ。
江川 どうしてよ。
 だってニコッと笑っただけで、「江川が笑った、明るくなった」とかってそういう風な…だったでしょ?
江川 ああ。じゃあなに?その、イメ−ジがいいのは非常に辛いわけ?今は。
 だから、江川さんから僕に言った言葉で、「タツ、お前大変だな」って。
江川 昔言ったんだ、そんなこと。
 うん。ね。「お前、ずっとイメ−ジいいもんな」って。「俺なんかイメ−ジ悪いだろ」って。「だからちょっと笑えばね、みんな『おっ、江川が笑った。あいつ変わった』ってそういう風に言ってくれる」って。
江川 いやいやだけど。その、最後までさあ、イメ−ジ良く終わったじゃない。引退セレモニ−もかっこよく出来たし。
 そうですか。
江川 僕なんかド−ムで八十三キロの一球だけだよ。
会場一同 はっはっはっは。
 ス−ツ姿で?
江川 いやいや。いやいやユニホ−ム着て、一応。だからそういう意味では、非常にあの、何て言うかな、入ってから終わるまできっちりできたっていう感じするんだけどね。
 有り難うございます。もう、皆さんのおかげで。
江川 いえいえ。そんなことはございませんけどね。このあとも時間たっぷり有りますんで、お話伺いたいと思います。
 ハイ。

(CM)

江川 はい。え−。原選手からCMの間に「非常にアバウトに番組をすすめている」という話がありましたけど。
会場一同 ハッッハッハッハ。
豊田 江川さん、江川さん。
江川 ハイハイ。
豊田 あのぅ、うるぐすファックス、昨日もすごかったんですが今日も沢山ベルがなっているんですよ。ちょっと紹介させて下さい。
(うるぐすファックスを読む)
江川 (大人になって8番になりますという)こういう言葉が多分一番うれしいですよね。子供さんがね、あの、背番号8にこう、向かって野球をやるというのはね。
 最高ですね。ハイ。
江川 その子供たちのためにですね、明日月曜なんで多分あまり遅く起きてる子もいないかもしれませんけれども。
 VTRが有りますから。
江川 あっそうか。今はね。時代が変わったんだよね。
 そうそう。我々の時代と違うから。
江川 そうそうそうそう。えっと(原選手の)野球人生。どうしてもこれスタッフが見せろって言うんだよ。…出ない!カットになったそうです。やらないって、突然。
豊田 え−っ、どうなってんですか?
江川 えっ何かね、あの、すごく長いんで、お話のほうが面白いんで、VTRやめてお話を伺おうという事になったみたいですよ、今。
豊田 あっそうですね。ハイ。進めて下さい。
江川 ハイ。ということでね、突然言われると私も段取り困ってしまうんですけれども。あの、今日の引退セレモニ−っていうのが、実は普通あの、巨人戦のていうのは一番最後はだいたい雨で流れて広島とか名古屋で終わるもんなんですよね。
 そうですねえ。いつもそうですね。ハイ。
江川 ね。でそれがたまたま延長十五回の引き分けになって二十七試合ということになったんでこの十月八日にあの、セレモニ−ができたっていうのは本当まさにツキですよね。
 不思議ですね。
江川 ね。
 ハイ。
江川 それ自分で感じてました?
 不思議です。
江川 違うのよ、不思議じゃなくて。
 いやあ。
江川 良かったなあと思ってるでしょ?
 う−ん。ちょっと、その時に…
江川 ニヤッとしたでしょ?
 いやニヤッとはしませんけどネェ。その時はまだ考えてませんでしたから。ただ、片隅に有ったと思うんですよね、今だから言えるから。まあ、もしかしてそういう舞台になるのかナ−なんて自分でね。ウン。
江川 あの、これよく聞かれると思うんですけど引退を最後にこう、決めたっていうのはいつなんですか?僕はあの、ホ−ムラン打たれたときに決めたんですけど、いつ決めたんですか?最後には、最終的には。
 僕はもう、ヤクルトが今年素晴らしい優勝をね、した後ですね。
江川 そしたらヤクルトがもし優勝しないであそこず−っと連勝してって巨人が優勝したらもう一年やったんですか?
 巨人が…連勝したら?
江川 逆転優勝したら。
 …
江川 それはわかんない?
 …それはないですね。
江川 じゃ結局やめるつもりでいたんだ。
 ま、そうですね。
江川 でも最後の決断はあの、ヤクルトの優勝の瞬間にやったっていうこと?
 ハイ。
江川 決めたって言うことね。
 ま、それと、まあファンの皆さんの前でね、報告するっていうのがやっぱり自分のけじめだったですね。だからもう、こういう舞台をつくって戴いたっていうことに本当に感謝ですね
江川 でも本当にあの、すんなりね、あの、くじにあたってね、まあ15年間巨人で終わって、で最後のセレモニ−が出来る日にちょうど当たってっていうのは…
 ネェ
江川 ほんとに羨ましいですよ。
 12月8日に入団が決まって、10月8日に…、「8」って何となく…
江川 まあ自分の持ち…、持ち札かなって?8番ね。
 ね。これからも大事にしてかなきゃいけませんね。
江川 う−ん…。これ女性のファンの方も多分見てらっしゃるんで、好きな色なんていうのを聞いてみましょうよ、突然?
   色…。
江川 ええ。8番が好き…、数字は8が好きでしょうけど色は。
 江川さんだいぶ変わりましたね、いろいろ。
江川 なにっ?やめるとこういう仕事いろいろしてかなきゃいけないんですよ。
 そうですか。
江川 これからそういう仕事するんですから。
 う−ん。
江川 何色が好きなんですか?そういえば聞いてなかったよね、こんな話は。一緒にお酒飲み乍ら、色の話しませんもんね。
 まぁそうですねぇ。色の話なんかしませんねぇ。
江川 うんしない。だけど何となく今思ったの、そういえばこんなついてる男がね、8番が好きで、色は何色が好きなんだろうって。
 つきだけじゃないですよ、人生は。
江川 そりゃわかってますよ、実力もあります。わかってます、わかってます。
 いやいやいやいや。
江川 色!色は?
 色ですか。まぁあの…昔は、昔はって言うか、白とか赤とか、はっきりした色が好きでしたね。
江川 昔はね?
 ええ。この頃は、う−ん、ちょっと、茶とか…。
江川 は−あ。
 うん、そういうのも、まあこういった感じの(茶のチェックのス−ツに焦げ茶のネクタイ)を着るようになりましたから、好きになりましたかね。
江川 ほうほうほう、ちょっと変わって来ましたやっぱり。人間がまろやかになったのかな。その分色も変わってきたということで。
 う−ん、かも知れませんね。
江川 ね。まぁ、そのまろやかなところでですね、CMにいってですね…
 多いですね、CM。
江川 えっ、そうですか?
 要はCMあっての…、そうですもんね。
江川 そういうとこ突っ込まないで下さい。このあと、まあ実際の所色々なことを一緒にやりましたんで、そういう話を伺いたいと思います。

(CM)

(うるぐすFAX)
豊田 原さん、今日、あのう、こんなに泣いた日っていうのは最近ありました?今日本当に何か原さんの…ねぇ、泣き顔をずっと見ていた様な…
江川 よく泣くんですよ。
 ハッハッハッハ。あ−あ。
江川 でも感動的なことが多かったからね、ここんとこね。
 感動した…する時は、涙を流せばいいじゃないですか。
江川 そうだよね。
 隠せません。
江川、豊田 う−ん。
江川 そういう風に言えるようになったっていうのはね、すごく進歩ですよ。昔はよく隠してましたから。
会場一同 はっはっは。
江川 ていうことで昔はっていう話になるんですけど、あの−、やっぱり思い出すのはねえ、いまあのVTRが出ましたけれども(CM前に)、思い出すのはって言うより思い出したくもない、というところで、大学野球。
 ええ。
江川 ね。ちょっと映像有りますでしょうか。
(大学野球の映像を見ながら)
江川 え−、大学野球の決勝で当たったんですけれども、これ決勝ですよね?
 そうです。
江川 でこれが最初はねえ、ちゃんとキャッチャ−フライに打ちとってるんだ、私がね。
 そうですねえ。速かったナァ。
江川 ね。でこのキャッチャ−フライで「あ、大したことないな」と思ったらホ−ムラン打たれちゃって、これ。ネェ。
会場一同 はっはっは。
 これライナ−でしたよね。
江川 いやあ、これはビックリしましたよ。本当に。
 本当にいい打球でしたよね。ライナ−で。
江川 すごい飛んだよ。
豊田 (VTRの江川を見て)あ、がっくりしてる。
江川 ね。で、このとこまでしかVTRは無いんです。無いんだけど…
 でもこの試合、江川さんホ−ムラン打って僕達負けたんですよ。
江川 そうなんだけどね、この三打席目が問題なんですよ。
 うん?
江川 三打席目に僕は打ち取ろうと思ったら内野安打打たれたんです。
 そう。カ−ブで。
江川 あの時にね、すごいと思ったの。そのカ−ブで逃げた自分と、打ったやっぱり、原辰徳という選手がね…、これから大学野球を背負って立つなと思ったんで、え−、ゲ−ムセットの時にボ−ルをお渡ししてですね…。
 ええ。
江川 とってます?ちゃんと。
 …。
江川 なくしたでしょ、もう?
 いえ…、実家に置いてあると思います。
江川 ほら。「思います」だもん、ほら。
 すみません。
江川 まあ別にいいですよね。
 ハイ。
江川 うん、そういう思い出が有りますけれども。
 ハイ。
江川 まあ二人で一緒にあの−、伊豆のキャンプへ行ったりなんかして。
 ええ。
江川 え−、若い頃はよく一緒にネェ。
 そうですね、まぁやっぱり僕自身ジャイアンツに入って、あの−、やっぱり江川さん…、まぁ大学時代からね、一年生の時に全日本に選ばれて、で江川さんは四年生で、もう「神様」みたいな人で…。
江川 いえいえ。
 であの−、僕が一人で荷物持ってたときにも江川さん手伝ってくれましたよね。
江川 …。
 いや、本当に手伝ってくれたんですよ。
江川 本当?
 ええ。
江川 本当かなあ…。
 それで本当にあの−、まぁ「大学野球のいろは」を教わって、そしてプロに入って「プロ野球のいろは」を教えて貰いました。
江川 そんなこと言うと聞いてる人みんな信用しないよ。
 いや本当にそうなんですよ。だから、あの−、今自分があるル−ツはね、やはり「江川卓」というものが本当にあります。
江川 いえいえ。あの−、そう言って頂くと有難いんですけど、これからまぁ、私のほうが先にやめてますんで、今度はね、こういう(今の江川と同じ様な)立場に多分なる…、仕事になると思うんですよ。だからそういう意味では一緒にこう…、まぁ遊んだり、仕事をしたり、そういうことが多分増えると思うんですけどね。今まではちょっと選手とこういう仕事でなかなか一緒にできなかったんで、まぁそういう意味では…。
 また「いろは」を。
江川 ね。今度は逆にお返ししなきゃいけないことありますから。
 ハイ。
江川 そういう意味ではね、また一緒にあの−、やっていきたいと…。
 私も何かを…、何かお返ししたいんですがなかなかそれができなくて。
江川 いえいえとんでもございません。またよろしくお願いしたいと思いますけどね。
 ハイ。

 
原辰徳情報