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あなたの家庭は大丈夫?コンピュータ2000年問題待ったなし!

「コンピュータ2000年問題」。この言葉を耳にしたことのある読者も多いだろう。
2000年問題では、もっぱら、経済システムのマヒや軍事用システムの誤作動などが懸念されている。このため、家庭内用品に関してはあまり2000年問題が心配されていない。だが
「とんでもない。2000年問題は、一般家庭レベルで深刻なトラブルを引き起こします」
と警鐘を鳴らすのは、国民生活研究センター所長の木戸おさむ氏。
「確かに日本の企業や研究所でも遅まきながら西暦2000年問題に向けてコンピュータプログラムの調査・修正を行っています。しかし家庭用品にも2000年になるとトラブルを生じるものが確実に存在します。しかしながら、これらに関しては対策がまったくなされていません」

カレンダー

木戸氏が真っ先に注意を呼びかけるのがカレンダーだ。
「意外に思われるかもしえませんが、一般家庭に普及しているカレンダーのほとんどが2000年に対応していません」
なんと、日付を判断する拠り所であるカレンダーが、実は西暦2000年に対応していないというのだ。これが事実だとしたら、私たちの生活はその基盤からして脅かされることになる。我家のカレンダーが2000年に対応しているかどうかをどうやって確認すればいいか。
木戸氏は解説する。
「見分け方は簡単です。カレンダーを順に捲っていと分かりますが、1999年12月より後の日付が載っていません。ほとんどのカレンダーが2000年に未対応です」
2000年になると同時に家中のカレンダーというカレンダーが無用の長物と化す。対応するには、12月31日に全てのカレンダーを2000年対応の製品に交換しなければならない。
「驚くべきことに、本来2000年問題にもっとも敏感であるべきコンピューターメーカーの配布カレンダーも同様です。お粗末というほかありませんね」(前出・木戸氏)
(写真)2000年未対応のカレンダー

ビジネス手帳

またカレンダーと並んで要注意なのがビジネス手帳だ。
ビジネス手帳にはスケジュールを記入するページがあるが、実はこのスケジュール部分が1999年までしか対応していないという。
「残念ながら、現在普及しているタイプの手帳は、スケジュール欄が1999年12月かせいぜい2000年1月までの予定しか記入できないようになっています。これ以降に何か予定を立てるには、新たに2000年対応の手帳を購入しなければなりません」(木戸氏)
当然、手帳を購入すれば、それまで記入したアドレス情報やメモ書きの内容を、全て新しい手帳に転記しなければならない。転記の手間はすべてユーザが負わなければならない。

(写真)2000年未対応のビジネス手帳

食品の賞味期限表示

見過ごせないのが、各種の食品の賞味期限・品質保持期限の表示である。
食品ジャーナリストの越中四郎氏は解説する。
「ほとんどの製品において、賞味期限は『99年10月1日』というように、西暦年の下2桁で表示しています。当然、賞味期限が2000年以降の場合は、『00年2月1日』というように表示されます。この場合、1900年なのか2000年なのかを区別するすべはありません」
何でもないことのようだが、考え様によっては恐ろしいことである。
賞味期限が2000年のつもりで、うっかり99年前に賞味期限切れした食品を口にしてしまう可能性がある。人命にも関わる問題でもある。
「本来ならば厚生省が年数の4桁表示を義務付けるべきなんです。食品メーカーおよび厚生省の不誠実さにはあきれるばかりです」(越中氏)
(写真)2000年未対応の賞味期限表示

「北の国から」

国民的人気ドラマ番組『北の国から』シリーズも、実は2000年問題を抱えているという。制作スタッフの関係者がこう明かす。
「スペシャル版になってからの『北の国から』は、『’83冬』『’84夏』という題名で、ご覧の通り年数を下2桁で表記しているため、2000年に対応していません。現在のところ最新作は『’98時代』であり、現在のペースですと次回作の放映は西暦2001年ですので、この場合『北の国から ’01』という題名になります。これでは、シリーズ間の前後関係が題名からでは分からなくなり、視聴者を混乱させる恐れが多分にあります」
また、こうした2000年問題を抱えるテレビ番組は、『北の国から』シリーズ以外にも少なくないという。
来年の番組編成に大混乱を来たすことが予想される。

企業の対応

こうした2000年問題に対して、企業はどのような対応をとっているのだろうか。
取材したところ、ほとんどの企業から「それのどこが問題なんですか」と木で鼻をくくったような回答が返ってきた。これ以外では
「当社のビジネス手帳製品はJIS規格水準を満たしており、何ら問題はないと認識しております」(大手文房具メーカー)
「弊社の見解を説明しても平行線のまま終わると考え、回答は差し控えさせて頂きます」(大手食品メーカー)
「あの、今忙しいんで店長がいるときにお願いします」(コンビニエンス・ストアの店員)
また、2000年未対応の自社名入りカレンダーを配布している不動産屋にも取材したところ
「それはそうと、アンタんトコまだ今月分の家賃が振り込まれていないんだけどね。今週に払ってもらえますか」(不動産屋のオヤジ)
と問題をすり替えて誤魔化すケースも見られた。さらには
「こっちは忙しいんだ!いい加減にしろ、このキ○○イ!」
と差別的な罵倒を浴びせた企業があったことも付け加えておく。
驚くべきことに、ほぼすべての企業がこうした2000年問題を認識すらしていないことが浮き彫りにされた。
「ハッキリ言って、日本は2000年問題に関する危機意識が欠けています。欧米に比べて対応が10年遅れています」(前出・木戸氏)
2000年1月1日まであと80日。果たして、あなたの家庭は無事に2000年を迎えられるであろうか。


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