認 知 性 疾 患 と も 関 連


 「魚を日常食べている人の方がアルツハイマー病やパーキンソン病の発生率が少ない。」
という疫学的な研究報告があることから、群馬大学保健管理センター助教授の宮永和夫さんらの研究グループは、DHAがアルツハイマー病など痴呆性疾患の患者などに効果があるかどうかの臨床実験を続けている。

 アルツハイマー病の患者5人と血管性痴呆の患者13人に、1日1.4gのDHAを6ヶ月投与。
投与前、投与3ヶ月後、同6ヶ月後の3回、簡易知能・心理テスト(「100から7を引いていく」「今日は何月何日か問う」など)を行い、通常の脳循環改善薬を使ったグループと比較した。

 その結果、従来の薬剤使用群では一部のテストで症状の悪化がみられたのに対し、DHAを与えた血管性痴呆の患者では、投与前に比べ、計算、判断力、高次脳機能(言葉の読み書きや立体図形の描写など)の3項目で改善が見られた。

 一方、痴呆のない老人に対してもDHAにどんな薬理学的作用があるかを知るため、97人の男女(48〜87歳)に1年間、1日900mgのカプセルを投与する実験をした。6ヶ月、12ヶ月とも同様の知能・心理テストで、記憶機能が改善し音に対する刺激の認知や判断レベルもよくなった。視力も改善される例が多かった。

宮永さんは、
「DHAが脳細胞膜の成分になることで、細胞間の伝達物の働きを改善したり、血中コレステロールを低下させるなどして、脳の血流量を増やす働きもある」とみている。



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